ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

政治生活30年の経験と学識を活かし、ポリティカルセオリストの視点から政治の今を語ります。気軽にコメントして下さいね!

Back to 1981: "日本" by Kenichiro Seto(18)

2007-02-10 03:34:47 | Weblog
※添付画像は米国テキサス州ヒューストン独立学校区ベルエア高等学校を卒業したての瀬戸健一郎交換留学生(18才)。

23期生378名が、1980年8月19日に、成田から米国にむけて飛び立っていきました。1年間の米国生活を終えた現在彼らは何を思い考え、どの様に生活しているのでしょうか?さて出発前発表された30名のスカラシップ学生からのレポートが事務所まで送られてきました。その中から13名を選び、ここにスカラシップレポートとして発表させていただきます。
~YFU日本協会「スカラシップ・レポート」(1982年刊行)"Introduction"より

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タイトル: 日 本

提出者: 瀬戸健一郎 (テキサス州ヒューストン←→東京都練馬区)

■日本を知らないアメリカ人

 政治、経済、音楽、ファッション等、アメリカが日本に及ぼす影響は大きく、マスコミを通じて、日本人は、アメリカをかなり多くのジャンルに渡って受け入れています。しかし、アメリカで日本は、アジアの一国としてその輸出品を通じて知られているにすぎず、渡米当初には、彼らの日本に対するたわいない質問に、ショックを受けたものです。最も私自身、アメリカ人も日本人をよく知っているものだと、思いこんでいたので、この事自体があやまりでした。

■日本に対する厳しい目

 日本をそれほど理解しているとも思えないアメリカ人、しかし、自分達にかかる問題に対する目は、たいへんクールなのです。「日本人は、私たちの発明や技術を取り入れておきながら、今度は、それらを使った日本製品で私たちを困らせている。」と言うのです。私はしばらくの間、そんな事を言う、アメリカ人達が、たいへん腹立たしく思いました。しかし、時がたつにつれ、自分の物を見る目が広くなってゆき、精神的にもおちついてくるとそんな彼らの言葉も理解出来る様になりました。それでも、日本が経済を現状に維持出来るのは、この貿易のおかげに他ありません。

■日本とアメリカのちがい

 ところで、この様な反感を買いながらも、GNP(国民総生産)を成長させて来たにもかかわらず、なぜ国民生活が、アメリカ人の生活より苦しいのでしょうか。ちなみに、アメリカにも、最低賃金が保障されていて、アルバイトでも時給3ドル45セント以上(約800円)保障されているのです(連邦法か州法か不詳)。新聞等に発表されるNNP(国民純生産)を見ても、1人当の所得が平均的に見て、はるかに日本人のそれよりも高い事がわかります。もちろん、このことには、税金や保険医療制度のない医療費、その他社会の構造の違いによって生じる支出の差が、アメリカ人の方にやや多くのしかかっているのかもしれません。しかし、まだまだ彼らの生活に日本人以上のゆとりを感じるのです。例えば私の友人には、卒業祝いにスポーツカーを両親からもらった者がありました。自動車の必要性がいくら高いとはいえ、日本の中流の家計からは想像も出来ません。また、物価も、特に食料品が安く思われました。消費税も、最初は不便に感じましたが、今になって見ると、あの様に、1回1回の買い物ごとにいくら自分が税金を払ったかがわかるシステムになっている事は、大へん良い事だと思います。しかし、日本人は、自分が買った品物にいくら税金がふくまれているのかすら知りたいと思っていない様です。

■日本の現実と問題点

 生活水準の問題について、自分なりに考えた事が、2つあります。どちらもよく言われる事なのですが、第1に、日本の経済体制、特に大企業についてです。元々、国民生活の向上をも考えてのGNP増加の政策であったのに、今や、企業が、労働者を減量合理化や、低賃金、長時間労働の下にふみつけ、対外競争力をつけながら、私腹を肥やしているという様に思われてなりません。そして第2に、日本国民自身に大きな原因があるということです。私達日本人は、全体的に見て政治に無関心すぎると思います。

■自由を求める自由

 現状の様に、何か問題がおきてから初めて立ち上がるのではなく、普段から主権者としての自覚を持って社会に働きかけるべきではないでしょうか。民主主義国家にありながら政治がはるかに遠い存在だと感じている人が少なくないと思います。しかし、それを当然の事とせず、国民1人1人が、主権者としての自覚を持てば、いつかきっと、政治という物は私達の身近に来る物と確信しています。私達が今持つ自由を、それとして実感せずにいても、失えばもうとり返しがききません。この自由は、自由を求める自由でもあるからです。これらの事は、アメリカでの生活の中で、彼らが、民主主義で自由なアメリカを、いつでも誇らし気に話すのを聞くたびに、痛感したことです。

■地球的視野・地域的行動

 国内では労働者が苦しみ、国外からは反感を買う、日本は内外に大きな問題をかかえています。しかも、エネルギー問題の深刻化する中で、持たざる国として、どうしても外国との共存が必要な国です。そんな日本が今後やらねばならないのは、国民生活の向上と、国際関係の改善であり、そのためにも、私達日本人は、最も国際人であるべき国民であると思います。私は、YFU留学を通して得た経験を生かし、将来は、政治に関わる仕事がしたいと思っております。

(都立荻窪高校在学中)

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いきなりのアップロードでした。今からちょうど25年前の1982年新春に発行されたYFU日本協会(現・財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団)の「23期(1980-1981)生スカラシップ・レポート」巻頭~これからの日本を担う私達として掲載された高校3年生の瀬戸健一郎少年のレポートです。

てにおはや仮名遣いなどの文体も内容も、今とあまり変わっていないなと感じます。私は成長していないのかな?

今日、小学校時代の同級生が30数年ぶりにミクシィでメッセージをくれて、古いアルバムを整理し始めたら、このレポート集が出てきました。

初心忘るべからず。

PPMといい、予算議会や新年度生募集期で多用な毎日なのですが、なぜか後ろを振り返るひと時が持てています。本を忘れず、末を乱さず。しっかりと使命を果たしていけるように、務めていきます。


瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor
イングリッシュスクエア草加校統括責任者
Director, English Square Soka School
財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団評議員
Member of the Council, YFU Japan Foundation


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