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生物と映画と政治とマレー・インドネシア語にうるさい大学生の戯言

不信任案騒動

2011-06-04 01:11:09 | 政治
 前々からブログを始めようと思いつつ、時間の無さと面倒さを言い訳にして何もしてこなかったのだが、今回の政局を見ていてもたってもいられず、ついに始めることにした。

 内閣不信任案提出間際に菅総理が事実上の退陣ととれる声明を出し、可決が危ぶまれていた不信任案を見事に封じ込めてしまった。木曜日には「自分の腹を切って党をまとめ、復興国会を存続させた、偉い!同情するよ」と思っていたのだが、一夜あけて、まんまと騙されていたことに気付いた。この人、辞める気なさそうである。「一定のめど」とは「福島原発の冷温停止」だという。年が明けるぞ。産経新聞では中曽根政権時の「死んだふり解散」をもじって「死んだふり存続」と酷評されている。代議士会での歯切れのいい辞任示唆で一時的な結束の空気を作り上げ、直後の不信任案を否決させたら言葉をうまくごまかして政権存続を図るという、単純・場当たり的ながら政治の「空気」を読んだ速攻戦略。自分はつくづく見る目が甘いな、と実感。ただし当然、後味が悪すぎる。冷温停止はいくらなんでも長すぎるし、そもそも先の見えない原発事故をめどにするのは禁じ手ではないか。「まだめどが立っていない」といくらでも言い逃れできてしまう。

 事態をさらに悪化させているのが前任者の鳩山氏。「国民のために不信任案に賛成」といっておきながら見事に反対票を投じたうえ、退陣時期の合意文書について岡田幹事長(この人の顔、マリオのドッスンみたい。顔だけマスコットにしてキーホルダーやストラップを作ったら売れそう)と大喧嘩してる。「人間はウソをついてはいけません」だの「ペテン師まがい」だの言ってるが、たとえ岡田氏がうそつきだとしても、それを防げなかった詰めの甘さは論外。そもそも「最低でも県外」などと軽い口約束をして普天間基地の移設を泥沼化させ、「海兵隊による抑止力は方便」とまでのたまったのは誰だったっけ。嘘も方便というのだから鳩山もウソつき。じゃあお前も人間失格だろ(笑)。この政治家、自分が昔言ったことをまるで覚えてない。大丈夫か?秘書も発言に注意するよう言っておけないのか?本当にあきれる。

 おそらく首相の座を手に入れるラストチャンスと見ていたであろう小沢氏の政治生命も、これで終わりに近づくはず。地盤が岩手なんだからほかにできることもあったろうに。合同誕生会だの、不信任案提出前日の造反集めパーティーだのする金があるなら、被災地に送りなさい。いつの間にかまんまと小沢氏に丸め込まれた恒三さまは何が理由なのかな。福島の出だから怒ってるのかな。田中角栄や中曽根康弘に影響されて原発誘致に手を貸したのもあなただけど。

 民主党がメルトダウン寸前の一方で自民党も大ダメージ。完全に一杯食わされた谷垣さんは下ろされちゃうのだろうか。「朝ズバッ!」の岸井解説員の見立てでは、自民党の狙いは菅総理をやめさせることではなく、むしろ菅は強情だから解散・総選挙に出るだろうと見越して、選挙に勝利して政権を獲得することだった、とのこと。これには目からうろこ、というか唖然。選挙に使う金があるならこれも被災地に送りなさい。震災直後には「協力できることは何でもする」とか言ってたが、どこが協力してるんだ?不信任案には「未曽有の災害を前に、われわれは(中略)菅内閣の継続を黙認してきたが」とある。「協力」から「黙認」とは薄情な人たちだ。政府の批判をするのは構わんが、国会の時間を無駄にされると困る。せいぜいツイッターでぼやく程度にしてほしい。

 大学の政治学の授業で「政治家は選挙に勝利するために政策を掲げるという見方がある」と聞き、政治家なんてそんなものか、とも思ったが、今の状況はそんな程度では済まないくらいに馬鹿げてる。政治家の皆さん、怒ってる人は朝日新聞だけではありません。3月11日に地震が起きた直後、各党の代表が一堂に会した時、自分は希望を見出していた。やっと政治がまとまってくれると思っていた。大連立構想が持ち上がった時も、菅と谷垣が手を取り合って写真に収まるような光景が生まれれば、それはそれで結構いいことじゃないか、と思っていた。谷垣は今回の失敗を、武田信玄をあと一歩で逃がした上杉謙信の言葉を借りて「流星光底長蛇を逸す」などとかっこつけてるが、信玄と謙信のもっと有名な「敵に塩を送る」という精神はないのか。自分は政治に対してなるべくドライな見方をするように心がけてきたが、まだまだ甘いのか。政治家は党と親しい省庁と支援者団体のことしか考えないものだ、国民や、まして田舎の被災地のことなど関係ないのだと、冷たく見なきゃいけないのか。何だか悔しい。

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4 コメント

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Unknown (taka)
2011-06-06 09:48:33
ちょっと覗いてみた。

今回は特に鳩山の友愛(笑)が光ってましたね。
人のこと嘘つち呼ばわりできる立場でもないだろうに。
3.11で結束するなんて期待も確かに甘かったかもね。
だってあいつら自分のことしか考えてないもの。

これから日本どうなるんでしょうね。
こんなアホなことばっかやってると国民の政治意識はゆとり教育の弊害と相まってひどいことになるぞ。
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Unknown (管理人)
2011-06-07 01:39:26
takaさん
コメントありがとうございます。
友愛はすごかったですが、やっぱり自分のメンツのほうが勝っているようです(笑)。
ああいう世界にいるとどうしても心が歪んできちゃうのだろうか。
何だかブラック・スワンより恐ろしい。

そろそろ我慢ならない人々も出てくるはず。
自分は最後まで希望を捨てたくないな。
政治不信は人間不信と同じだからね。
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Unknown (shige)
2011-06-08 22:43:24
 全くおっしゃる通りですね。

 管が総理を辞めれば連立を組む用意があると谷垣が国会で明言してしまったのは、
自民党としてはかなりの戦略ミスだった気がします。

 自民党があわよくば解散総選挙からの政権奪取を狙っていたというのはその通りだと思いますが、
どの政党が(或いは誰が)この状況で政権を取ったところでうまく解決することはほぼ不可能で、不満が高まるだけ。
そういう意味では、かえって自民党は命拾いしたのでは、とも思います。
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Unknown (管理人)
2011-06-10 02:26:16
shigeさん
コメントありがとうございます。

確かに。今の状況で政権を取ってもうまくいくなんて無理でしょうね。
そこで、政権運営の責任を回避するための大連立なども持ち上がっているのだと思います。
ただ、岸信介のように、どんなに国民から反発されても「自分のしたことが将来のためになる」
と猪突猛進して政策を実行するパワーと、その後潔く身を引く責任感のようなものを備えた人は出てこないでしょうか。
独裁一歩手前になる故、難しいところですが。
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