ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

政治生活30年の経験と学識を活かし、ポリティカルセオリストの視点から政治の今を語ります。気軽にコメントして下さいね!

続・それでもマンションが建つ。~赤道&青道って?!

2008-04-27 06:51:33 | 市議会議員として
※これがマンション開発業者に売却されたハリオテック跡地。黄色の線は、木下市長がハリオテックに払い下げた法定外公共物「赤道」&「青道」。駅通りに面した最高の立地と法定外公共物払い下げで生まれた5,000坪もの貴重な整形地。(赤枠)

昨年、2007年12月18日のブログ記事「それでもマンションが建つ。」や、関連ブログ記事「赤道&青道って?~大きな便宜供与となる危険性。」(2007年9月12日掲載)で、みなさまにご報告した松原団地駅東口徒歩3分の距離にあり、草加市文化会館と草加市民体育館の駅通りをはさんで向かい側にある「ハリオテック跡地」についての続報をご報告します。

■公有地拡大法って?~約50億円でマンション開発業者へ売却。

この土地は、ハリオテックが長谷工コーポレーションに約50億円で売却する計画がありました。木下市長から市議会への報告は、民間所有の相当規模の土地売却に際して、公共目的で国や地方自治体が優先して買収する権利を保障する「公有地拡大法」の定めるところにより、草加市が取得する意向を打診されて初めて行われたわけです。

当初から木下市長は、「約50億円という取得価格では、買いたくても買えないが、公拡法(公有地拡大法)による取得意思の回答期限が近いので、市議会各派団長さんたちのご意見を伺いたい。」と消極的な考えを示していました。

■木下市長に、自由市民クラブ、公明、自由民主の3派が申し入れ。

これに対し、自由市民クラブ(瀬戸健一郎前団長)、自由民主(浅井康雄団長)、公明(大久保和敏前団長)の3派団長は、この翌日、木下市長に対し、「この土地は、将来の庁舎、文化会館等の公共施設建替え事業の計画地として、最高の立地条件であり、充分な広さがあるので、仮に50億円という高いハードルではあるが、交渉の余地もないとはいえないので、積極的に取得することを検討するべきである。」という趣旨の申し入れを行いました。

みなさんはどう思われますか?

広さは約5,000坪ですから、坪当たり100万円。確かに高い買い物ですから、この時点で木下市長が消極的であったことを責めることはできません。それは昨年の6月定例議会前の出来事でした。

■「青道」&「赤道」の市長決裁がなければ・・・。~木下市長の隠蔽体質。

その後、このハリオテック社有地の中に、約1,416㎡(約430坪)も「赤道」や「青道」と呼ばれる公有地が含まれていたことが分かりました。しかも、この土地の公有地拡大法の手続きが報告される4ヶ月前に、これを木下市長が約1億円(坪当たり約23万円)でハリオテックに売却していたことが分かりました。

このブログのトップ画像に示された黄色の線の部分が、実際に木下市長がハリオテックに売却した「赤道」、「青道」だった土地で、その合計面積が430坪あったわけです。しかも、これを見れば一目瞭然なのは、木下市長自身が行った、この「赤道」&「青道」といった法定外公共物の払い下げ(売却)の決裁がなければ、ハリオテック社有地は大きくは6つに分断されており、敷地面積5,000坪の大規模マンションは絶対に建たないということです。

■適正価格は20億円台?~ビジョンなき市政運営が続く。

つまり、そもそも公有地拡大法の精神にのっとり、もしも草加市がハリオテック社有地をきちんと公共目的で買収する手続きを進めていれば、その取得金額は50億円にまで跳ね上がるはずはなかったということです。

木下市長がハリオテックに売却した坪当たり約23万円という金額は、あくまで「赤道」や「青道」の価格であり、これを5,000坪全体に適用することはできないまでも、仮にこの2倍の46万円で、赤道や青道、約430坪を除く、4,570坪を買収したとしても、その総額は約21億円程度にしかならなかったはずなのです。

みなさんは、どう思われますか?


※画像は冨士製革工業跡地を示しています。この公有地の使途は、いまだに白紙のままです。当初、長谷工コーポレーションのマンション開発事業で公有地拡大法の手続きが取られ、草加市が取得したものの、この土地には道路が面していないため、そもそも大規模な建設物はこのままでは建たないことが分かります。"Google Earth"がこのようなブログ記事を可能にしてくれています。

■木下市長のビジョンなき公有地拡大~これまでの経緯。

木下市長は就任以来、2003年に冨士製革工業跡地、約6,400坪を約18億円で買収。2004年に小野産業跡地、約2,383坪を約10億円で買収。さらにその小野産業に年間約1,000万円の利益を上げていた草加駅至近の住吉パーキング、約667坪を約5億3,000万円で売却。この公共駐車場の払い下げだけで、草加市は約12億7,000万円の損失でした。

冨士製革工業跡地の買収の時にも長谷工コーポレーションのマンション開発計画で公有地拡大法が適用されて、この時は草加市がこの用地を買収しましたが、いまだにこの用地の使途は木下市長から示されていません。


※この画像は、木下市長が当該市域の公有地の必要性を否定し、小野産業に約5億円で売却した住吉パーキング跡地。(草加市の取得価格総額はバブル絶頂期だったこともあり、約18億円だった。/現在は小野産業の社屋が建っている。)南側の土地は、木下市長が新たに買収しようとしているコンフォール草加(草加団地)計画保留地。

■小野産業との不動産売買。~だれに利する市長決裁なのか?

新田の小野産業跡地には、もともと都市計画道路が位置づけられていましたから、この部分のみを買収すればいいのではないかとの意見がありましたが、この計画用地を含む敷地全体を買収し、事実上、その代替地として草加駅至近の住吉パーキングを同社に簿価の3分の1以下の金額で売却しました。

住吉パーキングは、当時すでに「今様・草加宿」事業が動き出しており、旧町市街地の再開発のために有益な種地となり得るのではとの、小野産業への払い下げに消極的な見解が市議会でも示されていましたが、その必要を否定して、小野産業への売却は木下市長の強い要請で実行されました。

※当時、瀬戸健一郎が行った「自由市民クラブ代表討論」(2004年12月)はこちら。

※この討論でも述べていますが、公共用地の取得には時代によって様々な事情が反映されることは事実です。バブル絶頂期に必ず「土地価格は上昇する」という価値観のもとで約18億円かけて買収した住吉パーキングも、最終的に公共の用に供していれば、その簿価と実勢価格の差は問題にはなりません。
 しかしこれを民間に転売するとなると、不利益は市民のものとなります。買収当時の決裁者をかばうつもりはありませんが、住吉パーキングは報道で処分するのが当然であると揶揄(やゆ)されているような「価値のない塩漬けの公共用地」とは明らかに異なる土地でした。本来、公共目的で活用されるべき公共用地だったのです。
 あの時、議案に反対しきれなかった私自身の責任は重大でした。市民のみなさまに心からお詫びします。申し訳ありませんでした。


■木下市長への信頼崩壊のあとさき。~議会人としての重責。

当時はまだ、「公共工事における暴力団の恐喝事件」が発覚しておらず、われわれ市議会と木下市長との信頼関係は盤石で、基本的に木下市長の意向は最大限に尊重されていました。木下市長の無計画で一部の人々に利する木下市長の体質を見抜けなかった私たち議員の責任は重大であったと思います。

■無力さのなかで・・・。

その後、木下市長への不信任決議が議員30人中、20人が賛同したにも関わらず、これが不信任決議の可決に必要な4分の3以上(23票以上)に3票及ばす否決され、その後、市議会改選で不信任決議案に賛成した多くの議員が再選されたものの、改めて不信任決議を提案するに値する決定的な事情がないという認識が議会全体を支配しているように感じます。

■草加市民はなぜ怒らないのか?~不信任"否決"を重く受け止める木下市長。

暴力団組長と携帯電話でやりとりする「親しい関係」が、恐喝事件を起こした暴力団組長への有罪判決文の中で裁判官から指摘されているにも関わらず、木下市長はこの組長に対して「ベンツを傷つけたことに対する損害賠償金の概算払い(前払い)」と称して、104万円を支出していたことを一切、議会に報告せず、この組長を「一般市民」であると虚偽の説明をして、これを議会に追認させていた事実は消えません。

ハリオテックに430坪もの赤道&青道を1坪当たり約23万円で払い下げていたことを議会に説明せず、これを含むハリオテック社有地が公有地拡大法の手続きで長谷工コーポレーションに売却されることが明るみに出ると、これが1坪当たり100万円であると、これを草加市が買収できない理由であると議会に説明する。

みなさんはどう思われますか?

■今また、新たな土地買収計画。~コンフォール草加計画保留地

そして、今また、木下市長は公有地の必要性を否定しながら小野産業に売却した旧・住吉パーキングの南側に位置する「コンフォール草加」(草加団地)の計画保留地、約2,200坪を約17億円で買収しようとしています。地域ニーズに応える施設は高砂小学校の複合化建設事業の中に既に位置づけられているのに・・・。

みなさんはどう思われますか?

■透明性が高く公有地拡大法の趣旨にかなったコンフォール草加なれど・・・

私は基本的にコンフォール草加の計画保留地の買収だけが、草加団地建て替え事業が進む中で、草加市として公に予測可能な公有地だったわけですし、買収の相手方もUR都市機構(独立行政法人都市再生機構/旧・住宅都市整備公団)ですから、透明性の高い、本来の公有地拡大にふさわしい用地だと考えています。

しかし、その取得にも理由が必要です。かなり以前から分かっていた当用地の買収の可能性に向けた明確なビジョンづくりが行われていなかったことが残念です。

この用地は、広さがハリオテック跡地の半分以下ですし、残念ながら、ハリオテック跡地が駅通りに面しているのに対して、この土地は駅通りにも面していないので、庁舎や文化会館の建設用地の候補にはなりえません。

■悔やまれる「赤道」&「青道」の木下市長決裁。

ハリオテック跡地が20億円~30億円で取得できた可能性を考えると、ここにご報告した、いまだに使途が不明確なまま放置されている土地やこれから取得しようとしている土地と引き換えにしてでも、ハリオテック跡地が取得できなかったことが私は悔やまれます。

これだけの土地売買を就任たった6年間の間に実行したことは歴代市長の実績にも前例がありません。しかし、これらが「誰に利する」ものなのかを冷静に検証しなければならないと思います。

少なくともハリオテックへの「赤道」&「青道」の払い下げによって、自社所有物件を高く売却できたハリオテックと自社大規模マンション建設工事請負を担保することに成功した長谷工コーポレーションには巨大な利益が生じたことになり、草加市民は最高の公共施設建設候補地を失ったことには間違いはありません。

※私に今寄せられている情報によると、長谷工コーポレーションは自社単独で大規模マンション開発を実行し、販売するリスクを分散させる目的から、分譲マンションを計画・販売する業者を立て、マンション建設工事のみを自社事業とすることを模索しているようです。
 しかし、1坪当たり100万円という単価は高すぎて、折り合いがつかないのが現実。果たして本当にこの土地はそもそも50億円で取り引きされたのでしょうか?耐熱ガラス工場の跡地であることから、土壌改良事業も含まれているはずですが、情報はあまりに限られています。


■ゴールデン・ウィークに思うこと・・・。

長いゴールデン・ウィークに入ろうとしています。私も久しぶりに、このブログ記事を書く時間とエネルギーを得ました。これを機に、私自身もまた、さまざまなことを深く思考してみようと思います。

どうか、みなさんも一緒に、考えてみていただけないでしょうか?

「だれもが幸せなまち」に、「草加を変える。」ために・・・。

追伸 草加市が公有地拡大法の手続きによる取得を見送った「ハリオテック跡地」は一旦、ハリオテックから長谷工コーポレーションに売却されたものの今日までマンション建設の届け出はなく、今年2月末に再び、東レに転売するとのことで、公有地拡大法の手続きがとられました。
 しかし、今回木下市長はその事実を「知らなかった」(?)ので議会に報告せず、このことを謝罪することもなく、当時の担当部長を報告義務を怠ったと叱責したに止まっています。
 これだけ問題になった土地が「転売」されようとしているニュースは私は重大に受け止めます。しかし木下市長がこれを無視したのではなく、本当に知らなかったのだとしたら、みなさんは何が問題だと思いますか?
 結果的にこの2月末の公有地拡大法の手続きは、木下市長からの特別な指示のないまま、草加市が買取の意向を示す期限が過ぎて、見送られました。
 私は最低でも、この状況を草加市はしっかりと調査し、マンション建設が滞っているのならば、あらためて草加市が取得することを検討するべきであったと思います。その後、今でもこの土地の転売先を模索しているとの情報が一部、私にも寄せられていますが、さらに情報収集したいと考えております。

みなさまからの情報提供もあわせてお願いいたします。


瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor
草加市監査委員
Soka City Auditor

I would like to express a special thank to "Google Earth" for making this kind of "City Report" possible. (Ken Seto)

グーグル・アース



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3 コメント

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変ですね (晴れ男)
2008-05-08 11:59:36
草加市民って何か変ですね。
これだけ目の前でおかしなことが行われているのに、何も抵抗しないなんて・・・。

それとも何も知らないのでしょうか?
瀬戸さんのブログを見れば分かると思うのですが。

このブログをなるべくたくさんの人に見てもらうのが良いと思うのですが、どうしましょうか?
返信する
さあ、みんなで考えよう! (瀬戸健一郎)
2008-05-08 23:20:07
晴れ男さん、はじめまして。コメント、ありがとうございます。

私は今日も、市役所の総合政策部の職員のみなさんに申し上げたのですが、これからのハリオテック跡地へのマンション建設の動向を見定めながら、必要ならば、冨士製革工業跡地とコンフォール草加計画保留地と引き換えにしてでも、ハリオテック跡地を取得することを検討しておいた方がいいのではないかと思います。

ハリオテック跡地は近々、建物の取り壊しと土壌改良工事に着手するとのことですが、最終的にここにマンションを建てて、完売しきるだけの事業者が見つかっていないとも聞きます。

土壌改良に10億円をかけ、草加市から払い下げを受けた赤道・青道相当面積を無償で草加市に戻し、開発に際しては道路拡幅工事も無償でしなければならず、これほど因縁のついてしまった土地に、新しいマンション開発事業を実行するディベロッパーが見つからないのも理解はできますが、何よりも、坪当たり100万円の土地取得価格が高すぎたのではないでしょうか?

木下市長が議会への報告の必要性さえ感じない程の甘い認識で赤道・青道を払い下げたことが、払い下げを受けたハリオテックにとっても、マンション開発を計画した長谷工コーポレーションにとっても、その後の事業展開に大きな誤算を生む原因だったのかもしれない・・・。

まさか、赤道・青道の市長決裁が、何ヶ月も経ってから議会の知るところとなり、問題視され、結果的に払い下げを受けた430坪を無償で返還しなければならなくなるなどと、ハリオテックも長谷工も思いもよらなかったことに違いないと私にも思えてくるからです。

本当に、「市長決裁というのは、重大なことだ!」ということです。市長は誰にでも務まる職責ではないということです。

三方一両損となるようなウマい落としどころがあれば、これを草加市の将来のために決断することもあり得るのではないか。

私も今、いろいろなことを考えています。みなさまからの情報提供や知恵と力を、私に貸してください。

市民代表である市長の権力に対抗し得る、もうひとつの市民代表機関である市議会の議員として、きちんと成すべきことが成していけるように、微力ですが頑張ります。

今後とも、よろしくお願いします。
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ハリオテックの末路 (元ハリオテック社員)
2008-06-15 06:57:56
私はハリオテックの元正社員ですが、ハリオテックの市民からの地域社会的な信用が、この件によって相当汚されたのではないか、よって、ハリオテックという会社の存続も危ないのでは、と懸念しています。
私の元同僚の中にも、まだハリオテックを退職せずに頑張っている仲間もいるので、非常に心配です。

また、ハリオテックがこの土地の買収・転売をあらかじめ計画し、その目的で大規模なリストラを敢行した、という会社に対する疑惑が事実だとしたら、私も多くの仲間も、そのリストラ中に希望退職した元従業員なので、何ともいえない憤りを感じます。

ハリオテックがどんな末路を辿っていくのか、OBとしても心配しています
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