ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

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木下博信市長の証人喚問~26日(月)の100条委員会

2006-06-25 01:40:24 | 市議会議員として
草加市の公共工事に関わる恐喝容疑で暴力団組長である被告人が逮捕、起訴された事件で草加市役所が家宅捜索を受け、多数の市職員が埼玉県警の事情聴取を受けなければならなかった原因究明に取り組んできた地方自治法第100条の調査権を付与した「公共工事に関わる恐喝事件等調査特別委員会」(100条委員会)が6月26日(月)午後1時から木下博信市長を証人として喚問することになりました。

■市役所職員の共謀・共犯の事実は認められず

当初、暴力団組長である被告人の恐喝事件に、警察は草加市の職員幹部が関与しているという疑いをもっていたようですが、彼らが被告人からの苦情事件については「穏便にすませよう」とする心理から対応していた事実が明らかとなり、恐喝事件への共謀・共犯などの積極的な関与はなかったことが分かりました。しかし、その心理が作用する背景には幾つかの原因となる既成事実が存在していたことが100条委員会の調査で分かってきました。

■木下博信市長が暴力団組長である被告人と5年前から面識~個人の携帯電話に連絡

今年5月1日の全議員説明会において、木下博信市長は被告人と自らの5年前の選挙で面識を持ち、木下市長の個人的な携帯電話に被告人から連絡が入ることがあったと説明しました。当初から被告人は特攻服を身につけ、右翼団体の名刺を差し出していたことが分かっています。また、100条委員会で証人尋問された草加市の総務部長は自分の前から被告人が木下市長に携帯電話で連絡を入れ、「木下」と呼び捨てにしていたと証言しています。

■木下博信市長就任直後から被告人による安全管理上の指摘が始まる。

木下博信市長が市長選挙に初当選し、市長に就任した翌年の平成14年以降、草加市に対する被告人からの苦情・通報事件が始まり、全13件であったことが既に明らかにされています。また、同様の草加市発注の公共工事現場における請負業者への安全管理上の苦情は100~200件あったことを被告人自身が自供しています。しかしこれらの事件の内、草加市から警察に持ち込まれた事件は一つもありませんでした。

■被告人の苦情事件に弁護士をたてて対応したS社

工事現場の安全管理上の問題点を被告人に指摘されたZ社はその後、安全管理講習大会を開き、その席に被告人と草加市建設部職員が同席。被告人は公共工事請負業者に対する影響力を増していきました。そして、被告人から草加北通線の街路築造工事を行っていたS社に対し、石を跳ね上げて車両に傷がついた、安全管理が徹底されるまで工事を差し止めるようにとの苦情が寄せられ、S社は「因果関係がはっきりしない要求」であると、警察に通報の上、弁護士を立てて被告人に対応しました。

■木下博信市長の公印付き公文書がS社に発行される

草加北通線におけるS社と被告人との事件は平成14年の出来事でしたが、平成16年になって、被告人が「2年経っても解決していない。」と5月18日にS社を訪問。その翌日5月19日、被告人は市長公室で木下市長らと面談。S社を不誠実な業者であると告発。同年6月4日付けで木下市長は「(被告人氏名)氏の車に対し損害を与えたとされる事案に対し、」「今日まで適切で誠実な対応が図られてきたとは判断し難い状況にあります。」とする木下博信市長自身の公文書によって、S社を指導し、6月21日を期限として、顛末書の提出を指示しました。

■顛末書の提出期限前6月15日の指名委員会でS社の指名を見送る

工事価格五千万円を超える公共工事の指名は市長の決済事項ですが、S社は事件の顛末書の提出期限6月21日よりも前の6月15日に開催された指名委員会で1億円を超える3本の工事指名の内、一本に指名されませんでした。指名委員会が指名を外す理由として「不誠実な業者」という判断がありえますが、当時、就任したばかりであった指名委員長がどんな事件がS社にあったかを明確に認識しないまま、S社を指名しないとする契約課からの起案がそのまま決定され、木下市長が決済しています。

■6月21日S社顛末書提出~「深い悲しみと悔しさをおぼえた」と報告。

木下博信市長から「(被告人氏名)氏の車に対し損害を与えたとされる事案」に対し、被告人からの通報だけをもって「適切で誠実な対応が図られてきたとは判断し難い」と、市長名で公文書が出され、顛末書を待たずに工事指名から外されたS社のN社長は、その後、被告人に対して弁護士を通じて15万円の修理代金を支払って被告人と示談しています。それらの報告は提出期限の6月21日に顛末書として草加市に提出されています。この中で、S社は「何も因果関係が認められないまま先方の要求を呑むということは弊社として誠に不本意」であるとしながら、「これ以上貴市に対し御迷惑をかけることは出来ないものと判断し」「車の修理代とされる十数万円を弁護士をとおして解決金として提示し解決しようとおもいます」と記しています。

■被告人の要求には逆らえない~工事業者と市職員を追い詰めたもの

S社のこの事件以降、被告人からの安全管理上の問題点などを指摘された工事業者も苦情事件を持ち込まれた市職員も、被告人からの指摘事項には穏便に対応することが得策であるとの心理が働くようになったようです。

■木下博信市長の姿勢~どのような方でも一般市民として対応するように

木下博信市長の被告人に対するこれまでの対応の姿勢は100条委員会で総務部長が証言しているように、「どのような方でも一般市民として対応するように」というものでした。このことがどのような考え方にもとづいているのか、6月26日(月)の午後1時から行われる木下博信市長への証人尋問で明らかにされるべきポイントであろうと私は思います。

■被告人に「概算払い」(前払い)された104万円の真相も明らかに

昨年12月議会に提案された被告人に104万円の損害賠償金を支払うことに議会の同意を求める議案について、木下博信市長は議会に議案を提案するよりも1ヶ月以上も早い10月13日の時点で被告人に対して104万円の賠償金全額を「概算払い」していたことも100条委員会で明らかになっています。概算払いという市長決済が如何なる理由で行われ、その事実を議案の提案の際に議会に報告しなかったことや、被告人を「一般市民」であると説明していたことが、いかなる事情によるものなのかが木下博信市長に対する証人尋問のもうひとつのポイントだと思います。

■6月26日(月)午後1時からの100条委員会の傍聴をお願いします。

これまで皆さまに逐次ご報告してきた「公共工事に関わる恐喝事件等調査特別委員会」(中山康委員長)での調査概要でしたが、ほぼ問題の中心部分が見えてきました。最初は「暴力団の恐喝容疑での逮捕になぜ市役所が家宅捜索を受けたのか」という草加市の事務事業に対する疑義から設置した100条委員会でしたが、草加市役所内部に直接だれかが犯罪に関わったとする痕跡は確認できませんでした。

しかし、草加市政の最高責任者である木下博信市長と地元の暴力団組長である被告人との5年間にもおよぶ関係が、正常な草加市の意思決定プロセスを歪めてきたのではないかという、もっと大きくて根本的な草加市政と市民に関わる問題が見えてきてしまいました。

木下博信市長が26日の証人喚問で、市政の最高権力者でもある市長自身に対する不信感を拭い去ることができるのか、皆さまにも是非、注目していていただきたいと思います。

皆さまの100条委員会傍聴をよろしくお願いいたします。

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor
自由市民クラブ議員団団長
President, Liberal Citizens' Club

※事件を起こし、逮捕され、有罪が確定した、この事件の被告人は2年間の服役を終えました。彼と彼の妻子が幸せに残りの人生を生きていけるように、実名を伏せることにしました。彼がまじめに社会復帰できますように祈ります。(2009.08.05 16:00)


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1 コメント

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常識 (アイラブそうか)
2006-06-28 19:16:47
今までもれ伝わる情報では、市長公室での、話だけで、市長は、辞職する事が、当然、常識だと1市民として思う。それを、かばうような、議員がいるとすれば、自民党員のわたしとしても、今後信用できない。それこそ、23万都市の、恥さらしだ、まだ、市長を、かばう、保守系議員がいると聞くが、タブン、草加の、古い体質があるのかも、、そこから改革しなくては、か、瀬戸議員にはおおいにきたいしています。くれぐれも、市長続投などないように。市民は注目しています。
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