読売新聞の報道を考える～同日の毎日新聞

複数の読者の皆さまから「草加地域で圧倒的多数の購読者を持つ読売新聞の記事は多くの草加市民が既にみているのだから、むしろ他紙の記事を全文掲載するべき。」とのご指摘をいただきましたので、毎日新聞の記事をご紹介します。

■毎日新聞2006．5．13朝刊（埼玉版）

草加市役所内の恐喝：百条委を設置　
７月中旬までに委員長報告－－市議会

　草加市発注の公共工事に絡み、暴力団幹部が請負会社の社長から現金を脅し取った恐喝事件を受け、同市議会は１２日、臨時議会を開き、公共工事にかかる恐喝事件等調査特別委員会（百条委）を設置した。市職員が暴力団幹部との仲介者に連絡したり、木下博信市長が暴力団幹部と面識があることが判明しており、市議会は今後、調査特別委を通じて恐喝事件と市の関係について真相を究明する。

　木下市長は５年前の市長選の時から暴力団幹部と面識があり、市長選を巡るやりとりの中で携帯電話の番号を知られたという。また１日の市説明会では、暴力団幹部が０２年２月～今年３月までに、公共工事に関する苦情など１３件を市に寄せていたことも明らかになっている。

　調査特別委は９人で構成し、委員長に中山康議員が就任した。調査項目は（１）暴力団幹部から受けた苦情など１３件の具体的内容（２）市が暴力団幹部に支払った自動車損害賠償費（１０４万余円）の保険会社の査定（３）木下市長と暴力団幹部との携帯電話による連絡内容－－など。１０回の開催を予定しており、７月中旬の臨時議会までに委員長報告をまとめたいとしている。【飯嶋英好】

毎日新聞　2006年5月13日


※まず第一に、毎日新聞の記事は「記名記事」であり、記者に責任感がある。

※暴力団員の逮捕で、なぜ市議会が100条委員会を設置する必要があったかを明確に取材して報道している。（市長と容疑者の関係という重大な疑義があること）

※草加市がこれまでに処理した13件の同様な苦情事件があること等、100条委員会が明らかにしていこうとするその他の課題についても言及している。

※具体的な調査項目3点もきちんと取材をした上で、調査期限を7月中旬とし、合計10回の委員会開催の予定があることを報じている。

※以上の点はすべて、「読売新聞」の同日の報道からは欠落している。

※一方、毎日新聞の報道は、臨時議会中に取りやめになった「市長報告に対する質疑」について言及していない。

■読売新聞さいたま支局の報道を考える

木下市長自らが5月1日の全議員説明会で言及した、自らの暴力団Ｆ氏との関係について、読売新聞でも言及されていましたが、他紙がこの事実を大見出しなどで重視していたにも関わらず、読売新聞はそのような取り扱いはしませんでした。

過去にも逮捕された前助役の追究をしていた議員が市役所でするめを売っていたことを、今回と同じ記者が読売新聞紙面上に告発。確かに、他紙にも同様の報道はありましたが、この時は、今回の事件の取り扱いとはまったく異なり、読売新聞だけが全国版の記事としてこれを特段に大きく取り扱った経緯があります。

逆に、さらにさかのぼるとこの記者は、草加市議会が全国で初めて、議会の条例修正権による自治基本条例「草加市みんなでまちづくり自治基本条例」を制定した際も、読売新聞以外の全紙が行政法の専門家を招いて行った市議会主催の「公開セミナー」や公聴会を画期的な試みとして報道したのに対し、「市議会のエゴとパフォーマンス」だと会見の席で断じた上に、記事にすらせず黙殺した経緯もあります。

なぜ、読売新聞だけが、あたかも市議会と敵対するかのごとき報道をここ何年間かし続けているのか、私もその点だけが不信感を拭えずにきました。

確かに、今回、皆さんからご指摘いただくまで、多くの皆さんは読売新聞一紙からの情報で暮らしておられるわけですから、このようなことがこれまでも起きていたことさえ、知るすべもなかったということに私も気づきませんでした。

今後は、このブログを通じて、少なくとも私の私的な日記ではありますが、極力、複数の新聞報道をお伝えしていけるように努力していきます。

今後とも、ご指導ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor
自由市民クラブ議員団団長
President, Liberal Citizens' Club