ちびたの日常

のんびり息子と猫たち&イギリス人ハニスケと

私は知ってるよ。

2008-01-24 | 私の愛する仲間たち
私が高校のころバイトしていた大型のディスカウントショップにとても優しいおばさんがいました。
そのディスカウントショップはその頃一番安いので毎日人がたくさん来て、授業員もたくさん働いていました。
安さのせいでもあるのですが安いこと意外に何の取り柄もない店で、従業員の教育の悪さと来たらバイトの私が恥ずかしいくらいでした。
思いやりだの真心だの全く無縁で、お客さんも事務的に割り切っている雰囲気でした。
あるときその優しいおばさんがパートで入ることになり、挨拶に来られました。
私は仕事中で、あまりその時は話さなかったのですが もの静かですこしおどおどしているような印象でした。
毎日休憩室で会うのですが 私たちの話しに混ざることもなく静かに笑っている人でした。
私は人見知りするタイプではなかったので、そのおばさんに自分の家族のことや学校のことをよく話しました。
あるときおばさんがレジ打ちをしていたとき、荷物がたくさんになって持つことがやっとのおばあさんがいました。
おばさんはレジを離れてしまい、そのおばあさんの荷物を一緒にもって車の荷台へ積んであげました。
そのとき隣のレジのバイトの人が「どこにいったんだ!」とどなりました。
私が代わりにレジに入って次のお客さんをしているとおばさんが帰って来て「ありがとうね」とまた代わりました。
それを見ていた別の店員が二人がかりで「客にあそこまでする必要はないんだ!」とおばさんに怒りました。お客さんがたくさん見ている目の前で。
おばさんは小さく「すみません」と言いました。
お客さんはみんな顔を見合わせていました。そんなあり得ない発言に耳を疑うでしょう。
私は休憩のとき「おばさん悪くないのに。なんで謝ったの?」というと「いいんです」と言いました。争いごとが嫌いなんでしょう。
その後もその店の傲慢さは自然と評判になり、私はまわりに「あなたがバイトしてるところって客に対して最悪よね」と言われるようになり、私も自分から「安物が欲しいんじゃないならうちに来ちゃダメよ」と言うようになりました。
バイト代もためて自動車教習所に通い、忙しくなった私は辞めることにしておばさんに「勉強しなきゃいけないから辞めるよ」と言うと「自動車学校のお金も自分で都合して大変だったのに今度は勉強で忙しいんだね。がんばるんだよ」と言ってくれました。
私が辞める日、自転車置き場まで追いかけて来たおばさんは「夜食に食べて。勉強頑張ってね」と言って私にお徳用のパイの実のお菓子とポンジュースを渡しながら とっても腰が低いお辞儀を何回もして帰って行きました。
その後一度だけ町で子供と歩いているところを見かけたのですが、私が運転していて一瞬だったので声をかけることができませんでした。
地味でもの静かだけど人のために一生懸命になれる強いおばさんだと思いました。
あの評判の悪い店で、子供ほど年が離れたバイトの人にねちねちと言われてもはいはいと言う通りにしていたおばさんだったけど 私は誰より親切で、人のために親身になれる人だと思いながら見ていました。
あのおばさんはきっと誰かに褒めてもらおうとか、自分は立派だとか考えていなかったでしょう。普通のことをしているという感覚だったのではないかと思います。
あれから17年経っていますが、私はあのおばさんに会ってみたい。
また会えたらおばさんからもらったポンジュースのお礼をしたい。
おばさんがいい人だってちゃんと私見てたよって言ってあげたい。
だれかに認めてもらおうなんて思ってなかっただろうけど、びっくりするくらい不器用な人で、失敗もたくさんしていたけれどそれでも家族のために一生懸命生きていたあのおばさんに親切にしてくれてありがとうと言いたい。
それでおばさんが たまに温かい気持ちになれるならいいのにと思う。
コメント (3)
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