戦闘によって受けた傷を癒すため、軍のトレゾア研究施設へ赴くゲッコーステイト。
そこは、エウレカがかつて過ごした場所だった。
そこで、世界で初めて発見されたLFO、ニルヴァーシュの作られた経緯を知るレントン。
エウレカは、自身が変わったことを受け止め、エウレカに促されたかのようにタルホもまた、変化を受け入れていくのだった。
【ファーストインプレッション】
第30話。結構なところまでやってまいりました。順調にいけば、残すことあと20回。
ひとことでいえば、第1話から誰もが疑問に思っていた、LFOとエウレカの起源に関する根本的な伏線と謎の大半(世界観の設定)を、あからさまなドキュメント映画のみで堂々と説明してみせた・・・という、脚本構成に賛否両論の意見が予想される回でした。新キャラ続々登場&レギュラー陣の心情変化の過程が描かれることで、強引な進行にも関わらず、心地よい後味が残るなんとも不思議な回。
【今週のみどころ、ツっこみどころ】
●唐突に出現した解説字幕。「トレゾア技研」って、見れば分かるのになんでまた。マジンガーZで秘密基地を映しながら「光子力研究所」って字幕つきで紹介してるノリ。どんなとこかと思いきや、実態はビークル&ロボット開発のホンダ技研。
●火器携帯の少人数で軍事研究所を制圧できるという楽観主義のみなさん。最新兵器の研究所なのに保安部隊は存在しないらしい。
●偽造はまかせて!というヒルダの爽やかな笑顔。
●シフト8時間延長(えー?)とアナウンスするときの、モリタのオーバーすぎるポーズ。
●あまりにもまんまな、あのキャスティング。 せーの・・・「りっちゃーん!」
●(↑)で、同じ声のニコ・ロビンの外見は今週からタルホっちが担当します・・・(ややこしいな)。
●ドキュメント映画の意図的なダサBGM。デンデケデンデ・・・。
●よーわからん研究員のスーツ。KKKチック。試験起動中に有毒な粒子などが飛散するおそれがあったんかいな。
●ニルバーシュ体操。「・・・こんどは自動車のようになりました」 ・・・おい。
●ロンゲ・エウレカー! 在りし日の美エウレカー!
●「ヘンな映画だったね」「うん」・・・それで済ませようとか思ってる?
●特殊シフトの実態。ノリノリで開発作業を行おうということなんだろうか。22話のビームス夫妻との出会いシーンでも感じましたが、曲が流れてきたときのみんなのノリが、異星人チック。エセ・フューチャー。気持ち悪い。クラブのノリって、こういうもんなの(笑)? 曲はジジくさいらしい。
●モーリス、カツ化(ストーリーに害をおよぼす電波キャラ化)へ一歩前進! ・・・かと思われていたが、ストナーにくっついていることから、単なる親離れフラグ説が有力に。まあ健全ですこと。
●大改造・劇的ビフォー&アフター!! タルホっち、今後あれでいくのん? それで視聴者よろこぶのん? なあ?? ヘンな衣装についても突っ込みが集中。
【初登場人物】
・モリタ所長
・ソニア=ワカバヤシ
・ドクターベア(声なし)
【伏線とか】
●いなくなってしまったダイアン。
●顔を合わせると何か起こりそうな、ミーシャとベアの関係。元夫婦とか、そんなんー?
●やっぱり地中奥深くにコーラリアンの母体というか、中枢器官が存在するのだろうか。デューイ率いる「アゲハ隊」はこれを葬ることで、この惑星が完全に人類のものになると考えているもよう。
【判明した事柄・世界観】
●裸ニルバーシュ。最初に発見されたのが唯一の複座アーキタイプだなんて。そこに惑星の意図を感じます。きっと何か特殊な信号を発して当時の研究者を呼び寄せたんだ。
●ソリタン。
●光成型でカウルを作って、職人仕上げですって! EDクレジットに「協力:ホンダ技研」とか出てたらどうしよう。
●ニルバーシュ誕生、LFOの歴史。しかしその見せ方に対しては「・・・」というしか(笑)。
●アクセルがニルバーシュを知っていた理由。じっちゃんはボード担当だったのね。じっちゃんは元はトレゾア技研にいたそうな。
●次回予告でチラっと映っているが、アゲハ隊の特殊兵器は複数存在しているみたい。LFOのアーキテクチャを用いているならば星の遺産で星の命を奪うという萌え設定ですが、なんだかどこかでみた量産型EVAみたいですね。有人無人かは不明。
レントンとニルヴァーシュの関係を調べるため、ベルフォレストを探索していたドミニクは、レントンの祖父と接触する。その頃、主なき月光号では、どこへ向かい、何をすべきか、今後のあり方をメンバーそれぞれが考えねばならなかった。そんな中、レントンはタルホから、エウレカに関する衝撃的な真実を告げられる。【公式あらすじ】
激動の29話。前半のAパートはまるで総集編を思わせるようなドミニクの独白から幕をあけますが、それは後半で語られる衝撃の事実を(何度も見直しているファンはおおよその見当がついているかもしれませんが、そんな人ばかりではないので)少しでも多くの視聴者に理解させるための前フリであって、一切使いまわしの絵はありません(OPには使い回しがあるけど)。では本編あらすじ。
レントンの育った街、ベルフォレスト。ここでの戦闘をきっかけにニルヴァーシュの性能が飛躍的に上がった場所であり、サマー・オブ・ラブ以来初めてセブンスウェル現象が観測された場所でもあります。ドミニクはこの地にそれらの手がかりを求めてやってきたのですが・・・いきなりバイクで女の子を轢きそうになります。危うく避けますが、バイクは大きく転倒し、黒煙を噴き故障してしまいます。バイクを押して、軍施設(士官学校?)の前の坂道で、ちょうど通りかかった3人組の女の子に、バイクを修理できるところはないかとたずねます。
工場地帯を女の子たちと一緒に歩いていくと、そこには凧を揚げる一人の老人の後姿が。レントンの祖父、アクセル・サーストンです。探していた人物に偶然出会うことができ、ドミニクはバイクの修理を口実にアクセルへと接触しようとします。
一方、月光号では、レントンがエウレカに、白鳥号でビームス夫妻と過ごした、短い日々のことを話していました。第2クール中に描かれなかった細かいできごとの数々が、ストーリーをより魅力的にしているのですが、見ていて頭に浮かぶのは「でも、すでに死んでるんだよねぇ・・・」「それにしてもこの絵のクオリティはどうしたことだろう」ということだったりして。絵のスゴさには由々しきものがあります。あからさまに線が少ないというか、上手な漫画家なのに小さなカットになったとたんに線の省略に違和感が生じ、ヘタクソになってしまう作品を見ているようなカンジです。
話している途中、レントンもビームス夫妻がもういない事実に感極まって、チャールズの形見の結婚指輪(ペンダントにして首にかけていた)を引きちぎり、泣き出してしまいます。「なぜ、レイさんとチャールズさんが死ななければならなかったのか・なぜホランドは二人を殺さなければならなかったのか(自分とエウレカを守るためだということは分かるけど、それでもなぜ殺してまで・・・!)」
それまで相槌をうちながら聞いていたエウレカは、ビームス夫妻とホランドが戦った理由を、「私がホランドではなく、レントンを選んだから」と説明します。ホランドはそのために、レントンを守るにはビームス夫妻を殺さなければならなかったというのです。
エウレカは続けて、大事な告白をしようとしますが、それを告げたとたんレントンに嫌われてしまうのではと、言葉を続けることができませんでした。レントンはそんなエウレカを見て、「もしも言いづらいことなら、エウレカが話したいって思うときに話してくれればいい」「エウレカがおれを選んでくれたのなら、ずっと一緒にいよう・・・レイさんとチャールズさんのぶんまで」と、形見の指輪を握りしめながら、やさしく言いました。エウレカは、その手に自分の手を重ねて「ぅん」と答えるのでした。
場面は再びベルフォレストへ。クラスメイツ3人娘がなかなかイイ味を出してきてまいりました。視聴者にかわってドミニクに質問をぶつけてはツッコミを入れてくれます。ドミニクはゲッコーステイトの一員かどうかという問いには答えず、レントンの友達だと説明して、アクセルの工場へと招かれました。
アクセルはレントンのことを気にかけており、ゲッコーステイトのメンバーでレントンと行動をともにしていると思っているドミニクに対して、次はどこにいくのかなどと尋ねたりします。作り話が苦手なドミニクは声を裏返しつつもテキトーに答え、アクセルの信頼を得て、バイクの修理を手伝うのでした。
そして月光号。かつてレイとチャールズが白鳥号でそうしていたように、エウレカとレントンは館内をピカピカに掃除し、手の込んだ料理をメンバーにふるまったりします(レントンにとっては、自分が月光号に居続けるため、役に立つことをしなければならないという考えもあったようです)。一方、治療室でタルホは、目覚めないホランドを見つめながら、彼と同じ苦労を背負うことを決意しました。そして・・・。
エウレカとレントンの手料理を食堂で楽しむメンバー(ホランドとタルホ以外の全員がそこにいるのがポイント)。絶賛したヒルダに続き、ストナーもその味に感心します。他のメンバーも夢中に食べ、食堂は和やかな雰囲気に包まれます。ハップはレントンの決意を応援することを表明し、ムリに理由をつくらずともレントンは月光号のメンバーなのだとはっきりと言ってくれました。
・・・さあ、みなさん心の準備はいいですか? 食堂にタルホがキツイ表情で入ってきました。そしてレントンに向かって、「ゲッコーステートは家族ごっこをするために作ったんじゃない」と告げました。レントンはこれを受け、「わかってます、この船は戦争をするためある船だと思います」と答えます。そして、崩壊へのカウントダウンが始まります。
タルホ「何のための戦争か知りもしないで、一緒に戦えるの?」さん、
レントン「戦えません」にい、
タルホ「この戦いを最初にはじめたのが、あなたのお父さん、アドロック=サーストンだとしても?」いち・・・
ドバーン(きっとチャブ台返しの音)!という効果音に続き、タルホ姉さんがレントンに向かって真実をぶちまけはじめました。これまでに散りばめられてきた伏線と謎の大半を、一息にネタバレしたのです。途中でチャチャを入れるのも野暮なので、ここは彼女のセリフをそのまま全部引用させていただきたいと思います。
「軍の技術者だったアドロックは、この大地・・・『スカブ・コーラル』が知的生命体『コーラリアン』であると主張し、それを証明しようとした。だがグレートウォールを中心に開始された調査の過程で、スカブ・コーラルの影響と思われる人的被害が、調査員や軍関係者の間で拡大。これを受けた軍上層部はコーラリアン排除を決意し、結果、アドロックはこれに敵対した」
「彼には確信があった。コーラリアンが生命体であるという、絶対的な確信」
「ゆえに彼は共存を模索した。それを後押ししたのが『人型コーラリアン』の出現。その人型コーラリアンこそが、・・・エウレカよ」
タルホのネタバレに一同(設立メンバー以外)ドン引き。うすうす感づいていたストナーも、実際にタルホから明かされるとさすがに大きなショックを受けたもよう。ギジェットはエウレカが人間でないことを聞いても実感できずにパニックに。マシューはコーラリアンと聞いても球体の巨大雲しか想像できないようす。
「話は終わってないわ」タルホはハップに、軍の通信を傍受したことで、軍内部に再びコーラリアン掃討部隊が結成され、惑星地下深くに攻撃を加える新型兵器が建造されたのが分かったことを明かさせます。ストナーはその兵器のシルエットが写った写真を取り出し、その話が真実であることを裏付けます。
タルホが続けます。
「ホランドがゲッコーステイツを作った理由はただ一つ。アドロックの遺志を継ぎコーラリアンと唯一アクセスできるエウレカを守るため」
「だがそれは等しくこれから後、世界を敵に回すことも意味する。 ・・・その覚悟、あなたにはある?」
レントンはタルホの問いに「・・・あります」としっかりと答え、険しいタルホの瞳を見返すのでした。
レントンの覚悟にタルホはフッと息をつき、それならこの先は決まっているというように、ハップに「トレゾア」に向かうよう指示を出しました。
ハップは渋りますが、「今のニルヴァーシュを修理できるのは、あそこにいる連中だけだわ」「ホランドならそうする」とタルホは譲りません。
タルホが食堂から出て行くと、スティーブ、ウォズ、そしてケンゴウと他のメンバーも食事を中断し、次々に食堂を去っていきます。みな、これからやること、自分のすべきことをわきまえているのでしょう。レントンの料理はみんなに受け入れられ、まずいから食べないのではなく、あとできちんと食べるからと暖かい言葉をもらいます。
ハップはこのようすを見て、他のメンバーにも的確な役割と指示を与え、この瞬間に月光号の次の目的地はトレゾアへと決定しました。
非ブリッジ要員である他のメンバーも、レントンとエウレカを残し食堂を後にします。
残された二人。エウレカは、嫌われたくなかったからレントンに自分がコーラリアンであると言い出せなかったと告白します。レントンは「最初から君は僕にとっての特別で、他の誰とも違うんだ。 ・・・君は、君だよ」とエウレカを励まします。涙を流しながら微笑むエウレカ。胸にぐっとくる笑顔です。
翌朝、ベルフォレスト。工場の軒先のつららが日の光を受け、ぽたぽたと雫をたらします。今週はよく涙が流れる回でした。
アクセルが夜通し修理したおかげでバイクもすっかり直り、ドミニクは出発することになりました。別れ際にアクセルからレントンを頼むと頭を下げられ、また、「他人じゃないような気がする」「いつでも遊びにきておくれ」と、家族同然に受け入れられたことに感極まって、ドミニクもまた涙をぼろぼろ流すのでした。
実の父親から実際のアドロックについて聞かされたこと、そして敵対すべき立場のアクセルに敬愛の念を抱いたことに気づいてしまったドミニクは、流れる続ける涙を、またもやピーキーにチューンされてしまったバイクのせいにして、ベルフォレストを後にするのでした。「何をやっているんだ私は・・・! ・・・こんなこと、大佐に報告できるわけがない!」
その姿を見送る3人の男の姿がありました。ベルフォレストの住民に変装していたものの、その発言から軍の諜報部員かと思われます。
そして月光号。トレゾアに向かうすべての準備が整い、いよいよカウントダウンというところ、病室ではホランドが目を覚ましました。様子を見守っていた3人の子供がミーシャを呼びに外に出ると同時にブーストが火を噴き、月光号は大空のかなたへと小さくなっていくのでした。
【今週のみどころ、ツっこみどころ】
・雪が積もってます。思いっきり冬です。この惑星に季節はあるようです。「秋」という言葉を知らない人たち(→17話)は、この季節をなんと呼ぶのでしょう。
・アドロックの墓碑の前で、それとは知らずアクセルの挙げていた凧を見上げていたときに何者かの気配を感じるドミニク。さすが特務大尉。誰が隠れていたのかはBパートで。
・女児祭りその1。バイクに轢かれかけた幼女。このあと住民が寄ってたかってドミニクに石を投げつけるのではと思って見てました。
・女児祭りその2。レントンのクラスメイツ再び!
・サーストン工業の刺繍入りのオーバー。工房もあるし、元気に暮らしているようでよかったよかった。
・アクセルの凧はリフレクションフィルムで作ったっぽい。きっとアレだ、トラパーを受けて揚がりやすくなってるんだ。上空でキラキラ輝いてきれいという効果も。
・ray=out最新号。総集編でストナーが書いていた記事が掲載されている号のようです。ていうか、小さく2005年って書いてあるんですけど(991+14=1005だと思います→18話参照)。
・メガネっ娘に言われるまでもない、ドミニクの私服のセンス。欧州貴族が着てそうなシャツですね。きっと名家の出なんだ。
・メガネっ娘1号がray=outに載っている、レントンとタルホが組んずほぐれつしている写真(しかも見開き)をじっちゃんの前で広げて「この二人ってどういう関係なんですかー?」
・しかも1号は明らかに1話でレントンをキモイと言っていたにもかかわらず、メガネっ娘2号に責任転嫁。レントンに恋愛フラグの予感!
・ゲッコーステート、今度は第1次清掃ブーム! トイレが、あのトイレが輝きを放っているよー(ドギー兄さんも感極まって絶叫)!
・アイキャッチに効果音がそれぞれつきました。
・女児祭りその3。3人娘、そろってストーブの前で無防備に眠りこけるの図。いやーん。
・女児祭りファイナル。メーテルの顔アップだけ唐突にクオリティ高くて、度肝抜かれました。
・伝説の職人が修理したバイクはコンパクドライブの輝きも違うそうです(バイクのコンパクドライブのOSにもアクセルが手を入れたかは不明)。
【初登場人物】
・ドミニクのバイクに飛び出した女児とその母親(絶対2度と出てこないしどうでもいいや)
・ドミニクの行動を報告する諜報員たち
【伏線とか】
・対コーラリアン兵器の存在(地下に総攻撃をかけるんですって! ・・・ドリルか? マジメに分析すればspec2の飛行形態のようなシルエット。ジ・エンドの派生形態?)
・クラスメイトのメガネっ娘1号のレントンに対する恋愛感情が今後ドラマのなかで描かれるかどうか
・コーラリアンという存在が惑星そのもの、つまりは一つだけの存在であるという認識が正しいのかどうか(KLFに攻撃したのは生体ファンネルのようなものか)
・スカブ・コーラルによる人的被害が絶望病そのものを指すのかどうか。
【判明した事柄・世界観】
・エウレカが人型コーラリアンで、ホントに人間じゃなかったという事実。
・ドミニクのスゴい私服。
・ホランドのセリフが「ううっ」の一言しかなかったということ。