goo blog サービス終了のお知らせ 

セルロイドの英雄

ぼちぼちと復帰してゆきますので宜しくお願いしまする。

【映画】ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男

2006-09-18 15:16:04 | 映画は行


"Stoned"

2005年イギリス
監督)スティーヴン・ウーリー
出演)レオ・グレゴリー パディ・コンシダイン デヴィッド・モリッシー モネット・メイザー ツヴァ・ノヴォトニー アメリア・ワーナー
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
シネクイントにて

1969年7月3日。ローリング・ストーンズを脱けたばかりのブライアン・ジョーンズ(レオ・グレゴリー)が自宅プールで死んでいるのが見つかった。
警察はオーバードーズが原因と結論づけるがその真の死因は?
初期ローリング・ストーンズの音楽性を決定づけたオリジナル・メンバー、ブライアン・ジョーンズ。いまだ謎の多いその死を頂点として、天才肌のミュージシャンの苦悩を描く。


ローリング・ストーンズは若い頃なにしろ大好きなバンドで。
ストーンズの楽曲そのものもさることながら、何よりも彼らの音楽を手引きにして古いブルースやR&B、カントリーまで辿ったりするのがとても楽しくて。
ロバート・ジョンソン、チャック・ベリー、ハウリン・ウルフ、マディ・ウォーターズ、グラム・パーソンズ・・・。
正直ロバ・ジョンなんて当時全部同じ曲に聴こえたりしたんですけど、酒を呷りながら聴いて、ひとり悦にいっておったりしたものです。
思いっきり背伸び。

この映画をきっかけに、そのロバート・ジョンソンの"King of the Delta Blues Singers"というヴィニール盤を引っ張り出して聴いてみたのですが、いやいや、改めて、これとんでもなくイイではないですか!
このタメ、このコク!
ノイズ(録音は1936年)の向こうから届く、ビョロローンと響くギターとダスティーな歌声。ギターの腕前と引き換えに十字路で悪魔に魂を売ったとも言われるロバート・ジョンソンの危険な魅力が、Mr. Jack Danielsの助けが無くてもビシッと迫ってくる。
やっぱり歳をとってわかる音楽ってあるんですね。

ブライアン・ジョーンズは、ブルース好きのメンバーが集まるストーンズの中でも特にこういう音楽への拘りが大きかったんでしょうね。
スーパースターであるよりもブルースを追求する一ミュージシャンでありたい。
そういう姿勢が、早すぎた死と相俟って今でも彼を神格化させているのだと思います。

・・・という、僕にとって、長々とした先入観抜きに観るのは難しい作品で、実際にこの作品を観て新鮮な驚きを得ることは全く無いわけですが、元ストーンズ・ファンとしては、現在のストーンズのライブを観るよりもこういう映画を観たほうがよっぽど「ああ、もう一回ストーンズ聴こうかな」という気になるような気もして。

映画の中で描かれたデモーニッシュで我儘で天才肌のミュージシャンの最期を観てそんなことを感じました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】ハード キャンディ

2006-08-14 22:51:37 | 映画は行


"Hard Candy"
2005年アメリカ
監督)デイヴィッド・スレイド
出演)パトリック・ウィルソン エレン・ペイジ満足度)★★ (満点は★5つです)
シネマライズにて

出会い系サイトで知り合ったファッション・フォトグラファーのジェフ(パトリック・ウィルソン)と14歳のヘイリー(エレン・ペイジ)。
ジェフはヘイリーをうまく部屋に連れ込むが、彼女に睡眠薬を飲まされ意識を失ってしまう。気がついたジェフは全身を縛られ、股間は氷で冷やされていた。
少女と男の心理戦の行く末は?


いや、これは痛いですよ。
なにしろですよ、○○○○がですよ、あんなことになってしまうんです。
しかも医学書片手に「いや、こういうの初めてなんだけど」という14歳の少女に。観てて思わず顔をしかめてしまいましたよ。

だけどそれだけ。そこ以外ほとんど印象に残らない。

この作品、基本的に登場人物は14歳の少女と30過ぎのオッサンの二人だけ。
その二人が延々と居た堪れなくなるような心理戦を展開しているわけですが、これが妙にグッと来ないんですよね。観ていて全然入り込めない。

何だか二人とも人物造形が薄っぺらい気がして。
こういう、限られた登場人物が限られた空間の中で行動する作品だと役者陣に相当な演技力が求められると思うのですが、この作品は肝心のこの二人の魅力がすごく薄いような気がしました。
男のほうなんてもう顔も思い出せないですよ、あれだけドアップの場面が多かったのに。

インターネット上での大人と未成年の少女の出会い、という日本にも当てはまる今日的なテーマを扱っていても俳優に魅力が無いと全然説得力が出ないんですね。

それにしても、二人が待ち合わせたカフェの「ナイトホークス」Tシャツ、良かったなあ。あれ、どこかで売ってるのかな?

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】フーリガン

2006-08-01 00:06:30 | 映画は行

"Green Street"
2005年アメリカ/イギリス
監督)レクシー・アレキサンダー
出演)イライジャ・ウッド チャーリー・ハナム クレア・フォラーニ レオ・グレゴリー マーク・ウォーレン
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シネマライズにて

ハーヴァード大学でジャーナリズムを専攻する学生マット・バックナー(イライジャ・ウッド)は、ルーム・メイトの麻薬売買の罪を被って卒業を前にして退学になる。
イギリス人のスティーヴ(マーク・ウォーレン)と結婚した姉シャロン(クレア・フォラーニ)を頼ってロンドンに渡るマット。
やがて彼はスティーヴの弟ピート(チャーリー・ハナム)と行動を共にするようになるが、ピートは地元のサッカー・チーム、ウェストハムをサポートするフーリガン集団のリーダーだった。


この作品に描かれるフーリガン達が、果たしてどこまで現実のそれに近いのかイマイチわからないのですが、つまり、相当美化されているような気もするのですが、じゃあその現実とのギャップが映画の出来に影響しているのかというとそんなことはなく。

いや、これ、思いのほか面白かったです。
簡単に言えばフーリガンという集団の抗争の日々の中で、友情を育み反骨心を養い成長するアメリカ青年の物語が美しく描かれているのですが、この「美しく」というのがミソ。
この作品に出てくるフーリガン達は粗暴なだけの人間なのではなく、情に厚く仲間をとても大切にする。

何だか、友情であったり義侠心であったり、社会に出て以来だんだん縁遠くなってきた感覚にすごく訴える作品です。そこにさらに暴力によるアドレナリンというスパイスがピリッと効いて。
少年ジャンプに連載されている漫画のような手触りの作品と言っても良いかもしれません。

イギリスの同種の作品と言えば、モッズとロッカーの衝突を描いた『さらば青春の光』を思い出しますが、決定的に違うのは主人公達の暴力へのモチベーションの有り様。
反体制、という立場が有効足りえた時代に闇雲に暴力に走る『さらば~』の主人公に対して、『フーリガン』の登場人物達は皆全うな職業に就いていて、週末毎の暴力はいわば趣味。
友情を確認するために、そして死と隣あわせの場にわざわざ身をおいて(そして実際に死人が出ることもある)アドレナリンを放出するために喧嘩を繰り返す。

心情的には『さらば青春の光』の虚無的な主人公像に強く魅かれるのですが、『フーリガン』のある意味体制とうまく折り合いをつけている登場人物達にも素直に感情移入できるのは、僕の現在の立ち位置が限りなく後者に近いからなのかもしれません。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】プルートで朝食を

2006-07-09 23:52:35 | 映画は行

"Breakfast on Pluto"
2005年イギリス
監督)ニール・ジョーダン
出演)キリアン・マーフィー スティーヴン・レイ リーアム・ニーソン エヴァ・バーシッスル ギャヴィン・フライデー ローレンス・キンラン ルース・ネッガ シーマス・ライリー
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
シネスイッチ銀座にて

1950年末のアイルランド。
教会の前に捨てられ養母の家で育ったパトリック(キリアン・マーフィー)は幼いときから女装や化粧が大好き。やがてゲイとして成長、キトゥンと名乗るようになった彼は母親の住んでいるというロンドンに向かう。


北アイルランドを車で移動していると、なにしろインパクトを感じるのが旗です。
街の目抜き通りを通ると、旗が洗濯物のように派手に渡されているわけですが、ある通りではオレンジの旗がブワーッとかかっていて、はたまた別の通りでは緑の旗がドバーッと。
一目見て、そこがカソリック系の地域なのかプロテスタント系の地域なのかがはっきりと分かるようになっているのですが、余所者である僕達日本人にとってはその過剰さがとんでもなく異様に映るわけです。
言いようのない不穏な空気。
ひとまず武力闘争が下火になりつつある現在でさえこの調子なのですから、この映画の舞台となった1950年代から70年代なんてとんでも無かったんでしょうね。

キトゥンが育ったのは北アイルランドに隣接するアイルランド共和国の小さな村。キトゥンが「シリアス、シリアス、みんなシリアスばっかり・・・」と嘆く場面が何回か出てきますが、キトゥンはそんな不穏な空気や闘争にのめりこむ人々に息がつまりそうだったんでしょう。
自分は感情に素直に生きたい。
重苦しい時代を軽やかに、半ば行き当たりばったりに生き抜く彼(彼女)の姿に清清しさを覚えます。ド派手な見た目は全然清清しくないんですけどね。

騒々しく別れと出会いを繰り返すキトゥンの人生、そこには生も死も一緒くたに祝福されているような躁的な趣があり、まるでジョン・アーヴィングの小説を読んでいるよう。
素晴らしき哉、人生!

最後になりますが、キリアン・マーフィー、リーアム・ニーソン、スティーブン・レイらアイルランド人俳優で固めた配役もなかなか。奇天烈に展開する話にキチンと安定感を与えていたように思います。
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】初恋

2006-06-11 21:11:38 | 映画は行

2006年日本
監督)塙幸成
出演)宮あおい 小出恵介 宮将 小嶺麗奈 柄本佑 青木崇高 松浦祐也 藤村俊二
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シネプレックス幕張にて

1960年代後半。孤独な高校生みすず(宮あおい)は離れ離れに暮らす兄の亮(宮将)を慕い、新宿のジャズ・クラブBに通うようになる。
やがて、そこにたむろする不良のひとり岸(小出恵介)に魅かれたみすずは、岸の犯罪計画に加担することを決意する。
日本犯罪史上に残る3億円事件。犯人が見つからないまま時効を迎えたこの事件に独自の解釈をつけた中原みすずの小説の映画化。

3億円事件の映画化作品の題名が『初恋』。何だかすごいギャップだし、実際にチケットを買うのもちょっと恥ずかしかったですよ。全くもって。

親兄弟と別れずっと孤独の中で生きてきた女子高生が初めての恋をし、その相手の目論む犯罪に手を貸し3億円事件を実行する、という何とも奇抜な内容なのですが、観る前はちょっと警戒していたところもあります。
3億円事件という大事件のモチベーションが恋愛だった―。
何か設定に無理が無いか?と。
世間を騒がせた大事件のたたずまいに恋愛の卑小さが負けてしまい、随分不恰好な作品なってしまうのではないか?と。

そんな、少し醒めた感じでこの作品の鑑賞に臨んだのですが、いやいやびっくりしました。なかなかの青春譚になっているではないですか!

なにしろ、孤独で鬱屈したティーンエイジャーの様子を宮あおいさんが大好演。
「大人になんかなりたくない!」なんていう、白々しく思えなくもないセリフだって、彼女が喋るとすごく説得力があって。肉親と別れて以来まともに人と関わったことのない少女が初めて人に必要とされたときの仄かな喜びみたいなものが自然に伝わってきました。
彼女の演技に説得力があるものだから、この少なからず突拍子も無い話だって十分ありえる話に思えたわけです。

さらに、その説得力を補強してくれたのが、1960年代末の新宿の風景。僕は全然リアル・タイムではないけれど、「うん、あのときの新宿ってこんなだったに違いない」と思えるなかなかの趣でした。
デモ隊と機動隊の衝突。裏道の退廃―。
まだまだ革命を夢見ることが出来た時代の雰囲気がビシッと伝わってきて、この時代だったら一組の若者がこんな事件を考えることもありえたかも、と思えて。

混沌とした時代の混沌とした東京に、ひとりの孤独な少女がいた。
そういうことが2006年の自分にもキチンと伝わってくるなかなか印象深い作品でした。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】僕の大事なコレクション

2006-05-20 22:28:27 | 映画は行

"Everything Is Illuminated"
2005年アメリカ
監督)リーブ・シュライバー
出演)イライジャ・ウッド ユージーン・ハッツ ボリス・レスキン ラリッサ・ローレット
満足度)★★★ (満点は★5つです)
アミューズCQNにて

ユダヤ系アメリカ人の青年ジョナサン(イライジャ・ウッド)は、ウクライナから移民してきた家族の記念となる物なら何でもコレクションし、ジプロックに保管したそれらのガラクタを壁に貼り付けている。
ある日、ジョナサンは病床の祖母から1枚の古い写真を受け取る。それは若かりし頃の祖父が若い女性と並んだ写真だった。
一族の来歴に興味を持ったジョナサンは、写真に走り書きされていた「アウグスチーネとトラキムブロドにて」というメモを頼りにウクライナに飛ぶ。

ずーっと前なのですが、『舞踏会へ向かう三人の農夫』(リチャード・パワーズ著/柴田元幸訳・みすず書房刊)という本を読んだのを思い出しました。詳細な内容はよく覚えてないのですが、一張羅を着て農道に佇む無名の3人の農夫を写した古い写真から、彼らの人生を想像して物語を紡ぎあげてゆくなかなか読み応えのある小説でした。

この小説の面白いところは、無名の人間に焦点をあて、その写真の中の佇まいだけを頼りに物語を膨らませていったところであり、それはこの映画にも言えることだと思います。

若い頃の祖父と若い女性がただ突っ立っているだけの写真。それはただの古い記念写真でしかないし、そこにはドラマのかけらさえ無い。
だけど、ジョナサンが、珍道中の末に現地の案内人アレックス(ユージーン・ハッツ)とその祖父(ボリス・レスキン)と共に祖父の故郷トラキムブロドを探し当てた末に知ったその写真の背景にある物語の重み。
それはその平凡な写真からは想像できないような苛烈なものだったし、その写真が導き出した真実は道行を共にした3人全てに大きな影響を与えるわけです。

平凡でつまらない物でも、人が触れてきた物にはその人の歴史が刻まれており、それが後世の人間を啓発する。"Everything Is Illuminated"というちょっと風変わりな題名には多分こういう意味がこめられていたんだと思います。

という、なかなか面白い題材の作品ではあったのですが、映画作品として観ると、いささか中途半端な印象でした。何と言うか、メリハリが利いていない。エキセントリックで潔癖症なジョナサンとクストリッツァ作品の登場人物のようなウクライナ人家族。面白そうな組み合わせなんですけどね、どこか手堅くまとめすぎたような印象。

イライジャ・ウッドは『エターナル・サンシャイン』『シン・シティ』に続いてまもやちょっと変わった役。この後には『フーリガン』なんていうのも控えていて。いよいよフロドの印象を払拭できそうです。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】ブロークン・フラワーズ

2006-05-06 23:05:51 | 映画は行


"Broken Flowers"
2005年アメリカ
監督)ジム・ジャームッシュ
出演)ビル・マーレイ ジェフリー・ライト シャロン・ストーン フランセス・コンロイ ジェシカ・ラング ティルダ・スウィントン マーク・ウェバー
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
シネプレックス幕張にて

初老に差し掛かった元プレイボーイのドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)は、IT関連のビジネスで成功し、今はよく言えば悠々自適、悪く言えば怠惰な毎日を送っている。
そんなある日、彼の元に匿名でピンクの便箋に書かれた手紙が届く。「あなたとの間に出来た子供はもうすぐ19歳になります」。自分に子供がいることに動揺を覚えた彼が隣人のウィンストン(ジェフリー・ライト)に相談したところ、ウィンストンは俄然乗り気になり、勝手に謎の手紙の書き手探しの算段を立て始める。ウィンストンに促されるままに20年前に付き合っていた女性達のリストを作るドン。
かくしてドンの昔の恋人探しが始まるのだった。

純粋な長編作品としては『ゴースト・ドッグ』以来久々の新作、カンヌでグランプリ受賞、主演は絶好調のビル・マーレイ、という無敵の好条件が揃ったジャームッシュの新作です。僕もこれはすごく楽しみにしていて早速シャンテ初日の3回目の回に行ったのですが、1時間前についたにも関わらず、ほぼ満席。良い席は空いてなさそうだったのでその日は断念、結局次の日に地元のシネコンで観ました。

今作のテーマは息子探しのロード・ムービー、そう、奇しくもヴェンダースの
『アメリカ、家族のいる風景』と全く同じ主題です。ヴェンダースは、気ままに生きてきた中年男が絆を求めてあがく様を真摯に、いささか生真面目に描いて成功したわけですが、ジャームッシュは相変わらず飄々と。

ビル・マーレイの演じる主人公、とにかくやる気が感じられない。
息子がいる、と聞いて当然心がざわつく訳ですが、おせっかいな隣人に何から何までお膳立てされないと全く動かない。「しょーがねえなあ」という感じで渋々過去の女性達を訪ねまわるわけですが、本人にやる気が無いわけで、昔の恋人たちと会ったって全然会話が弾むことも無い。
この会話の弾まないことによって生じる独特の間がもうジャームッシュ!

ただ、今作のジャームッシュはちょっと、ほんのちょっとだけど違います。
それは、ラスト近くの場面。
ドンが一所懸命走るんですよね。思わず。
全編受身だった彼がはじめて能動的に動く。
だけど、結局はそこで何も掴まえることが出来なくて、呆然と立ちすくむ。
まるで今まで送ってきた人生の空しさにはじめて気付いたかのように。
この感覚、今までのジャームッシュ映画には無かったものだと思います。

とぼけた感じに(特に後半)しっとりした情感も加わって
なかなかの作品ではあります。
だけど、僕が彼の他の作品と比べるとちょっとグッと来なかったのは、そんなドンの心持に共感出来るほどの経験の蓄積がまだ無いからなのかもしれません・・・。

コメント (21)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】プロデューサーズ

2006-05-04 23:39:04 | 映画は行

"The Producers"

2005年アメリカ
監督)スーザン・ストローマン
出演)ネイサン・レイン マシュー・ブロデリック ユマ・サーマン ウィル・フェレル ゲイリー・ビーチ ロジャー・バート
満足度)★★☆ (満点は★5つです)
日劇PLEXにて

1959年のニュー・ヨーク。ブロードウェイの落ち目のプロデューサー・マックス(ネイサン・レイン)の作品は酷評続きで長続きせず、日々の生活にも困る有様。
そんなところに会計事務所から派遣されてきた会計士・ブルーム(マシュー・ブロデリック)の「最初から大コケ間違い無しの作品を作れば出資者に配当を出さなくて良いから儲かる!」という一言に閃いたマックスは、史上最低のミュージカルを作ることを思いつく。
もともとブロードウェイのプロデューサーを夢見ていたブルームも迷った末にその企画に参加、かくして最低のミュージカル製作が始まる。
原作はブロードウェイで大ヒットになったメル・ブルックスのミュージカル作品。


ハリウッド黄金時代のミュージカルの名場面ばかりを集めた『ザッツ・エンタテイメント』という作品があります。あれ、すごく楽しいんですよね。アステアだのジーン・ケリーだのエスター・ウィリアムズだのの豪華で優雅で、まあ脳天気なミュージカル・シーン満載で。ケネディ暗殺やベトナム戦争を経験する前の健全なアメリカのイメージがとてもまぶしい。

僕がこの映画を何故観に行ったのかと言えば、ひとえにその往年のハリウッド作品の雰囲気を求めて、ということにつきます。何しろ舞台版オリジナルでも監督を務めたスーザン・ストローマンが、あのMGMミュージカルの最高峰『雨に唄えば』のイメージを目指して作った、という訳ですからね。これはワクワクします。

ということで結構期待して観に行ったのですが・・・うーむ、どうもあまりノレませんでした。この作品、結構お下品なんです。いや、下品な映画が嫌いな訳では無いんですけど、この作品にはそれを求めていなかったというか。
なにしろ、主人公マックスは糊口をしのぐために老嬢たちのセックス・パートナーになって小切手をせびり取ってたりします。どうもそういうちょっとグロテスクな設定がピンと来なかったんです。
まあ、グロテスクって言ったって現代の劇映画と比べたら全然ショッキングなわけでは無いのですが、やっぱり夢のミュージカル作品ですからね。僕はもう、時代錯誤って言われても良い位の徹底して口当たりのまろやか~な作品にしてほしかったんです。うーん、潔癖症!

役者陣もそれほどピンと来なかったのですが、中ではゲイの演出家のアシスタント役を務めたロジャー・バートは良かったですね。あの「イエースススススス・・・」ってすごくないですか、無意味に(笑)。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】V フォー・ヴェンデッタ

2006-04-30 21:33:15 | 映画は行

"V for Vendetta"
2006年アメリカ
監督)ジェイムズ・マクティーグ
出演)ナタリー・ポートマン ヒューゴ・ウィービング スティーブン・レイ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて

近未来、独裁国家と化したイギリスでは市民は監視下に置かれ、息苦しい生活を送っている。
ある夜、夜間外出禁止令を破り深夜街に出たイヴィー(ナタリー・ポートマン)は自警団に襲われそうになったところをV(ヒューゴ・ウィービング)と名乗る仮面の男に救われる。
Vはイヴィーの目の前で中央刑事裁判所を爆破し、それは革命の序章に過ぎないと告げる。イヴィーがVと一緒にいたことを突き止めた公安当局は彼女を追うが・・・。
DCコミックの原作をウォシャウスキー兄弟が脚色、『マトリックス』シリーズの助監督ジェイムズ・マクティーグが監督。

いやー、盛り上がりました、ラスト・シーンとそれに続くエンディングで流れたストーンズの『ストリート・ファイティング・マン』。
暴力は暴力によって覆されるべきものなのか?
Vは革命家なのか、ただの復讐者なのか?
そんな疑問を一気にどうでもよくしてしまうカタルシス。
Viva la Revolution!

ラストではかように青臭く盛り上がってしまうわけですが、そこに至るまでは随分と抑制された作りです。一応Vというアクション・ヒーローが主人公なわけですから殺陣の場面がテンコ盛りなんだろうな、という予想を裏切る展開。どちらかというと、『未来世紀ブラジル』だの『1984』だのの全体主義国家を描いたディストピア映画の趣。

この作品の原作コミックはサッチャーの保守党政権時代に発表されており、多分にその強権的な政治手法・イデオロギーに対する批判がこめられていたようです。つまり、この作品の未来は決してあり得ないものなのではなく、確実に現在と地続きであるのだと。
チューブの中を走る未来カーもウルトラ・モダンな高層ビルも出てこない、つまり現在と殆ど変わらない未来のロンドンを見るとそんなことを考えてしまいます。

そんな未来の革命家・復讐者Vは結局最後までその仮面を取ることは無いわけですが、その半笑いの表情の仮面の造形がまたうまく出来ています。 Vはシリアスな場面でもニヤニヤ。アクション・シーンでもニヤニヤ。こんな仮面のイメージが、Vの印象を随分シニカルに見せているし、それがこの映画をさらに英国っぽい雰囲気にしているような。

なかなか重厚で見ごたえのある作品なのですが、もしかしてこれ、続編とか作られないだろうな・・・。
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】ふたりのベロニカ(ニュープリント)

2006-04-03 16:28:34 | 映画は行

"La Double vie de Véronique"
1991年フランス/ポーランド
監督)クシシュトフ・キェシロフスキ
出演)イレーヌ・ジャコブ フィリップ・ヴォルテール
満足度)★★★★☆ (満点は★5つです)
ル・シネマにて

歌うことが大好きなポーランドのベロニカ(イレーヌ・ジャコブ)は、クラクフの音楽学校で働く友人を訪ねた際にその才能を見初められ、コンサート・デビューが決まる。喜んで練習に励むベロニカだったが、彼女は心臓に疾患を抱えていた。
一方、パリで音楽教師をしているベロニカ(イレーヌ・ジャコブ=二役)は自分の生活に意味を見出せず惰性で毎日の生活を送っている。そんなある日、学校行事で人形劇を観にいった彼女は人形使いの男・アレクサンドル・ファブリ(フィリップ・ヴォルテール)に強く魅かれる。

常にもう一人の自分がいることを感じているふたりのベロニカの物語。

うたた寝をしていたパリのベロニカが、チラチラする光が気になって起き上がり窓から外を覗くと、それが向かいのマンションの子供の鏡を使ったいたずらだと分かるシーンがあります。
微笑むベロニカ。手を振って窓を閉める子供。振り返って部屋の中を見やるベロニカ。ゆらめく光は消えていない、子供は窓の中に引っ込んだのに。

ポーランドとフランスの二人のベロニカの物語なのですが、実はポーランドのベロニカは念願だった演奏会のステージの上で命を落としてしまいます。若い人生を目一杯楽しみ一所懸命生ききったポーランドのベロニカ。
彼女が亡くなった後、フランスのベロニカの身の回りにささやかな奇跡が、本当にささやかに起こり続けるわけです。まるで誰かが彼女を見守っているかのように。
その顕現は光だったり、音楽だったり、小道具だったり。
このささやかさが想像力を掻き立てるんですよね。

優れた俳句がそうであるように、この作品は決して雄弁ではありません。ただ、もうひとりのベロニカの存在が微かにほのめかされるだけで。そこには辻褄を合わせようという無駄な説明は全く無い。

ライブリーなポーランドのベロニカとアンニュイなフランスのベロニカ。対照的な二人を今作でカンヌの主演女優賞を受賞したイレーヌ・ジャコブが大好演。当時ほとんど無名だった彼女を抜擢した故キェシロフスキの眼力も流石です。

『美しき運命の傷痕』封切が間近ですが、キシェロフスキの繊細な世界を『ノーマンズ・ランド』のタノヴィッチがどんな風に映像化したのか、ますます楽しみになってきた次第です。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】ヒストリー・オブ・バイオレンス

2006-03-19 18:37:47 | 映画は行

"A History of Violence"

2005年アメリカ
監督)デイヴィッド・クローネンバーグ
出演)ヴィゴ・モーテンセン マリア・ベロ エド・ハリス ウィリアム・ハート
満足度)★★★ (満点は★5つです)
東劇にて

インディアナ州ミルブルック。このスモールタウンでダイナーを経営し、妻や二人の子供とささやかながらも幸せな家庭を営むトム・ストール(ヴィゴ・モーテンセン)。ある日、トムはダイナーに押し入った強盗2人組を撃退、メディアも大きく取り上げる。
そんな彼の元に、不気味な容貌のマフィア・カール・フォガティ(エド・ハリス)が現れ執拗に付きまとい始める・・・。


この映画、冒頭のツカミの場面が何と言ってもヨカッタです。
夏の朝。気だるそうにモーテルから出てきて車に乗り込む訳ありっぽい初老と若者の男性二人組。長回しでこのダラダラした雰囲気をじっくり観せるのですが、どこか不穏な空気が漂う(ちょっとデビッド・リンチ風)。
ただでさえクローネンバーグの新作、その題名も「ある暴力の履歴」、ということでワクワクしているところにこの冒頭のシーン、「おお、これは何かすごいかも!」と思って身を乗り出してしまったわけです。

クローネンバーグと言えば、僕はいまだに『ビデオドローム』や『スキャナーズ』などの粘着質な作品の印象が強く、新作を観る度にその痕跡を探してしまうわけですが、この映画はその点至極全うなサスペンス作品です。どちらかというと『デッドゾーン』路線。

だけど、この映画、ちょっと全うすぎるような気がします。
こういう日常の中に暴力がズカズカと入り込んでくる映画、その暴力が不合理であればあるほどその不気味さが強調されてイイ味になると思うのですが、この作品ではそれがあっさりと説明されてしまう。
何というか、狂気が足りない。

結局、魅力的なファースト・シーンを越える場面のない、何か華のない作品になってしまったような気がします。どことなくテレ東のお昼過ぎにやってる映画を観ているようなB級感が・・・。

ところでこの映画、平日の仕事帰りに銀座の東劇で観たのですが、あそこのロビー、マッサージ・チェアーがあって良いですよね。
あれでマッサージされながら目を閉じて疲れを取り、映画に臨む。
病み付きになりそうです。
だけど、マッサージ・チェアがあるとつい座ってしまうのって、やっぱり年なのかな・・・。
コメント (20)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】ホテル・ルワンダ

2006-02-05 17:56:27 | 映画は行

"Hotel Rwanda"

2004年南アフリカ/イギリス/イタリア
監督)テリー・ジョージ
出演)ドン・チードル ソフィー・オコネドー ニック・ノルティ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シネプレックス幕張にて

1994年ルワンダ。長年争ってきたフツ族とツチ族の2つの民族(パンフレットによると、2つの民族の違いは厳密には明確ではないようです)は今まさに一触即発の状態にあった。
そして、ついにフツ族出身の大統領が何者かに暗殺され、それを合図としたかのようにフツ族民兵によるツチ族の虐殺がはじまる。
ベルギー資本の高級ホテル支配人・ポール(ドン・チードル)は逃げてきたツチ族の多くの人々をホテルの中にかくまうが、頼みにしていた国連の平和維持軍も縮小、ポールはますます勢いを増すフツ族武装勢力の中で孤立してゆく。
「アフリカのシンドラー」とも呼ばれるルワンダ人ポール・ルセサバギナの実話を元にした作品。


ジェノサイドの様子をカメラに収めたイギリス人ジャーナリスト・ジャック(ホアキン・フェニックス)は自虐的に言います。
-これをTVで見たら、みんな「ひどい!」と言うだろうね。だけどその後みんな何事も無かったように夕飯に戻ってゆくんだよ・・・。

すごく居心地が悪い思いをします。なぜなら、僕もそうだったからです。日本人から見て馴染みの薄い大陸アフリカ。その中でさらに馴染みがないと言ってもいいルワンダという小国。この歴史的な虐殺、当時ニュースや新聞を通じて断片的には知っていましたが、それはあくまでも血の通わないニュースとしてであり、基本的には自分には無関係な出来事、として捉えていました。

そのような世界的無関心に対して、そのときルワンダで何が起こったのかをルワンダ人の視点からキチンと伝えよう(演じる俳優は現地人ではありませんが)、という志の高い映画です。

主人公のポールは高等教育も受けており、高級ホテルの支配人として政府高官や海外のビジネスマンとも付き合いがあります。いわばエリート層の一人。そんな彼ですから、虐殺がはじまっても最初のうちは「政府や国連が助けてくれるだろう」と思っているわけです。しかし現実はそんなことはなく、利用価値の無い国と見限った国連は手を引くし、政府軍も民兵を制御出来なくなってくる。
極限状況の中で避難民を守り抜こうとするポールの、時に強く、時にはくじけそうにな様子をドン・チードルが感動的に演じあげます。

決して声高に虐殺の惨さや大国の無関心を告発する作品ではありませんし、苛烈な状況をショッキングに描いた作品でもありません。むしろ随分抑えた演出だと思います。それなのに、というかだからこそ心の奥のほうにしっかりと何かが残る、素晴らしい作品です。
これが署名運動が起きるまで日本で公開する予定が無かった、というのが信じられない。
コメント (25)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】フライトプラン

2006-01-29 17:56:24 | 映画は行

"Flightplan"
2005年アメリカ
監督)ロベルト・シュヴェンケ
出演)ジョディ・フォスター ピーター・サースガード ショーン・ビーン
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
ワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典にて

事故で夫を失ったベルリン在住のアメリカ人航空機設計士カイル(ジョディ・フォスター)は娘ジュリア(マーリーン・ローストン)を連れてアメリカに帰ることを決意する。
自身も設計に参加した最新鋭の航空機で帰国の途に着く二人だったが、機中で眠り込んだカイルが起きてみると、そこに娘の姿は無い。
必死に機内を探すカイルだったが、添乗員から、そもそも娘の搭乗記録が無いことを知らされる。


何とは無しの不安感をあおる演出の映画です。
その落ち着かない不安感の原因は、映画の中でカイルが基本的に「ひとり」だからだと思われます。アメリカ行きの飛行機に乗ってから降りるまでの1日足らずの物語なのですが、その中でカイルが接する唯一の心許せる身内は幼い娘だけ。その娘にしても機内で消えてしまうわけで、残りの登場人物は全て他人です。

その他人の描き方にしても徹頭徹尾クール。感情が見えない。
この映画、クローズアップが多かったような気がするのですが、大写しになるフライトアテンダントや乗客たちの顔に、生の感情が感じられないんですよね。それが無機質な機内デザインとあいまってすごく不安な気分をあおるんです。

半狂乱のカイルを落ち着かせるためにたまたま機内に乗り合わせたセラピストが色々話しかけるわけですが、カイルは"I don't know you"と言ってそれを突っぱねます。考えてみればその場に居合わせる人たち全てのことをカイルは良く知らないわけで、だからこそカイルは、無機質な飛行機の中で無機質な他人に囲まれて精神的に追い込まれていってしまいます。
奇抜なプロットではあるのですが、わりと無理なく観られてしまうのは、そういう雰囲気が丁寧に描かれているからかもしれません。

無機質、といえば航空保安官役のピーター・サースガード!
この俳優さん、いいですよねえ。何というか、目つきがやけに冷たい。
『ニュースの天才』とか『愛についてのキンゼイ・レポート』でも思ったのですが、そういう意味ですごく雰囲気があり、この映画を覆う不安感にぴったりあっていました。

先述したように奇抜なプロットではありますが、意外に正統なサスペンス映画です。
まあ、正統すぎて驚きもそれほど無いわけですが・・・。
コメント (34)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】僕のニューヨークライフ

2006-01-21 22:59:08 | 映画は行


"Anything Else"

2003年アメリカ
監督)ウディ・アレン
出演)ウディ・アレン ジェイソン・ビッグス クリスティーナ・リッチ ダニー・デヴィート ストッカード・チャニング
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
恵比寿ガーデンシネマにて
 
我儘な彼女アマンダ(クリスティーナ・リッチ)に振り回されっ放しの売り出し中のコメディー・ライター・ジェリー(ジェイソン・ビッグス)は精神分析が欠かせない日々を送る。
そんな時にジェリーは初老の先輩コメディ・ライター・ドーベル(ウディ・アレン)と知り合うが、彼の与えるアドバイスはどこかずれていて・・・。

東京、今季はじめての本格的な雪でしたね。初回上映を観たくて、さらにあわよくば先着10名限定の特典も頂いてしまおうと(いい感じのトートバッグだったんですが間に合わなかった・・・)10時頃恵比寿に着いたのですが、雪の朝のガーデンプレイス、やけに人が少なかったです。
早めにチケットを買って雪を眺めながらゆっくりあったかいコーヒーを飲む。
ちょっとした幸せを感じるひと時でした。

そんな気分のまま観たウディ・アレンの新作(といってもアメリカ公開は2年前ですが・・・)、悪かろうはずがありません。と言いますか、僕にとってはウディ・アレンの映画って最早「寅さん」なんですね。スクリーンの中にウディ・アレンが出てきてあの性急な喋り方でぼやいていてくれるだけで満足。だから、映画の多少の粗も、場合によっては大きな粗でさえも全然気にならない。

今作は、20代そこそこの青年の成長譚。
これは今までのウディ・アレン作品では珍しい設定です。
今までの作品、メイン・アクトはだいたい監督当時のウディ・アレンの年齢と同じ設定だったような気がするのですが、今回、一気に若返ってしまいました。ただ、だからと言って過去のアレン作品と比べても物語の語り口は全然変わらないし、全然違和感も斬新さも無い訳ですが・・・。

若いジェイソンとジェイソンに忠告を与える中年のドーベル。
結局この二人、どちらもウディ・アレンなんです。青臭い優柔不断なウディ(ジェイソン)と強烈な脅迫観念におびえる教養人ウディ(ドーベル)。
若い青年を主人公に据えても結局はいつものウディ・アレンの映画。
ウディ・アレンのファンならニコニコ観てしまうだろう幸せな映画。

人生に思い悩む二人に掛けられる言葉、
"You know, it(life)'s like anything else"
がまたウディ・アレンらしい人生観を表している、イイ作品です。

コメント (34)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】秘密のかけら

2005-12-25 11:12:40 | 映画は行


"Where the Truth Lies"

2005年カナダ/イギリス/アメリカ
監督)アトム・エゴヤン
出演)ケヴィン・ベーコン コリン・ファース アリソン・ローマン レイチェル・ブランチャード デヴィッド・ヘイマン
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シャンテ・シネにて

1972年のLA。野心溢れる女性新進ジャーナリスト・カレン・オコナー(アリソン・ローマン)は、1950年代に一世を風靡したコメディアン・コンビのラニー・モリス(ケヴィン・ベーコン)とヴィンス・コリンズ(コリン・ファース)のコンビ解散の真相の取材を始める。
彼等は宿泊していたスイートを訪れていたホテルのメイド・モーリーン(レイチェル・ブランチャード)の死を境にコンビを解消していた。現在はそれぞれ別の人生を歩む二人に取材を進める彼女が達した真相とは・・・。
原作はルパート・ホルムズのミステリー小説。


アトム・エゴヤン、好きです。
何か大事なものを失ってしまった虚ろな表情の人たち。
過去と現在、虚と実を行ったり来たりする語り口。
そして結末に示されるささやかな救済。
複雑な映画の構造に観ている間は結構混乱させられるのですが、後味がジワジワと来るんですよね。

で、この『秘密のかけら』。相変わらず複雑なことになってます。焦点は、コンビ解消の原因となった1950年代のある夜で、この場面が回想シーンとして繰り返し出てくるのですが、これが細切れで時系列も行ったり来たりで最初は戸惑ってしまうんです。ただ、これに慣れてしまうとなぜか気持ち良い。あとは醜く爛熟した芸能の世界に酔うだけです。

ケヴィン・ベーコン、それにしても存在感あります。僕の世代だと何と言っても『フットルース』のイメージが強いわけで、『スリーパー』で極悪看守を演じていたときはとにかく違和感ありまくりだった彼ですが、もうすっかり悪役専門みたいな位置についてしまいましたね。この路線、断然支持します。

エロくも切ないこの映画、やはりラストにきっちりと救済らしきものが用意されていて、微妙な余韻を残してくれます。決してエゴヤンのベスト作品だとは思いませんが、コンスタントに平均点以上の作品を発表し続けるこの監督の底力を感じます。

コメント (20)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする