
"V for Vendetta"
2006年アメリカ
監督)ジェイムズ・マクティーグ
出演)ナタリー・ポートマン ヒューゴ・ウィービング スティーブン・レイ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて
近未来、独裁国家と化したイギリスでは市民は監視下に置かれ、息苦しい生活を送っている。
ある夜、夜間外出禁止令を破り深夜街に出たイヴィー(ナタリー・ポートマン)は自警団に襲われそうになったところをV(ヒューゴ・ウィービング)と名乗る仮面の男に救われる。
Vはイヴィーの目の前で中央刑事裁判所を爆破し、それは革命の序章に過ぎないと告げる。イヴィーがVと一緒にいたことを突き止めた公安当局は彼女を追うが・・・。
DCコミックの原作をウォシャウスキー兄弟が脚色、『マトリックス』シリーズの助監督ジェイムズ・マクティーグが監督。
いやー、盛り上がりました、ラスト・シーンとそれに続くエンディングで流れたストーンズの『ストリート・ファイティング・マン』。
暴力は暴力によって覆されるべきものなのか?
Vは革命家なのか、ただの復讐者なのか?
そんな疑問を一気にどうでもよくしてしまうカタルシス。
Viva la Revolution!
ラストではかように青臭く盛り上がってしまうわけですが、そこに至るまでは随分と抑制された作りです。一応Vというアクション・ヒーローが主人公なわけですから殺陣の場面がテンコ盛りなんだろうな、という予想を裏切る展開。どちらかというと、『未来世紀ブラジル』だの『1984』だのの全体主義国家を描いたディストピア映画の趣。
この作品の原作コミックはサッチャーの保守党政権時代に発表されており、多分にその強権的な政治手法・イデオロギーに対する批判がこめられていたようです。つまり、この作品の未来は決してあり得ないものなのではなく、確実に現在と地続きであるのだと。
チューブの中を走る未来カーもウルトラ・モダンな高層ビルも出てこない、つまり現在と殆ど変わらない未来のロンドンを見るとそんなことを考えてしまいます。
そんな未来の革命家・復讐者Vは結局最後までその仮面を取ることは無いわけですが、その半笑いの表情の仮面の造形がまたうまく出来ています。 Vはシリアスな場面でもニヤニヤ。アクション・シーンでもニヤニヤ。こんな仮面のイメージが、Vの印象を随分シニカルに見せているし、それがこの映画をさらに英国っぽい雰囲気にしているような。
なかなか重厚で見ごたえのある作品なのですが、もしかしてこれ、続編とか作られないだろうな・・・。
コレは本当に面白かったですよ。何か、お気に召さなかった方もいらっしゃるみたいだけれど、TBの数は多いんですよ。とにかく、観に行く人が一杯いると言う。
私は学生時代、歴史の勉強をとにかくサボってました。授業中も居眠りしてる事が多かった気が。その分、今更ながら映画から学ぶ事がとても多くて。こういった作品は大好きですわ。
Kenさんは、なかなか得意分野なのでは?私は恥かしながら「ガイ・フォークス・デイ」なんて全然知らなかったの。ビッグ・ベン、地下鉄と、イギリスらしい風景が映し出される度に、ロンドン旅行した時は一体何を見てたんだ?と自分が恥かしくなってしまって。
それと【V】の仮面。記事にも書いたけど、前半はニヤニヤしてるみたいだったけど、後半は泣いているように見えてしまったのね。何か、般若とかもそうだけど。お面って表情が無いようで確実にあるんだなぁとか思ったり。
ふふふ。Kenさんも評価高めで何よりでした。
ところで。「隠された記憶」は、興味ありますか?コレ、是非ご覧になって欲しいわ。核心には全く触れられないけれど、観た人の色んな意見を聞いてみたい1本でした。
いつも長くなってしまってゴメンなさい。
>コルトンプラザ?
そうです、コルトンプラザです。総武線の本八幡と下総中山という駅の間にある商業施設、それがコルトンプラザであります。ちょっと不便な場所ではあるんだけど、シネコンの中ではTOHOシネマズ系って好きです。本編の前に流れる劇場の宣伝みたいなフィルムとか、ちょっと気が利いてて洒落てるんですよね。
>お気に召さなかった方もいらっしゃるみたいだけれど
他の方の記事あまり読んでないのですが、アクション場面が少なかったのがダメだったのでしょうか??
僕は全編ダークな雰囲気が結構気に入りましたです。
僕は大学受験で世界史選択だったのですがかなり苦手だったので、映画を観て学ぶことはやっぱり多いです。受験は結局詰め込みで歴史に全く興味が持てなかったわけですが、映画を観てやっとそのとき学んだ事実の羅列が線につながってきて面白く感じることがよくあります。こういうのって楽しいですよね。
『隠された記憶』、これは観に行きますよ!新ユーロスペース行ったこと無いので、それもまた楽しみです。
5日間の内に3本というのは、一般的に言うと多いと思うのですが。どうやらブロガーの方々は「はしご三昧」は当たり前という勢いの方も多いみたいですわ。確かKenさんもまとめて観に行くような事を仰っていた気がするのですが、調子はいかがでしょ?
「ブロークン・フラワーズ」は観ましたよ。「ぼくを葬る」では泣いてきて、GW最終日あたりは「レント」で締めようかと計画中です。こうなってくると、【V】さんを2回目行く時間は作れるかどうか微妙になってきました。それよりも2回目行くなら「隠された記憶」にしたいなー。(ちょっとしつこいですね。でも、観るのであれば是非とも感想を聞いてみたいんですわ。)
【V】はさておき、Kenさんはあと何を観るのかと思い、足跡残し。それにしては、やっぱり長くなってしまって大変失礼致しました。
今日はすごく気持ちの良い天気でしたね。
やっと春めいてきました。
僕は昨日BBQに行って、後は映画3本+ゴルフの練習(!)ですね。いやー、営業職という身でありながら今までゴルフから逃げ回ってたんですが、今の会社に入ってついにやらざるを得なくなってしまいましたよ。来週末初めてコースに出るので、練習しなくてはならないのです。
隣の評論家さんのところにもコメントを残したのですが、今日は『隠された記憶』と『僕の大事なコレクション』を観てきました。あとは『レント』を観に行くつもりです。
『ブロークン・フラワーズ』と『グッド・ナイト&グッド・ラック』は既に観たのですが、うーん、記事のアップが追いつかない今日この頃です。
これ面白かったです。
あの仮面の使い方はうまいです
能でもそうですけど、一枚の面で「喜怒哀楽」を感じさせるいい使い方ですよね。
体の動き声の質で、仮面の下の顔を想像させる
それによって観客はのめりこめる気がします。
Vを追い詰めてゆく刑事、特に冴えないオジサンのスティーヴン・レイが、
敵でありながらどこかVの心情を理解できる、そんな内面を持つ男を地味ながらしっかり演じられていて、
彼らしい持ち味が出て嬉しかったです。
なんてことを言っているのは、わたしくらいでしょうか…
悪役なのか、善人なのか。
笑っているのか、泣いているのか、怒っているのか。
微妙なニュアンスが全てひとつの仮面にこめられていて。
顔やボディー・ラインが丸見えなスーパーマンとは真逆のヒーローで、それがまた英国っぽさを感じさせてくれました。
あのくたびれた英国版刑事コロンボみたいな風情が何とも言えなかったですよね。
ああいう会議に出るくらいだからエリートの筈なのに、生活感があって。
ニール・ジョーダンの新作『プルートで朝食を』もすごく楽しみです。
この映画、字幕読めなかったので、、、
何とも言えません、、、
あんなことしか書けませんでした、、、
Vさん、やけに饒舌で気障な引用をビシバシしてましたよね。僕はそういうセリフの内容をあまり追わないようにしておりました。訳がわからなくなりそうで・・・。