
"Green Street"
2005年アメリカ/イギリス
監督)レクシー・アレキサンダー
出演)イライジャ・ウッド チャーリー・ハナム クレア・フォラーニ レオ・グレゴリー マーク・ウォーレン
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シネマライズにて
ハーヴァード大学でジャーナリズムを専攻する学生マット・バックナー(イライジャ・ウッド)は、ルーム・メイトの麻薬売買の罪を被って卒業を前にして退学になる。
イギリス人のスティーヴ(マーク・ウォーレン)と結婚した姉シャロン(クレア・フォラーニ)を頼ってロンドンに渡るマット。
やがて彼はスティーヴの弟ピート(チャーリー・ハナム)と行動を共にするようになるが、ピートは地元のサッカー・チーム、ウェストハムをサポートするフーリガン集団のリーダーだった。
この作品に描かれるフーリガン達が、果たしてどこまで現実のそれに近いのかイマイチわからないのですが、つまり、相当美化されているような気もするのですが、じゃあその現実とのギャップが映画の出来に影響しているのかというとそんなことはなく。
いや、これ、思いのほか面白かったです。
簡単に言えばフーリガンという集団の抗争の日々の中で、友情を育み反骨心を養い成長するアメリカ青年の物語が美しく描かれているのですが、この「美しく」というのがミソ。
この作品に出てくるフーリガン達は粗暴なだけの人間なのではなく、情に厚く仲間をとても大切にする。
何だか、友情であったり義侠心であったり、社会に出て以来だんだん縁遠くなってきた感覚にすごく訴える作品です。そこにさらに暴力によるアドレナリンというスパイスがピリッと効いて。
少年ジャンプに連載されている漫画のような手触りの作品と言っても良いかもしれません。
イギリスの同種の作品と言えば、モッズとロッカーの衝突を描いた『さらば青春の光』を思い出しますが、決定的に違うのは主人公達の暴力へのモチベーションの有り様。
反体制、という立場が有効足りえた時代に闇雲に暴力に走る『さらば~』の主人公に対して、『フーリガン』の登場人物達は皆全うな職業に就いていて、週末毎の暴力はいわば趣味。
友情を確認するために、そして死と隣あわせの場にわざわざ身をおいて(そして実際に死人が出ることもある)アドレナリンを放出するために喧嘩を繰り返す。
心情的には『さらば青春の光』の虚無的な主人公像に強く魅かれるのですが、『フーリガン』のある意味体制とうまく折り合いをつけている登場人物達にも素直に感情移入できるのは、僕の現在の立ち位置が限りなく後者に近いからなのかもしれません。
これ、気になっててW杯のあとに観に行こうかどうしようか迷ってたのですよ。
フーリガンのドキュメンタリーかと、勝手に勘違いしていて、その後フィクションと知って、うっ、つまらんかったらどうしよ・・・と、怖気づいているうちに観のがしてます。
ジダンのドキュメンタリーもすごく観たいのだけど、こちらも例の件で映画が話題になりすぎちゃったので、混雑に怖気づいて、まだ観に行ってません。
臆病モノですね(笑
ジダン映画は、公開直後は相当混んでたようですね。
ニュースでもやっててビックリしました。
何だか相当映像に凝った作品とのことで、普通のドキュメンタリーを期待して行った一般サッカー・ファンはビックラこいてしまったのではないか、と推測します。
『フーリガン』は意外にいけますよ。
僕はそもそもイギリスの庶民生活を描いた映画が嫌いになれない傾向があるので、贔屓目に見ているのもありますが・・・。
これってなぜか、トラックバックが女性のブロガーさんのものばっかりだったんで、男性の感想を聞いてみたかったんですよ。気に入られて何よりー
仲間同士で何かに熱く打ち込む姿っていいですよねー。チャーリー・ハナムくんかっこよかったしー。
ふむふむ、女性ブロガーさんばかりですか。
僕はこれ公開最終週に観たのですが、何だか男の観客ばっかりで、「やっぱりこれは男向けの映画なのだなあ」とか思ってたんですよね。
損得勘定を越えた友情というのは何だか眩しいですよね。
社会人になってから特にそう思います。
僕も汚い大人になっちまったものです(泣&笑)。
暴力シーンにかなり高揚感を感じました。
同じチームを応援しているという共通点だけで、団結している関係って、うらやましくもありました。
暴力は痛そうなのでイヤでしたけど。
悲劇的な事件もありましたけれど、観終わった後にも高揚した気持ちが残る映画でした。
「チームこそが全て」「仲間こそが全て」という単純な行動原理って、複雑な人間関係や損得勘定の中で生きている自分達社会人からすると羨ましいですよね。
フーリガンという存在の善悪は別として、そのシンプルな価値観にはすごく魅かれました。
そういえばライズの側に「人間関係」っていうカフェがありますね、全然関係ないですが(笑)。