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セルロイドの英雄

ぼちぼちと復帰してゆきますので宜しくお願いしまする。

今年のベスト10!

2005-12-31 14:45:07 | 映画雑記

ブログをはじめて早5ヶ月。こういう今年を振り返るベスト10みたいな記事、秘かに楽しみにしてました。パンフレットなんか引っ張り出してきたりして、「ああ、こんなの観たなあ」とか「これは良かったなあ」とか。今年前半に観た映画なんかすごく懐かしい感じがしたりしてですね、パンフレットまた熟読してしたり。
今年は転職したりその間にふらふらしたりで時間があって、結構映画を観ることが出来ました。
映画を振り返ることによってそんな今年の自分を振り返る。
大晦日にすごく相応しい気がします。

ということで今年のベスト10!

1.Dearフランキー 
スコットランド人情話な感じが良かったです。
2.さよなら、さよならハリウッド
ウディー・アレン、近作の中ではいちばんキレがあったのでは?
3.
チャーリーとチョコレート工場  
ただただ楽しかった!
4.
ウィスキー  
地味なんですけどね・・・。独特の間がよかった。
5.大いなる休暇 
「田舎の島」モノ、好きなんです。『ウェイク・アップ、ネッド!』とか。
6.リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 
ちょうど前の会社を辞めようとしていたときで、結構考えさせられた映画です。
7.ターミナル 
空港が好きです。トランジットの時間とか全然気にならない。そんな僕なので、この映画のセットとか観ているだけで幸せな気分になりました。
追記)これ、2004年公開だったんですね。観たのが2005年だったので今年のベスト10に入れてしまいました。
8.
ハックル  
ビックリした!
9.ロング・エンゲージメント 
観た当初はそうでもなかったんですが、今考えるとジワっと来ます。
10.アビエイター 
デカプリオ、よくやった!

ついでにワースト3!

1.ロボッツ
子供もだまされないですよ、これじゃあ!
2.
ヴェニスの商人
ストレスがたまりました。
3.ライディング・ザ・ブレット
B級にさえなれない無個性作でした・・・。

こうやって振り返ってみると、単館系の地味な作品に良い作品が多かったですね、今年は。

最後になりますが、今年こちらのブログにコメントやTBを下さった方々、ありがとうございました。
そして来年も宜しくお願い致します。
それでは皆様、よいお年を!

コメント (18)
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【映画】ロード・オブ・ウォー

2005-12-31 11:45:15 | 映画ら行

"Lord of War"
2005年アメリカ
監督)アンドリュー・ニコル
出演)ニコラス・ケイジ イーサン・ホーク ジャレッド・レト ブリジット・モイナハン イアン・ホルム
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
有楽座にて

幼少時にウクライナからアメリカに一家で移民したユーリ・オルロフ(ニコラス・ケイジ)。親の始めた寂れたレストランを手伝っていた彼だったが、やがて銃の密売に手を染める。
弟のヴィタリ(ジャレッド・レト)と共に商売を広げてゆくユーリ。ソ連の崩壊とともに闇市場に溢れ出した膨大な武器を扱うことにより、彼は世界でも指折りの武器商人に成り上がってゆく。


ユーリがリベリアの支配者バプティスタ(この人物は実在したのでしょうか?)と商談しているとき、ユーリの売り込む新品のピストルをためつすがめつしていたこの独裁者が、おもむろに側近を撃ち殺すシーンがあります。
唖然とするユーリ。「何をするんだ!中古になってしまうだろ!」

このユーリという人物、あくまでも優秀なセールスマンです。その商品である武器によって何が起こるのか、全く関心を持ちません。そこに需要があるから供給する。自分がやらなければどうせ誰かがやる。想像力無し。
この資質、実はセールスマンにとって必要な資質なのではないか、と思います。色々考えてたらモノなんか売れないんですよね。考えなければならないのはあくまでも製品の性能と、どれだけ儲かるか。負の側面には気付いてはいけないし、気付いたとしてもそれにはあえて目を向けない。もしくは積極的に隠すことまでする。
ユーリは、こういうある種麻痺状態にあるんだと思います。だから優秀なセールスマンたりえたのでしょう。

「死の商人」であるユーリに対して、その言葉の響きほど嫌悪感を抱けないのは、むしろ親近感さえ持ってしまうのは、そういう全うなセールスマン的な趣にあるんだと思います。どんな場所にもスーツで現れるユーリ。自分はあくまでもセールスをしているのだ、という主張なのかもしれません。

この映画の優れたところは、最後に、このある種麻痺した感覚にキチンと「いや、それは違うよ」とクギをさしてくれるところです。
ほぼラスト・シーンでのジャレッド・レト演じる弟ヴィタリの行動。
半ばユーリに感情移入していた僕は、このシーンで感覚麻痺から引き戻されした。

今年最後に観る映画として相応しいのかどうかはわかりませんが、ピリッとした良い映画です。年末の有楽座、結構混んでましたが、こういう映画に人が沢山来ているとちょっと嬉しくなりますね。
コメント (13)
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【映画】秘密のかけら

2005-12-25 11:12:40 | 映画は行


"Where the Truth Lies"

2005年カナダ/イギリス/アメリカ
監督)アトム・エゴヤン
出演)ケヴィン・ベーコン コリン・ファース アリソン・ローマン レイチェル・ブランチャード デヴィッド・ヘイマン
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シャンテ・シネにて

1972年のLA。野心溢れる女性新進ジャーナリスト・カレン・オコナー(アリソン・ローマン)は、1950年代に一世を風靡したコメディアン・コンビのラニー・モリス(ケヴィン・ベーコン)とヴィンス・コリンズ(コリン・ファース)のコンビ解散の真相の取材を始める。
彼等は宿泊していたスイートを訪れていたホテルのメイド・モーリーン(レイチェル・ブランチャード)の死を境にコンビを解消していた。現在はそれぞれ別の人生を歩む二人に取材を進める彼女が達した真相とは・・・。
原作はルパート・ホルムズのミステリー小説。


アトム・エゴヤン、好きです。
何か大事なものを失ってしまった虚ろな表情の人たち。
過去と現在、虚と実を行ったり来たりする語り口。
そして結末に示されるささやかな救済。
複雑な映画の構造に観ている間は結構混乱させられるのですが、後味がジワジワと来るんですよね。

で、この『秘密のかけら』。相変わらず複雑なことになってます。焦点は、コンビ解消の原因となった1950年代のある夜で、この場面が回想シーンとして繰り返し出てくるのですが、これが細切れで時系列も行ったり来たりで最初は戸惑ってしまうんです。ただ、これに慣れてしまうとなぜか気持ち良い。あとは醜く爛熟した芸能の世界に酔うだけです。

ケヴィン・ベーコン、それにしても存在感あります。僕の世代だと何と言っても『フットルース』のイメージが強いわけで、『スリーパー』で極悪看守を演じていたときはとにかく違和感ありまくりだった彼ですが、もうすっかり悪役専門みたいな位置についてしまいましたね。この路線、断然支持します。

エロくも切ないこの映画、やはりラストにきっちりと救済らしきものが用意されていて、微妙な余韻を残してくれます。決してエゴヤンのベスト作品だとは思いませんが、コンスタントに平均点以上の作品を発表し続けるこの監督の底力を感じます。

コメント (20)
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【映画】キング・コング

2005-12-18 11:55:09 | 映画か行


"King Kong"

2005年アメリカ
監督)ピーター・ジャクソン
出演)ナオミ・ワッツ ジャック・ブラック エイドリアン・ブロディ トーマス・クレッチマン満足度)★★★ (満点は★5つです)
ワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典にて

地図にも載っていない絶海の孤島をフィルムに収めることに執念を燃やす映画監督カール・デナム(ジャック・ブラック)は、街で偶然見つけた主演女優アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)や気鋭の脚本家ジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)らとともにスカル・アイランドに乗り込む。
未開の原住民に囚われたアン。彼女はその島に住む巨大類人猿コングへの生贄に差し出されてしまう。


3時間以上のこの映画、とにかく長かったです。
ピーター・ジャクソン、自身のフェイバリット・ムービーのリメイクということで相当力が入っていたのか3時間中だるみなし、とにかくずっと濃いんですよね。ちょっと疲れてしまいました。

こだわりにこだわったんでしょう、全編すごい説得力です。巨大虫とかリアルに気持ち悪かった。アンが恐竜に襲われて空洞になった木の中に隠れて息を潜めているときに虫が迫ってくるところなんか、凄いですよね。ピーター・ジャクソンの映画的センスの良さというか悪趣味っぷりというかが存分に発揮されています。

そんなアンはコングによって恐竜から救われる訳ですが、この映画の白眉とも言える彼女とコングの交感、これは美しい。二人で見るスカル・アイランドの夕日、エンパイア・ステート・ビルの朝日とも、アンのセリフ通り"beautiful"でした。ナオミ・ワッツさん、何か良い人そうで好感度大な女優さんですよね。特徴のなさが特徴になっている不思議な方です。

ジャック・ブラックの演じるエキセントリックな監督デナムはどうもオーソン・ウェルズをモデルにしたらしいですが、そういえばジャック・ブラック、ふてぶてしい感じが良く似てますね。この映画の中で一番好演していたと思います。

こうやって書いてみると作りこまれた良い映画なんですけどね、何かノレなかったんです。
もうちょっとテンポ良く短くしてくれたほうが僕は良かったような気がします。

コメント (33)
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【映画】ザスーラ

2005-12-18 10:36:00 | 映画さ行

"Zathura"

2005年アメリカ
監督)ジョン・ファブロー
出演)ジョシュ・ハッチャーソン ジョナ・ボボ ダックス・シェパード クリステン・スチュワート ティム・ロビンス
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
サロンパス ルーブル丸の内にて

パパ(ティム・ロビンス)が仕事で出かけてしまい、家に取り残されたダニー(ジョナ・ボボ)は兄のウォルター(ジョシュ・ハッチャーソン)に遊んでもらおうとするが相手にされない。挙句の果てに地下室に閉じ込められてしまったダニーはそこで埃をかぶったブリキ製の古いゲーム盤"Zathura"を見つける。
宇宙が舞台のその双六ゲーム、レバーを引いて遊び始めるダニーだったが・・・。
原作は『ジュマンジ』の絵本作家クリス・バン・オールスバーグ。


映画館もネーミング・ライツを売り始めたのでしょうか、微妙な語感ですね”サロンパスルーブル丸の内”。

さて、この映画全然期待してなかったんだけど、意外に面白かったです。何か懐かしいんですよ。昔観てわくわくした子供映画、という雰囲気で。何も考えなくて良い。ただ画面に次から次へと現れる危機にハラハラドキドキしながら身を任せていれば良い。こういう映画は大画面で観るに限りますね。DVDで観てもそれほどグッと来るとは思えない。

懐かしい、と書きましたが、それはこの映画に登場するロボットや"Zathura"のゲーム盤そのもののレトロなデザインにも依るところも大。"Zathura"なんかブリキ製ですからね。もう『三丁目の夕日』に出てきそうな代物です。ダイ・ハードな怪力ロボットも1950年代のアメリカ映画から抜け出てきたみたいなチープさで、とんでも凶悪なんだけどユーモラス。

まあ、話の筋は子供向きですからそんなに複雑であるはずもなく先を読めてしまう部分もあるのですが、ちょっとしたツイストも良い塩梅で入っていてそれなりに楽しめます。

繰り返し観る映画ではないけれども、単純にハラハラドキドキしながら映画の世界に持っていかれてしまう、という映画らしい映画だと思います。

しかし、ティム・ロビンス、これはほとんどカメオ出演ですね・・・。
コメント (9)
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【映画】ウィスキー

2005-12-14 00:14:32 | 映画あ行

"Wisky"

2004年ウルグアイ/アルゼンチン/ドイツ/スペイン
監督)フアン・パブロ・レベージャ パブロ・ストール
出演)アンドレス・パソス ミレージャ・パスクアル ボルヘ・ボラーニ
満足度)★★★★★ (満点は★5つです)
DVDにて

ウルグアイで親から譲り受けた小さな靴下工場を営む独り者の兄ハコボ(アンドレス・パソス)とブラジルに渡って妻子ももうけ幸せに暮らす弟エルマン(ボルヘ・ボラーニ)。
エルマンが久しぶりに帰郷することになり、独り者であることを恥じたハコボは工場の従業員マルタ(ミレージャ・パスクアル)に弟がいる間だけ夫婦の振りをするよう頼む。


ウルグアイの映画が日本で紹介されるのは初めてのことだそうです。それだけでとても興味深いのですが、この映画はそういう興味を超えて味わい深い面白い作品です。

映画の冒頭、車のフロント・ガラス越しに見えるまだ夜も明けきっていないモンテビデオの街。やがて車は薄暗い、そしてくたびれた風情の街の中に滑り出してゆきます。運転しているのはハコボ。いつも通りの単調で冴えない一日がまた始まることが暗示されます。
冴えないレストランで冴えない朝食を摂り、冴えない女性従業員(マルタ)が待つ冴えない靴下工場に通う。いつも時間通り。その細かい仕草までが測ったように毎日繰り返される。
この感じがすごく好もしいんです。
毎日繰り返されることによって洗練の域に達しているかのごとき一挙手一投足が、ものすごく心地良い。いさぎよい。

この、ある意味調和した生活に波紋を起こすのが弟エルマン。ブラジルで成功した彼に見栄を張るべくマルタに夫婦の振りをすることをお願いするハコボ。ここからどこまでも静かな心理劇が始まります。
うきうきするマルタ。
マルタに対して感情が揺れ動くハコボ。
この静かで慎ましやかな二人の心の動きがセリフで語られることはありません。あくまでも微妙な仕草や表情から漠然と二人の心の動きを読み取るしかありません。
この慎ましやかさが、すごくチャーミングです。

余韻を残すラスト・シーンと言い、抑えに抑えた演出と言い、そこはかと漂うユーモア感と言い、僕にとっては文句のつけようのない作品です。
今年観た中では間違いなく上位に入る、素晴らしい映画。
コメント (17)
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【映画】ザ・コーポレーション

2005-12-11 00:20:05 | 映画さ行


"The Corporation"

2004年カナダ
監督)マーク・アクバー ジェニファー・アボット
出演)マイケル・ムーア ノーム・チョムスキー レイ・アンダーソン
満足度)★★★ (満点は★5つです)
UPLINK Xにて

法律上、「法人」という形で人格を認められている企業。「彼等」を人間に見立て精神分析するとその結果は人格障害(サイコパス)ということに!
多数の企業家や知識人にインタヴューを重ね、企業の破綻した「人格」を検証するドキュメンタリー。

「他人へのおもいやりがない」
「利益のために嘘を続ける」
「人間関係を維持できない」
「罪の意識がない」
「他人への配慮に無関心」
「社会規範や法に従えない」

これ、全てこの映画の中で指摘された企業の人格診断結果です。
偽装建築、保険金未払い、粉飾決算・・・。今年も様々な企業犯罪があったわけですが、この結果を聞くと、すごく腑に落ちますよね。この映画は主にアメリカの企業を対象に検証を行っているのですが、日本の企業にも全然当てはまる。資本主義と国民性は関係ない、というのがよくわかりました。

ここまでは普通の感想なわけですが、やはり考えてしまうのは、僕も含めて多くの人がこの「人格」の破綻した企業の一構成員である、ということです。映画の中の、言語学者であり社会批評家でもあるノーム・チョムスキーの指摘に曰く、「就いている職業と個人の人格は関係ない」。
つまり、善良な人間でも、ひとたび企業の1プレーヤーとして振舞うときには、やはりその破綻した企業の「人格」にあわせて行動してしまう、ということです。
企業の「人格」に自分を同化させすぎたとき、そしてそこに何の疑問を持てなくなったとき、そういうときこそ危険なんですよね、きっと。最近の企業不祥事を見ていると本当にそう思いますし、自分も戒めなければならないことだと思います。

などと色々なことを考えさせられる骨太なドキュメンタリーなのですが、映画として観た場合、どうなんでしょう。ちょっと真面目すぎる気がします。スクエアな学生の卒業論文を読まされているような趣。
もうちょっとケレン味があるともっと面白かったような気が・・・。

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【映画】ポビーとディンガン

2005-12-04 16:08:38 | 映画は行

"Opal Dreams"
2005年イギリス/オーストラリア
監督)ピーター・カッタネオ
出演)クリスチャン・ベイヤース サファイア・ボイス ヴィンス・コロシモ ジャクリーン・マッケンジー
満足度)★★★★☆ (満点は★5つです)
恵比寿ガーデンシネマにて

オーストラリアのオパール鉱山の町・クーパー・ペディ。アシュモル(クリスチャン・ベイヤース)とケリーアン(サファイア・ボイス)の幼い兄妹は、オパール掘りの父親の元暮らしている。空想の友達ポビーとディンガンと遊ぶケリーアンに兄のアシュモルはいつもイライラし、両親も心配気味。
そんなある日、ケリーアンは、ポビーとディンガンがいなくなったと言い出す。二人を探す振りをする家族だったが、空想の友達を見つけることはできず、父親レックス(ヴィンス・コロシモ)は盗掘の疑いまで掛けられてしまう。
元気を無くして次第に衰弱してゆくケリーアンに、最初はバカにしていたアシュモルも必死にポビーとディンガンを探し出そうとするが・・・。
原作は「21世紀の星の王子さま」とも言われベン・ライスの児童小説。


子供が空想の友達(imaginary friend)を持つことって結構あるそうです。僕自身に思い当たるフシは無いのですが、そういえば、特に欧米の小説や映画にはたまにこのモチーフが使われていたのを思い出します。例えばスティーブン・キングの『シャイニング』。”輝き”と呼ばれる特殊能力を持つ少年は、いつもこのimaginary friendに話しかけていました。

まあ、こういう、いわば子供の他愛ない思い込みというのは、子供が成長するとともに(イノセンスを失うとともに)忘れられてしまう訳ですが、この映画の感動してしまうところは、この子供のイノセンスが家族を救い、ひいてはささやかながらも頑なな大人たちの地域コミュニティーを救ってしまうところです。

美しくも荒涼たるオーストラリアの風景を舞台として繰り広げられるそんなプロット、何とも魅力的なのですが、結局こういう映画でポイントになるのは何と言っても子役俳優の演技力、というか存在感なんですよね。これを外すとどんなに良い題材でも全くダメな映画になってしまう。その点でこの映画は完璧。文句のつけようが無い。想像力豊かなケリーアン、妹を救うべくポビーとディンガンを探しまわるアシュモルとも説得力のある演技です。
とくに、アシュモルを演じたクリスチャン・ベイヤース。妹のimaginary friendを疎ましく思っていた彼が、最後には衰弱する妹の為に一所懸命になる姿、その健気な様が心を打ちます。子役俳優が大成するのってあまり見ませんが、この子は「もしかしたら・・・」と思わせる存在感を感じました。

時にユーモラス、時に乱暴な鉱山町の労働者たちの描写もカッタネオ監督らしい演出で魅力的。ガサツな町の環境とケリーアン&アシュモルの無垢さがコントラストを成し、さらに良い味を出しています。

単館上映というのはちょっと勿体ない、温かい映画。
原作も読んでみようと思います。
コメント (14)
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