
2004年ドイツ
監督)オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演)ブルーノ・ガンツ アレクサンドラ・マリア・ララ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シネマ・ライズにて
-----あらすじ-----
第2次大戦末期。西進してきたソ連軍の猛攻に会い、ドイツ第三帝国の崩壊は目前に迫っている。総統ヒトラー(ブルーノ・ガンツ)とその側近達は首都ベルリン市内の総統用防空壕にこもり最後の抵抗を試みるが、ソ連がベルリンに迫るにつれ結束は崩壊、防空壕内は混乱に陥ってゆく。
-----感想-----
私人としてのヒトラーとはどのような人物だったのか?
アンケートで世界10大悪人を尋ねたとしたら間違いなくトップ5に入ってくると思われるアドルフ・ヒトラー。この人物の歴史的評価は悪人の一つの典型としてほぼ定まっていると思われます。
この映画は、観客が皆ヒトラーが行ってきた悪事を知識として当然持っている、ということを前提に作られています。汎アーリア主義の元苛烈に行われた「民族浄化」等について、この映画では全く言及されません。それは製作者がこの事実を無視、美化している訳ではなく、観客が認識していることを期待しているからだと思います。その上で、私人ヒトラーとはどのような人間だったのか、を丁寧に掘り下げてゆきます。
結果として、私人ヒトラーは弁舌巧みで押し出しが強く少々エキセントリックな、だけどまあ普通の範疇に入る人物であることが浮き彫りになります。そう、私人ヒトラーは普通の人物です。決して、その公人としての悪行に見合うドラマチックな人物ではありません。ここが恐ろしいところです。たまたま歴史的な運(幸運といって良いのかわかりませんが)によって、たまたま総統にまで登り詰めてしまったどこにでもいる人間。それがヒトラーであることに観客は思い至ります。もしかして、周りの人に思いを馳せて「ああ、あの人に似てるな」とさえ考えるかもしれません。
色んなことを考えさせる重たい映画ですが、戦争をめぐる群集劇としてもよく練れています。ブルーノ・ガンツはもうヒトラーにしか見えなくて、名演なのかどうか良くわかりません。。。
髪の乱れ方は、演説を記録した映像そのものでした。
ブルーノ・ガンツは秀逸の一言ですね。
すごく興味があります。
本当にブルーノ・ガンツは名演なのか、ヒトラーが乗り移ったのか分かんないほどでしたよね。
ヒトラーの名前さえよく分からないような世代が増えるのでしょうか?
それだけは絶対にダメですよね。
戦後何年たっても風化させることだけは・・・。
コメントありがとうございます。
ブルーノ・ガンツ、この役引き受けるのに勇気が要ったと思います。引き受けたからには、という気概を感じますね。
kossyさん、
コメントありがとうございます。
しかし、僕達は何才のときに「ヒトラーは悪人である」と認識したのでしょうね??
ミチさん、
コメントありがとうございます。あれだけ強烈なドイツ第三帝国の歴史的記憶ですから、簡単に風化することはないと僕は信じております。
今年見た作品の中でベスト3に入る映画でした。この映画をきっかけに私は色々と過去に起こったことを考えるようにもなりました。
出来れば単館上映じゃなくして欲しかったのが本音ですね。
おじゃましました。
ブルーノ・ガンツの演技は素晴らしかったです。
一人でも多くの人に観てもらいたい作品です。
またおじゃまさせてください
コメントいただきましてありがとうございます。
更新がなかなかできず、レスも遅くなってしまいました。
ブログにお邪魔させていただきましたが、
私もこの映画が凄く気になっていたので
機会があれば見たいと思っていました。
賛否両論あるみたいですが、なるべく先入観を捨てて
(もちろん悪行については許されるべきではありませんが。)
見たいなぁと、こちらの記事を読んで思いました。
いや、先入観持っていっても、十分面白く観られるので大丈夫ですよ。
ポーグスの「フェアリーテイル~」も、映画を観ているような気分になりますよね。聴けば聴くほど完璧な曲。
カースティ・マッコールは本当に残念でした。彼女のソロ・アルバムも結構好きだったんですが。。。