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生物と映画と政治とマレー・インドネシア語にうるさい大学生の戯言

マレーシア旅行(1)

2011-08-06 00:37:21 | 雑記
 帰ってきました。生きてます。寿命の縮む楽しさでございました。

 今回の旅行はJTBのフリーツアー。8月2日に成田からクアラルンプール(地元ではKLと呼ばれる)への飛行機に乗って、KLで一泊。8月3日には、昨年マレー語を教えてくれた教授が現在マラッカに住んでいるので会いに行き、マラッカを観光して教授の家に泊まる。翌4日はKLを観光し、夜に成田への便に乗って5日の朝に帰ってくる、という予定である。なかなか過密スケジュールだったうえ、海外旅行もホテルでの単独宿泊もすべて初めてだったので不安で仕方なかった。

 8月2日の午前6時に起床。横浜駅7:28発の成田エクスプレスに乗る。やたらと緊張していて車内で何をしていたかほとんど覚えていないが、無事成田空港に到着、第一関門は突破した。両替所で円をマレーシアの通貨リンギット(1リンギットは約26円)に変え、200リンギット用意した。普通に過ごせばこの程度で十分だろう。そしてついに出国手続き。チェックインをし、セキュリティチェックと出国審査を無事通過。予想以上にあっさり終わってしまった。飛行機の搭乗時刻は11:15なのに、この時点でまだ9時半過ぎだ。暇だぞ。免税店なるものもまわってみたが、東京土産やブランド品が中心で何も買いたいものがない。仕方ないので椅子に座り、去年の4月に呼んだっきりになっていた馳星周の『不夜城』を読んで時間をつぶす。歌舞伎町の中国人たちの争いを描いた小説だが、空港内で本当に中国語が飛び交っているのでなんだかおもしろい。

 そのうち11時を過ぎたので登場する。小学生の時に沖縄へ旅行に言って以来の飛行機だ。翼のすぐ近くの席で、飛行機が動き出すと、翼がカタカタ揺れるのが見える。どでかい飛行機なのにこんなペラペラな翼なのかとびっくり。滑走路では離陸を待つ飛行機たちが行列を作っていて、隣の滑走路からは飛び立つ飛行機がすれ違ってくる。「かっけえ!」と完全に幼稚園児状態で窓にくぎ付けになってしまった。いざ自分の乗った機が離陸するときは、滑走路を突っ走ったり飛び上がったりするときの揺れにびびりまくりで怖いのなんの。周りから浮いてしまった。いまさら言うのもなんだが、数百人単位の人間を乗せた金属の塊が空に飛び出し、上空1万メートルの高度で猛烈な上昇気流や下降気流に遭いながら電車程度の揺れで動き続けるなんて、飛行機という文明は冷静に考えると凄まじくないか?しかもあんなに薄い翼と、たった2~4基のエンジンで。

 機内で楽しみにしていたのは映画だ。カタログを見ると、何と今年公開された「男たちの挽歌」の韓国リメイク版、「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」があるではないか。さっそく再生して(リモコンが椅子の肘掛けに入っていることを知るのに10分かかりました)、途中で出た機内食のビビンバご飯を食べながら観たのだが、いまいち面白くない。話の流れはほとんど同じだが、オリジナルに比べてトーンが落ち着いていて、正統派のハードボイルド映画のようになっていた。しかし、あのベタでくさい話を静かなテンションで語られても正直乗り切れない。キャラクターも渋くクールな人間が中心で男臭さに乏しく、そして何よりガンアクションが物足りない。全体にしまりがなく、途中で寝落ちてしまった。一応最後まで観たが、オリジナルをよりリアルで、ダサくないかっこよさを持った作品にしようとした結果、ダサさに伴っていたかっこよさや熱さが全部抜け落ちてしまった感じで、残念だった。

まだ時間があったのでもう一本、今度はスウェーデン映画「僕のエリ 200歳の少女」を観た。クラスでいじめられて孤立する少年と、ヴァンパイアの少女の交流を描いた作品である。ジャンルとしてはホラーで、なかなかえぐいシーンもあるのだが、そこがメインではなく、孤独の中でお互い近づこうとしながら理解しあえない2人の悲しさが伝わってくる。スウェーデンの寒々しい光景も相まって、ひたすらに冷たくさびしい映画だった。ホラー映画でこんな感覚を得たのは初めてで、大満足。こんな隠れた秀作を上映してくれるとはJALもなかなかいい目を持っている(何様だ)。

 計4時間映画を見て疲れたので、トイレに行ってみると、鏡に映る顔がむくんでいた。気圧が低いせいか、単に長時間座りっぱなしだったせいか。ついでに、飛行機のトイレの水の吸引力が超絶に激しく、びびった。バスや新幹線でもかなりの勢いで吸引しているが、この飛行機のトイレは周囲半径1メートル以内の空気まで全部吸い込んでいるんじゃないか、と思えるほどだ。立っている自分の顔ですら風を感じたぞ。その後ほどなく、クアラルンプール国際空港に到着。着陸はやはり怖い。そして驚いたのは、空港の滑走路の周りが一面油ヤシの畑になっていたことだ。上空から見た空港はまるでジャングルに作られた遺跡みたいである。飛行機を降りてシャトル電車に乗ると、マレー語のアナウンスが聞こえる。そしてかなり聞き取れる。看板も英語とマレー語で表記されていて、どちらも読めると幸せだ。マレーシアの入国審査では指紋認証が必要である。職員がみな英語で話していて、分かってはいるものの緊張する。パスポート、搭乗券、入国書類を見せてしばらくすると、“Thank you.”え、指紋認証してないぞ?頭が混乱したが、職員は手で「どうぞ通過してください」と促しているので、言われた通りにした。後々問題にならなければいいが…。

 その後は荷物の受け取りである。ベルトコンベアからスーツケースが流れてくる。周りに職員が何人かいて、客とは英語で話すが、職員同士はマレー語で話している。なるほど、こういう使い分けをするのか。そこで、こちらからマレー語で話しかけてみることにした。ついに訪れたマレー語会話のチャンス。愛想のよさそうな女性職員に“Maafkan saya”(すみません)と声をかけると、“Ya?”と言ってきた。緊張しながら「日本を出るとき、税関に申告するものを持っていなかったので税関に立ち寄らなかったのですが、ここでも税関を通らずに出て行っていいのですか?」とマレー語で聞いてみると、“Yeah, you can just...oh, anda…”と、初め英語で返答したのをマレー語で言い直してくれた。「なんでマレー語で話しかけてくるんだ?」と思っていたのかもしれない。内容はあまり聞き取れなかったが、“terus”(まっすぐ)という単語が聞き取れたので、そのまま出てよい、ということだろう。“Baiklah, terima kasih.”(わかりました、ありがとうございます)と礼を言って出口へ向かった。この時の自分はどや顔だったに違いない。出口に行くとJTBのガイドを発見。ホテルまでバスで送ってくれることになっている。これで入国は一段落。思ったよりすんなり乗り越えられた。

 マレーシアに着くまでの分だけで長くなってしまったのでいったん終了。次回、KLでのんきな気分が吹っ飛びます。

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2 コメント

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Unknown (ルリヲ)
2011-08-06 15:57:15
無事に帰って来られてよかったですね^^
次回記事にも期待しています。
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Unknown (管理人)
2011-08-06 18:58:42
ルリヲさん

コメントありがとうございます。
本当に無事に帰れた自分が信じられません。
どんどん続きを書くのでお楽しみに。
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