ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

政治生活30年の経験と学識を活かし、ポリティカルセオリストの視点から政治の今を語ります。気軽にコメントして下さいね!

損害賠償金に不正支出の疑い~木下市長の指示

2006-06-16 23:27:27 | 市議会議員として
本日6月16日午前10時から100条委員会「公共工事をめぐる恐喝事件等調査特別委員会」が開かれ、昨年10月13日に草加市から暴力団組長藤沢一賀被告に対して支払われた損害賠償金の概算払い金1,046,010円が不正支出の疑いがあることが分かりました。概算払いを指示した木下市長の責任問題が急浮上してくる見通しです。

■木下市長の議会対応~概算払いの事実を隠して議会に提案

今回の100条委員会で再調査されたのは、昨年11月28日に木下市長から議会に提案された、藤沢被告への損害賠償金104万円の支払いに議会承認を求める議案(第123号議案)に関わる事件についてです。再調査の必要があったのは、次の事項について、木下市長が虚偽(うそ)とも解釈できる説明を議会に対して行った、もしくは怠っていたことが発覚したためです。

①藤沢一賀氏を「一般市民」と議会に説明していた。
 過去5年間にわたり、市役所職員や公共工事請負業者に対する苦情申し立てをしていた暴力団役員であることを一切、議会に説明や報告をしていなかった。

②議会提案の段階で既に藤沢一賀氏に市長からの指示で損害賠償金を全額すでに概算払い(前払い)してしまっていることを隠していた。

これら2点は、明らかに議会に対する背信行為であり、木下市長の政治責任が問われる問題です。警察の事故証明があり、損害賠償責任保険の担当保険会社の正式な査定を経ているので、まったく問題がないと木下市長は議会に説明していました。

■松原団地駅ロータリーでポールが倒れて頭蓋骨折~草加市は概算払いしていない。

そもそも損害賠償金の概算払い(前払い)というのは、生命に関わるような高度な医療を即時提供しなければならないような損害事件などの場合に、賠償金額が確定する手続きを待つことが出来ない緊急性が条件として認められる特別な対応のことです。松原団地駅ロータリーで起きたある市民の頭蓋骨骨折事故では、緊急手術など、200万円を超える治療費が必要であったにも関わらず草加市は被害者に対して概算払いしていません。

■木下市長自身の指示で藤沢被告に概算払いしていた。

しかし、藤沢被告に対しては木下市長自身が、「概算払いできるのか。できるのであれば早めに払って欲しい。」と担当者に指示して(100条委員会での証言)、昨年10月5日に概算払いが起案され、10月7日に市長決済。10月10日に藤沢被告との仮示談が締結されて、10月13日に損害賠償金1,046,010円全額が草加市から藤沢被告に直接、草加市民の税金を使って前払いされました。(示談の前に起案していることも通常の手続きに逆行していると思われます。)

■損害保険会社は現地調査や修理の完了確認をしていない。

16日の委員会では草加市が加入している草加市の道水路に関わる損害賠償保険を取り扱っている損保ジャパンの査定担当者を証人尋問しました。その結果、藤沢被告の今回の事件について損保ジャパンは独自の現地調査をしておらず、藤沢被告の車両修理の完了も確認していないことが明らかになりました。

■損保会社から代車業者に支払われるはずだった50万円~草加市が藤沢被告に支出

さらに、損害賠償金総額約104万円の内、代車費用として計上されていた504,000円については、これが損保ジャパンからの斡旋業者であるレンタカージャパンに対して損保ジャパンから直接支払われるべき賠償金であったのに関わらず、草加市はこの金額を含めた約104万円の賠償金全額を藤沢被告に前払いしてしまっており、藤沢被告からレンタカージャパンに対する代車費用の支払いが滞っていたいたために、今年2月まで保険金の支払いが損保ジャパンから草加市に対して行われなかった事実も判明しました。

■本来、修理工場とレンタカー業者に支払われるべき賠償金

100条委員会での証言の中で、損保ジャパンの査定担当者は、通常、自治体における損害賠償事件の賠償金は、被害者に直接支払われるのではなく、治療行為に対するものは医療機関に、車両修理等に関わるものは修理工場に、代車費用が発生する場合にはレンタカー業者に損害保険会社から支払われるのが通例であり、今回のケースでも、もし草加市側が損害保険会社からレンタカー業者への支払いをする通常の手続きを受け入れていれば、保険金額は今年2月ではなく、昨年10月に決済することが可能だったが、「(草加市が)お困りのようだったので、再三にわたって対応した。」と述べています。

※損保ジャパンの査定担当者は、「本来、藤沢被告に対する賠償責任は車両の傷に対するものだけで、レンタカー費用はその付帯費用として認めたもので、その際もレンタカー費用を出来るだけ圧縮する目的から、特約の関係にあるレンタカー業者を通じて代車を提供させていただいている。損害賠償金の総額には反映されるものの、この費用の清算は弊社(損保ジャパン)からレンタカージャパンに対して直接支払うことになっているので、ご理解いただきたいと○○さん(市担当職員)には再三申し上げていたが、お困りのようだった。」という趣旨を証言しています。1事件100万といわれている藤沢被告への示談金を草加市がレンタカー代も含めて、しかも議会の承認を得ないまま、市民の税金で先払いしてしまっていた様子が浮き彫りになったように感じられます。

■概算払いの根拠が崩れる?~修理完了の有無とレンタカー代の清算時期

もし、藤沢被告の自動車が本当に修理されて、修理代金の清算に草加市から概算払いされた賠償金が支払われていなければ、概算払いしたことそのものの根拠が崩れることになります。(修理完了の確認はしていない。)さらに、本来、レンタカージャパンと損保ジャパンとの契約関係の中で積算された代車費用を草加市が勝手に市民の税金を使って藤沢被告に対して立替払いしてしまったことは、これだけでも不正支出事件だと認定せざるを得ないでしょう。

しかもこのレンタカー代も藤沢一賀名義で清算されたのは今年の2月になってからだったので、昨年10月の概算払いの根拠が既に崩れています。つまり、藤沢一賀被告に対して木下市長の指示で迅速に昨年10月13日に支払われた概算払いの決済そのもの(意思決定全体)が不正支出であった可能性が大きくなってきました。また、今年2月になってようやく藤沢一賀名義で支払われた代車費用が果たして本人からの振込みであったのかさえ、疑問視する声が上がっています。いずれにしても、代車費用に関していえば、昨年10月13日に速やかに支払われた「概算払い」の意味は全くなかったといえます。

■6月19日(月)の100条委員会~藤沢被告の要求に応じない業者を木下市長が処分?

既に藤沢一賀被告に対する木下市長の概算払いの市長決済が単なる藤沢被告に対する便宜供与ではなく、不正支出事件であった可能性が出てきていますが、これに加えて、この5年間の度重なる藤沢被告の苦情事件による業者恐喝の発端となった事件に、木下市長自身が行った業者指導のための公印文書の存在がささやかれています。事件そのものは平成14年に起きているのですが、ある業者は藤沢被告と示談して金銭の支払いをし、ある業者は弁護士を立てて、毅然と対応しました。しかし、この毅然と対応した業者に対して、平成16年に木下市長が市長の公印文書でこの業者に藤沢被告に誠意ある対応をするように求め、事件の顛末書の提出を求めたとされています。これらの事件についての調査が来る6月19日(月)午前10時から開かれる100条委員会で行われます。公印文書の存在の確認が現時点でまだ、警察に押収されてしまっていて、議会では出来ていないので、どこまで真実が明らかになるか未だ見通しは立っていません。証人の証言によって明らかにされる客観的な事実から、事件の真相に迫っていくことになりそうです。

皆さまの傍聴を引き続きお願いいたします。

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
不正は許せません (バットマン)
2006-06-17 12:29:09
議会の承認なくして藤沢被告へ損害賠償金が支払われていたのが事実なら、それは民主主義のルールをやぶった行為だと思います。

同じ様なことが形を変えて繰り返されていたとしたら、それはもう犯罪行為と呼ぶべき行動だと思います。



因縁をつけられた業者に対して、市が公定力を持つ行政として、支払に応じさせるような指導をしたり、その後それを原因として指名停止の処分をしたのが事実だとしたら、まさに草加市はゴッサムシティの様相を呈していると言えます。



是非100条委員会で事実をはっきりとさせ、シロかクロかの決着をつけてもらいたいと思います。

期待しています。



まさか、上のような事実は無いと思いますが、もしあったとしたら、市長の責任は重大です。即刻辞任するべきです。



返信する
レンタカー会社の名前は... (ひろし)
2006-06-17 15:13:32
些細なことかもしれませんが、レンタカー会社の名前は、ジャパレンではないですか?
返信する

コメントを投稿