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セルロイドの英雄

ぼちぼちと復帰してゆきますので宜しくお願いしまする。

【映画】西瓜

2006-10-01 23:48:20 | 映画さ行

"天邊一朶雲"
2005年台湾
監督)ツァイ・ミンリャン
出演)チェン・シャンチー リー・カンション 夜桜すもも ルー・イーチン ヤン・クイメイ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シアター・イメージフォーラムにて

全土が記録的な水不足に襲われ、水の代用品として西瓜ジュースが飛ぶように売れている台北。
女(チェン・シャンチー)は男(リー・カンション)と出会い(再会し)淡い恋心を抱くが、男はAV男優として身をたてていた。


5、6年前でしょうか、大島渚の『愛のコリーダ』のノーカット版が上映され僕もいそいそと観にいったのですが、これが噂に違わぬ名作で。
製作当時(1976年)の基準からすると思い切った猥褻表現だったのかもしれませんが、21世紀に生きる僕達から観るとそれはまあそんなにビックリするほどのものではなく。
だからこそ、と言っても良いかと思うのですが、その分クッキリと僕の心に残ったのはその純愛映画としての素晴らしさ。
果てしない愛欲の末に行き着くところまで行ってしまうふたり。
全てを捨てて求め合う男女の姿、これは紛れも無く純愛映画に思えたのでした。

この『西瓜』にも、同種の手触りを感じました。
インパクト大なAV撮影場面やシュールで過剰なミュージカル・シーンを濾過してみたらそこにはしっかりと純愛成分が残っているという。

気を失ったAV女優と交わる男と、窓越しにそれを見つめる女。
目があった二人がお互いに感応し絶頂に到る。
ツァイ・ミンリャンらしい過剰に長いこのシーンの緊張感たるや、何だか観ているこっちが逃げ出したくなる位で。
だけど、同時に切なくもあるんです。
強く求め合う二人なのにお互いの体を感じあうことが出来ず、他人の体を介して絶頂に達するというその構図が。

西瓜を被ったり、秘宝館みたいな格好をしてお笑いスレスレの体当たり演技を見せるリー・カンション、この怪しげな作品の中でも清明さを失わないチェン・シャンチー、両名のギリギリ演技も特筆です。

しかしあのミュージカル・シーンの数々、どれも何だかものすごいことになってましたが、意外とオシャレだと思うのは僕だけでしょうか?
コメント (8)
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【映画】スーパーマン リターンズ

2006-08-20 19:06:14 | 映画さ行


"Superman Returns"
2006年アメリカ
監督)ブライアン・シンガー
出演)ブランドン・ラウス ケイト・ボスワース ケビン・スペイシー ジェイムズ・マーズデン フランク・ランジェラ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
ワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典にて

自分のルーツを求めて宇宙に去ったスーパーマン(ブランドン・ラウス)は5年ぶりに地球に帰還する。
地球での仮の姿である新聞記者クラーク・ケントとしてデイリー・プラネット社に戻った彼はかつての恋人ロイス・レイン(ケイト・ボスワース)との再会に心ときめかせるが、彼女は婚約者のリチャード(ジェイムズ・マーズデン)と同棲していた。さらに彼女には子供が・・・。
一方、宿敵レックス・ルーサー(ケビン・スペイシー)は地球征服の野望の下、新たな計画を実行に移そうとしていた。


ヒーロー譚映画で、影のある主人公が主流になったのはティム・バートンの『バットマン』あたりからなのではないかと思います。
例外はあるものの全体的に浅白な作品が多かった印象の強い80年代末に突然こんなダークな作品がヒットして、プリンスの主題歌ともども当時はすごく新鮮だったことを思い出します。
それ以来、スパイダーマンにしてもX-Menにしても、一筋縄では行かないトラウマを抱えたヒーロー、僕とあなたと変らないヒーローが当たり前になってきた昨今ですが、唐突にスーパーマンが復活してしまいました。

アイビー・リーガーのような風貌。
農場で健やかに育ち、人に話せないような異常なトラウマとは無縁の人生。いや、確かに故郷のクリプトン星はもう無いわけですが、それが捩れたトラウマになっているようなこともなく。
そして有無を言わさぬ強さ。バットマンやスパイダーマンなんかと比べると強さのスケールが桁違い。X-Menの方々が束になって掛かってやっとトントンでしょうか。
さらにどこまでも真っ直ぐな善意。地球上のあらゆる音をキャッチ、事件を聴きつけるとマッハで駆けつける。
エネルギー源が太陽の光、なんていう環境に優しいチャーム・ポイントもあったり。

要は、一点の曇りも無い結構いけ好かない野郎なんです、このスーパーマンは。

それが何でこんなに面白いんでしょう、この映画は?
2時間30分位の長尺作品なのに全然長さを感じないし、彼のその圧倒的な善意と強さを堪能してしまいました。

格差社会やテロリズムや引きこもりやドメスティック・バイオレンスや。
一筋縄では行かない世の中で一筋縄では行かないヒーローが活躍する作品に慣れてしまった僕にとって、この作品の定規で測ったような七三分けのスーパーマンの活躍は眩しく新鮮に映りましたです。

レックス・ルーサーとキティーの悪役コンビも好印象。
まるでばいきんまんとドキンちゃんのようです。

コメント (10)
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【映画】親密すぎるうちあけ話

2006-06-25 23:22:29 | 映画さ行


"Confidences Trop Intimes"
2004年フランス
監督)パトリス・ルコント
出演)サンドリーヌ・ボネール ファブリス・ルキーニ ミシェル・デュショソーワ アンヌ・ブロシェ ジルベール・メルキ エレーヌ・シュルジェール
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シャンテ・シネにて


この作品のレビュー、何故か突然消えてしまいました・・・。
何でだろう??

どなたか修復のしかたご存知ないでしょうか?

8月28日 管理人Ken


コメント (18)
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【映画】シリアナ

2006-03-05 14:05:19 | 映画さ行

"Syriana"
2005年アメリカ
監督)スティーブン・ギャガン
出演)ジョージ・クルーニー マット・デイモン ジェフリー・ライト マザール・ムニール クリストファー・プラマー アレクサンダー・シディグ
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
ワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典にて

石油の利権を得る為には手段を選ばない石油メジャーとアメリカ政府、そんなアメリカの為に命を張るCIA工作員、改革を目指す理想主義的な産油国の王子とアメリカ人コンサルタント、その産油国でテロに手を染めてゆく若いパキスタン人労働者・・・。
群像劇で暴く石油をめぐる世界の仕組み。
シリアナとは、シリア、イラン、イラク地域を指す、アメリカ政府周辺の「業界用語」だそうです。


この映画のドキュメンタリー的な肌触りの現像劇、『トラフィック』に似ているなあ、と思ったのですが、『トラフィック』のソダーバーグが製作総指揮で、脚本を書いたスティーブン・ギャガンがここでも脚本そして初監督と、こういうことだったんですね。

食料と並んで戦略物資となりつつある石油の獲得を目指し、中東の民主化(=アメリカの属国化)を叫ぶアメリカ政府。石油で肥えてゆく一部中東特権階級及び石油メジャーとその足元で広がってゆく貧困。そしてその貧困が生み出すテロ・・・。
全てつながっている。
群像劇によってそんな関係性を暴こうと試み、9.11を初めとしたテロについて実はアメリカ自身が招いたことなのではないか?と間接的に問いかける仕組みです。

・・・ということがはっきりとわかったのはパンフレットを読んでからです(泣)。

なにしろこの映画、それぞれの人間が誰のために何をしているのかがよくわからない。あの人とこの人の区別がつかない。何でそうなるのか因果関係が理解できない。そんなちょっと困った映画です。
「えーと、この人は弁護士を石油会社同士の合併交渉に送り込んだ黒幕で」とか「この人は産油国の王子・・・え、長男?次男?」とかそんなことばっかり考えていて、すごく落ち着かない。

ほっとするのはマット・デイモンとか、知った顔が出てきたときだけ。マット・デイモン、そんなに好きな俳優ではないのですが、この映画で結構好きになってしまいましたよ。「ああ、お前はわかる、エネルギー・アナリストだろ?」みたいな感じで。気心の知れた友達に会った気分。

最後になってもストーリーは漠然としか分からなかったのですが、だけど、そうは言っても、駄作かと言うとそんなこともない。むしろこの極力説明を排した作りは意図的だったような気もするし、そんな手法によって説得力が出ていたような気がしなくもない。
何と言うか、ひとつひとつの場面を取り出してみると、現場の空気感はリアルだったし、緊張感が持続するこの作品、決して見飽きることはない2時間8分です。
コメント (31)
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【映画】さよなら、さよならハリウッド

2006-01-09 20:27:39 | 映画さ行

"Hollywood Ending"
2002年アメリカ
監督)ウディ・アレン
出演)ウディ・アレン ティア・レオーニ マーク・ライデル トリート・ウィリアムズ
満足度)★★★★★ (満点は★5つです)
DVDにて

映画監督ヴァル(ウディ・アレン)がオスカーを、しかも2回も取ったのも今や過去の話、現在はCMフィルムを監督したりして糊口をしのいでいる。
そんな彼に、NYを舞台にした大作映画『眠らない街』の監督依頼が来るのだが、それは映画プロデューサーでもある前妻のエリー(ティア・レオーニ)が推薦してくれたお陰だった。エリーの現在の恋人である映画会社社長ハル(トリート・ウィリアムズ)を気にしつつも映画の監督を承諾したヴァルだったが、ストレスの為に突然失明してしまう。


昨年の年間ベストで2位に入れてしまったのですが、今回DVDを購入して再観賞しました。最近のウディ・アレン、僕は出来不出来の波が大きいなあ、と思っていたのですが、これは良かったですよ。スッキリ作ったのが成功の要因なのでは、と思います。

目の見えない映画監督が映画を撮る、しかも映画会社にばれないように、という設定なのですが、ウディ・アレンの盲目の映画監督の演技はチャプリンとかキートンなどの昔の名コメディアンの趣があります。
その上、どもりながらまくし立てる、さらに話の内容が突然脱線したりするお馴染みのアレン節も楽しめる訳ですから(しかも今回ちょっと長め)、大満足。もう出し惜しみ無し。

こういう映画であれば、映画監督を演じるウディ・アレンについ本人をダブらせて観てしまうのは避けられない訳で、映画の中で語られる監督論や愚痴に「本音?それともただのセリフ?」なんて考えてしまったりそういうのも楽しい。

という風な感想、全て監督ウディ・アレンの計算の内なんでしょうね。

そんな、つい斜に構えて観てしまうアレン・ファンなのですが、ひとつ素直に言えるのは、ウディ・アレンの撮るNYはやはり美しいということ。今作で言えば、目が再び見えるようになったシーンでのセントラル・パークの風景!ガーシュウィン(多分)の音楽に映えるNYの夕景は、明らかにそのシーンだけテンションが違います。
このシーンを撮りたいがために作ったのでは?と思えるほどの美しさ!

1月後半には新作『僕のニューヨーク・ライフ』も公開。楽しみであります。
コメント (9)
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【映画】疾走

2006-01-03 14:19:13 | 映画さ行

2005年日本
監督)SABU
出演)手越祐也 韓英恵 豊川悦司 中谷美紀
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
シネスイッチ銀座にて

ある田舎町に住む中学生シュウジ(手越祐也)は、宮原(豊川悦司)が神父を務める出来たばかりの教会で孤独な少女エリ(韓英恵)と知り合う。
一方、秀次の兄シュウイチ(柄本佑)は学校のテストでカンニングが見つかってしまい、それ以来おかしくなっていく。
そんな時、町ではリゾート・ホテル建設の話が持ち上がり、住民を立ち退かせるための脅迫と思われる放火事件が相次ぐ。
不穏な周囲の動きに連れ、狂ってゆくシュウジの生活・・・。
原作は重松清の同名小説。


監督がSABUで『疾走』と聞けば、主人公がとにかく走るビート感のある映画を連想してしまう訳ですが、この作品は全然そんな映画ではありません。
確かにこの映画の主人公2人も走ることは走る。
但し、それは今までのSABU映画の登場人物達のように目的を持って、あるいは物語を加速するために走るのでは無く、何かを忘れるために走る。そこにはスピード感は無く、ただ空しさだけが残る。そういう走りです。

映画の中で豊川悦司演じる神父が、「運命とは双六のようなもので、止まったコマが悪ければ不幸せになってしまう」というようなことを言っています。シュウジはとにかく悪いコマに止まり続ける。そこには自分の意思の働きは無いし、ひたすら受身。する事といえば忘れるために走ることだけ。

最後まで運命に小突き回されるシュウジがラストではじめて何かのために(目的を持って)「疾走」しますが、だけどそれはもう遅すぎて、何の助けにもならない。
最後までやるせない気分が残る映画です。

そんな救いの無い映画なのですが、田舎町の風景は美しい。靄に霞む田園地帯、打ち捨てられたお寺、ひまわり・・・。こういった風景が映画に詩情を添えています。

新年早々のシネスイッチで観たのですが、手越祐也君(NEWSの人なんですね)目当てと思われる中学生らしき女の子がチラホラいました。
この映画観てどう思うんだろう?
コメント (15)
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【映画】ザスーラ

2005-12-18 10:36:00 | 映画さ行

"Zathura"

2005年アメリカ
監督)ジョン・ファブロー
出演)ジョシュ・ハッチャーソン ジョナ・ボボ ダックス・シェパード クリステン・スチュワート ティム・ロビンス
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
サロンパス ルーブル丸の内にて

パパ(ティム・ロビンス)が仕事で出かけてしまい、家に取り残されたダニー(ジョナ・ボボ)は兄のウォルター(ジョシュ・ハッチャーソン)に遊んでもらおうとするが相手にされない。挙句の果てに地下室に閉じ込められてしまったダニーはそこで埃をかぶったブリキ製の古いゲーム盤"Zathura"を見つける。
宇宙が舞台のその双六ゲーム、レバーを引いて遊び始めるダニーだったが・・・。
原作は『ジュマンジ』の絵本作家クリス・バン・オールスバーグ。


映画館もネーミング・ライツを売り始めたのでしょうか、微妙な語感ですね”サロンパスルーブル丸の内”。

さて、この映画全然期待してなかったんだけど、意外に面白かったです。何か懐かしいんですよ。昔観てわくわくした子供映画、という雰囲気で。何も考えなくて良い。ただ画面に次から次へと現れる危機にハラハラドキドキしながら身を任せていれば良い。こういう映画は大画面で観るに限りますね。DVDで観てもそれほどグッと来るとは思えない。

懐かしい、と書きましたが、それはこの映画に登場するロボットや"Zathura"のゲーム盤そのもののレトロなデザインにも依るところも大。"Zathura"なんかブリキ製ですからね。もう『三丁目の夕日』に出てきそうな代物です。ダイ・ハードな怪力ロボットも1950年代のアメリカ映画から抜け出てきたみたいなチープさで、とんでも凶悪なんだけどユーモラス。

まあ、話の筋は子供向きですからそんなに複雑であるはずもなく先を読めてしまう部分もあるのですが、ちょっとしたツイストも良い塩梅で入っていてそれなりに楽しめます。

繰り返し観る映画ではないけれども、単純にハラハラドキドキしながら映画の世界に持っていかれてしまう、という映画らしい映画だと思います。

しかし、ティム・ロビンス、これはほとんどカメオ出演ですね・・・。
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【映画】ザ・コーポレーション

2005-12-11 00:20:05 | 映画さ行


"The Corporation"

2004年カナダ
監督)マーク・アクバー ジェニファー・アボット
出演)マイケル・ムーア ノーム・チョムスキー レイ・アンダーソン
満足度)★★★ (満点は★5つです)
UPLINK Xにて

法律上、「法人」という形で人格を認められている企業。「彼等」を人間に見立て精神分析するとその結果は人格障害(サイコパス)ということに!
多数の企業家や知識人にインタヴューを重ね、企業の破綻した「人格」を検証するドキュメンタリー。

「他人へのおもいやりがない」
「利益のために嘘を続ける」
「人間関係を維持できない」
「罪の意識がない」
「他人への配慮に無関心」
「社会規範や法に従えない」

これ、全てこの映画の中で指摘された企業の人格診断結果です。
偽装建築、保険金未払い、粉飾決算・・・。今年も様々な企業犯罪があったわけですが、この結果を聞くと、すごく腑に落ちますよね。この映画は主にアメリカの企業を対象に検証を行っているのですが、日本の企業にも全然当てはまる。資本主義と国民性は関係ない、というのがよくわかりました。

ここまでは普通の感想なわけですが、やはり考えてしまうのは、僕も含めて多くの人がこの「人格」の破綻した企業の一構成員である、ということです。映画の中の、言語学者であり社会批評家でもあるノーム・チョムスキーの指摘に曰く、「就いている職業と個人の人格は関係ない」。
つまり、善良な人間でも、ひとたび企業の1プレーヤーとして振舞うときには、やはりその破綻した企業の「人格」にあわせて行動してしまう、ということです。
企業の「人格」に自分を同化させすぎたとき、そしてそこに何の疑問を持てなくなったとき、そういうときこそ危険なんですよね、きっと。最近の企業不祥事を見ていると本当にそう思いますし、自分も戒めなければならないことだと思います。

などと色々なことを考えさせられる骨太なドキュメンタリーなのですが、映画として観た場合、どうなんでしょう。ちょっと真面目すぎる気がします。スクエアな学生の卒業論文を読まされているような趣。
もうちょっとケレン味があるともっと面白かったような気が・・・。

コメント (2)
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【映画】シービスケット

2005-10-16 22:55:15 | 映画さ行


"Seabiscuit"
2003年アメリカ
監督)ゲイリー・ロス
出演)トビー・マグワイア ジェフ・ブリッジス クリス・クーパー エリザベス・バンクス
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
WOWOWにて

1930年代アメリカ。自動車のディーラーとして大成功を収めたチャールズ・ハワード(ジェフ・ブリッジス)だったが、不況、息子の事故死、自身の離婚と次々と不幸が襲う。気晴らしに競走馬の購入をすることにしたハワードは、風変わりんな一匹狼の調教師トム・スミス(クリス・クーパー)を雇い、彼の助言により気性難からなかなか買い手のつかない小柄なサラブレッド、シービスケットを購入する。主戦騎手として起用されたのは、不況で一家が離散し現在も不遇を囲う若手騎手レッド・ポラード(トビー・マグワイア)だった。スミスの調教のもと気性難を克服したシービスケットは快進撃を始める。
実在の名馬シービスケットの伝記映画。


大恐慌下、自分達の復活を一頭の馬に賭ける3人の男達を描いた至極全うなヒューマン・ドラマです。家族を失った実業家チャールズ・ハワード。自動車時代の到来と共に拠り所を無くしつつあるカウボーイ、トム・スミス。そして不況により家族と別れて以来どん底の生活を続ける騎手レッド・ポラード。それぞれ欠落感を抱える3人の男と一頭の馬、そしてその小さな馬の快進撃にアメリカの夢を託すアメリカ国民の物語。

大恐慌の時代に大衆の支持を得ながらどん底から成功を収める話、ということでは「シンデレラマン」と同テーマなのですが、肌触りはもちろん全然違います。あちらは家族の物語。こちらは男の物語。なにしろ映画に女性が出てこない。いや、エリザベス・バンクスがハワードの妻役として登場するのですが、影が薄い。この人出てなかったとしても全然映画は成立したと思います。

そんな、濃ゆく作ればかなり濃く出来そうな映画なのですが、これが爽やかな薄味映画に仕上がっています。まあ主演がトビー・マグワイアですから。この人はどんな役を演っても本当に爽やかですよね。結構好きです。演出のゲイリー・ロスとは「カラー・オブ・ハート」(面白い!)に続いてのコンビなのですが、相性もバッチリです。

脇役陣では、「ファーゴ」「マグノリア」のウィリアム・H・メイシーが怪演。マジメな映画に可笑し味を一味効かせています。 あ、あと、レッドのライバル・ジョッキーとしてゲイリー・スティーブンスが出ています。ジャパン・カップをゴールデンフェザントで制した騎手さんです。懐かしい。。。

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【映画】シン・シティ

2005-10-04 21:35:29 | 映画さ行

"Sin City"
2005年アメリカ
監督)フランク・ミラー ロバート・ロドリゲス
出演)ブルース・ウィリス ミッキー・ローク クライブ・オーウェン ジェシカ・アルバ
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
ワーナー・マイカル市川妙典にて

「シン・シティ」を舞台に、愛する女性たちの為に戦う3人の男達。レイプ魔から少女を救わんとする刑事ハーティガン(ブルース・ウィリス)、一夜限りの女性を殺害した疑いをかけられる前科者マーヴ(ミッキー・ローク)、恋人を守らんとしてトラブルに巻き込まれるやはり前科者ドワイト(クライブ・オーウェン)。
それぞれの独立した3つの物語を描いたオムニバス映画(だが微妙に交錯する)。原作はフランク・ミラーのコミック・ノベル。

映画の基本的な作りは王道のアメリカン・ハード・ボイルド。
心に深い闇を抱えて街をさ迷う男達。彼等の人生は「運命の女」との出会いによって大きく狂ってゆく。。。

このようなハード・ボイルド映画の肝は、男(女)達の、心の闇であったり虚無感であったりを如何に説得力を持って表現するか、という所にあると思います。その点、この映画はいかにも弱いと感じました。というよりもそういう機微を観せる、なんて恐らく考えてなかったと思われます。
ロバート・ロドリゲスが最も神経を使ったのは恐らくフランク・ミラーの原作の空気感を如何に画面に定着させるか、ということ。
ビジュアル先行。
俳優陣はそのためのコマ。
僕はそういう印象を持ちました。

だからと言って、面白くないわけではないです。なにしろ、俳優陣がえらい豪華。文頭に上げた俳優の他にも、ベニチオ・デル・トロ、イライジャ・ウッド、ロザリオ・ドーソン、ルトガー・ハウアー、マイケル・クラーク・ダンカン、ジョシュ・ハートネット、ブリッタニー・マーフィーなどなど、俳優探しだけでも飽きないです。

特に印象深いのがサイコ・キラーを演じたイライジャ・ウッド。「エターナル・サンシャイン」のダメ男役といい、フロドのイメージ完全に消えましたね。本人もそういうことを考えて役を選んでるのかな?メガネをかけるとちょっとハリー・ポッターにも似てますね。

結構、暴力シーンがエグイと聞いて身構えていったのですが、心の準備が出来ていたからか、それほどショックは受けませんでした。予備知識がなかったらちょっとビックリしたかもしれませんね。

リピーター向けキャンペーンって映画館で宣伝してて、何でだろうと思ったのですが、観て納得。色々気になりますね、確かに。映画の出来としては、もう一回観ようという気にはならないのですが、その細かい所は気になる。
DVD待ちですね。
コメント (21)
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【映画】シンデレラマン

2005-09-27 02:02:15 | 映画さ行


"Cinderella Man"
2005年アメリカ
監督)ロン・ハワード
出演)ラッセル・クロウ レニー・ゼルウィガー ポール・ジアマッティ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
ワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典にて

大恐慌下の1930年代アメリカ。かつてはチャンピオンを狙うところまで上り詰めたボクサー、ジム・ブラドック(ラッセル・クロウ)だが、怪我等の不運も重なり今や日雇い労働をしながら食うや食わずの生活を強いられている。そんな「あの人は今」になってしまった彼に、ついにボクサーとして復活のチャンスが巡ってきた。ジムは愛する妻(レニー・ゼルウィガー)と3人の子供たちのために、再びリングに上がる。実在のボクサー、ジム・ブラドックの伝記映画。

あらすじを書いてみると、くっさーいボクシング映画に見えますね。
実際くっさーくはあるんですよ。だけど、演出、演技が一体となって、そのくささに説得力を与えています。
単純に感動します。
もう、僕は映画の半分くらいは涙腺ゆるんだ状態で観賞していました。

何といってもジム・ブラドックを演じたラッセル・クロウ。劇中で生活がドツボに嵌って行けば行くほど、凄みがましてゆくんです。白眉は、古巣のボクシング協会に行って物乞いするシーン。映画だとは分かっていても、すごく緊張しました。

続いてレニー・ゼルウィガー。
もう旦那は日雇い労働してて生活苦しいんですよ。
だけど、一方では危険なリングにも上がって欲しくないんですよ。
この機微を微妙に演じています。いいなあ。

もう全部挙げます。

セコンド兼マネージャー、ジョーを演じたポール・ジアマッティ。風采上がらないけど、男です。奥さんもしっかりした人だ。

港湾労働の同僚マイク、
ジムがどん底でも父親を尊敬してやまない子供たち。。。

そして、迫真のボクシング・シーン。映画でスポーツ・シーンを観ていてはじめて手に汗を握りました。これは映画館でないと。

いささか現実を美化している気配はあるのですが、騙されてもいいや、という勢いがある映画です。ということで★★★★。

コメント (12)
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【映画】ショコラ

2005-09-23 22:58:31 | 映画さ行


"Chocolat"

2000年アメリカ
監督)ラッセ・ハルストレム
出演)ジュリエット・ビノシュ アルフレッド・モリーナ ジョニー・デップ 
ジュディー・デンチ レナ・オリン
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
BSにて

1959年、舞台はフランスの寒村。村人たちは村長レイナード伯爵(アルフレッド・モリーナ)の元、厳格なカソリックの教えに基づいた慎ましい生活を送っていた。ある北風の強い冬の日、そんな村によそ者の母娘が現れチョコレート・ショップを開く。店主である未婚の母親ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は、自分の作るチョコレートで人々を幸福に導く不思議な力を持っていた。しかし、その旧弊に縛られないヴィアンヌの生き方は伯爵の反感を買う。ヴィアンヌは、やはり流れ者であるジプシーのルー(ジョニー・デップ)と親交を深めるが、それがやがて悲劇を産む。

ジョニー・デップの出てくるチョコレート映画ですが、趣は「チャーリーとチョコレート工場」とは違います(当たり前ですが)。
ラッセ・ハルストレムらしい、じわじわっと感動が来る落ち着いた映画です。

どちらかと言うと、貧相な村を舞台とした暗い映画と言えなくもないのですが、後味は悪くありません。というのは、基本的にこの映画に出てくる人物の中に、本当の悪人が出てこないからだと思われます。伯爵にしろ、悲劇を生む直接の原因となった酔っ払い暴力亭主(ピーター・ストーメア)にしろ、決して極悪人ではない。

そして、ヴィアンヌとチョコレートが村にもたらしたちょっとした幸福感が何とも言えず素晴らしい。
チョコレートを食べた瞬間の村人達のうれしそうな顔。
それを見て幸福そうな微笑を浮かべるヴィアンヌの佇まい。
観ているこちらも確実にチョコレートを食べたくなります。
それも手の掛かった高いやつ。
僕は特に店の家主の偏屈ばあさんを演じたジュディ・デンチがホット・チョコレートを飲んだ後に見せる笑顔が何とも好きです。

ジョニー・デップは重要な役柄ではあるのですが、そんなには出ていないです。だけど、いいですね、あのジプシー・ギター。あれ、本人が弾いてるのかな?

映画館で観たら★★★★だったかも。

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【映画】セッソ・マット

2005-09-03 01:26:19 | 映画さ行

1973年イタリア
監督)ディーノ・リージ
出演)ジャンカルロ・ジャンニーニ ラウラ・アントネッリ
音楽)アルマンド・トロヴァヨーリ
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
シアター・イメージフォーラムにて

-----あらすじ-----
全9話からなるイタリアン・セックス・コメディーのオムニバス映画。
原題Sesso Mattoはイタリア語で色情狂という意味だそうです。

第1話 「奥様8時です」 逞しい使用人に目をつけた有閑マダムは。。。
第2話 「二人と掘っ立て小屋」  いつも喧嘩ばかりしている貧しい夫婦。しかし夜は。。。
第3話 「決して遅すぎはしない」 美しい妻を持つ男。しかし彼は70歳以上の女性しか愛せない。。。。

もう良いですよね。こんな感じの、かなりくだらない話が9個入っています。エロ度は題名から想像するほど高くはありません。

-----感想-----
セソマーセソマーセソマトマト、セソマーセソマーセソマーットォ、アハーン♪
サントラ人気だけが先行し、肝腎の映画はずーっと未公開だったセッソ・マット、ついに公開!というかこの映画、やってなかったんですね。主題歌が渋谷系アンセムとして盛り上がった10年位前(?)に公開したのかと思っていました。

期待しないで観に行ったのですが、意外に良かったです、これ。テンポがよく、飽きずに楽しく観られます。

但し、ジャンニーニのイタリアンなこってり過剰演技が全9話、2時間続くのでお腹一杯にはなります。本当に物理的に満腹になります。僕はこの映画を観た後、夜遅くだったにも関わらず30分位ご飯を食べる気になりませんでした。

ラウラ・アントネッリは着せ替え人形状態で、セクシー黒下着やら白尼僧服(前掛けを取ったらおっぱいが見えそうになる)を着たりして、大活躍です。楽しそうに演技しています。きれいです。スタイルいいです。 おしゃれです。

この後、ジャンニーニとアントネッリは「イノセント」に出るわけですね。しかし偉い違いだな。。。

コメント (4)
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