ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

政治生活30年の経験と学識を活かし、ポリティカルセオリストの視点から政治の今を語ります。気軽にコメントして下さいね!

じんざい~人材・人財・人罪

2006-03-25 04:06:12 | 市議会議員として
草加市議会3月定例議会が閉会した昨日、草加市役所の新年度4月1日付け人事異動が公表されました。行政事務と法制執務の専門家である草加市の2人のベテラン職員・OB(収入役)を助役に迎えて、新年度にどのような布陣で市政の信頼回復にあたるのか注目の人事異動でした。

■何をする組織・職名なのか・・・

今回の人事異動についての第一印象は、職員の所属・職名から「何を職務としているのか」が分かりづらく、そのような職名の職員がそれぞれ複数配置されているため、その組織そのものが「何を職務としているのか」がかえって分かりづらくなってしまっているという点だと思います。

■組織と人事は市長の専権事項である

私は「組織」と「人事」は市長の専権事項だと考えていますし、今後、新しい職名のもとで職務にあたる職員の生産性に大いに期待感を持っていくべき立場でもあります。したがって、具体的なことがらに対して言及することは誤解を招くおそれもあるので、差し控えたいと考えています。

■市役所職員って?

しかし、草加市役所に奉職している千数百名の地方公務員は、地方公務員法によって身分が保障されており、大変な競争を勝ち抜いてその立場を手にした有能な人材です。そして、彼ら一人ひとりが市民全体の奉仕者であることの宣誓下にある人々です。だからこそ、課長・副参事級で年俸1000万円級の給与が支払われています。

■職員の能力を引き出し活かすのは市長の手腕!

私がこのブログで問題視しているのは、果たして任命権者である木下市長が、そのような人材を有意義に使い切っているのかという問題です。職員の間には、ラインに乗る、とか、ラインから外れるという表現を人事異動に際して聞くことがあります。ラインというのは、草加市役所の組織上の役職。課長とか、係長はまさに、明確に自分が責任者である組織名が市役所の機構図に明記されています。

■市役所の評価は市長ではなく市民がおこなうものだ!

ラインから外れているからといって、その職員の仕事の重要性が低いということにはなりませんし、木下市長が好んで使う、「市長付き」とか「特命」という職名には、その職責の重要性を市長自身が感じているということは分かりやすいですが、これを客観的冷静に判断して、現実的な生産性がどうであるかという実態の評価はむしろ、職員間であるとか、議員、市民、が客観的に判断するものであることを、木下市長自身がしっかりと認識するべきです。

■一人ひとりの人材が本当に活かされているか?

「人は石垣、人は城」武田信玄の言葉を引用するまでもなく、私はいま、草加市役所で起こっていることに、すべての市民の皆さんの目を注いで欲しいと切望しています。「ラインから外れた職員や聞きなれない職名の職員」であるか「ラインや市長付け、特命という職名の職員」であるかは職員の優劣をまったく物語ってはいないのです。しかし、問われるべきなのは、一人ひとりの人材が本当に活かされているかという問題です。

■3つの「じんざい」~人材・人財・人罪

私はある企業の新人研修をここ数年間、担当させていただいております。内容は自己啓発的な中身で、高卒採用の新人社員に対して、彼らが「どんな、じんざい」であり得るかということを考えさせ、自ら自分のとるべき立場をとれる社員として職場に戻していくことが私の仕事です。

その「じんざい」とは、表題にも記載した、「人材」、「人財」、「人罪」の3つです。

「人材」とは、通常、この字を当てています。新人研修では、「言われたことをきちんとやり遂げる人」と説明します。これを基準にさらに、「人財」とは、「1言って、10できるような人」=「仕事をやる事と捕らえるのではなく、自分自身が会社に提供し得る価値だと考えて常に行動するような人」=「会社にとって財産である人」。一方、「人罪」とは、「自分の生産性に関心がなく、自己正当化のために同僚の足を引っ張るような人」=「会社や組織に対して結果的に罪を犯すような人」。と説明しています。

もちろん、新人研修では、「諸君は当社にとっては人財だという立場を経営陣はとっている。その期待に応えていくことを、自分自身の決意として決めて欲しい。」と1年間の研修をしめくくります。

But...

■「人材」を「人財」にするのは任命権者の資質だ!

このような「じんざい」の3つの違いを決定的なものにするのは、任命権者の人事権であるということを忘れてはなりません。「適材適所」とは、言葉以上の重みのあるリーダーの資質。木下市長の評価も、この一点において、どうであるかという視点から、行われることが公正なことであり、市民福祉の最大化に直接つながっていく唯一の方法だと私は感じています。とはいえ、千数百人の職員の人事をすべて市長がすることは不可能です。それでも、市長は全体の人事が本当に一人ひとりが活きる、活かされるものとなっているかに目配りすればいいのです。

■職員が本当に活かされているかを考えよう!

「職員が十二分にその能力を発揮しているか?」も大事な視点です。しかし、それ以上に、「職員が十二分に活かされているか?」がもっと大事だと私はいま、感じています。

■最悪のシナリオにならぬよう~「はだかの王様」の教訓に学ぶ。

熱心に職務に励めば励むほど、精神的ストレスに襲われて、休職する職員が出てくる。頭ごなしに一方的なことを市長から言われて抗弁もできない。そればかりか、必要な進言すら言葉を呑んでしまいたくなるような職場環境が蔓延し、うわべだけの確認行為だけで「ことなかれ主義」に陥っていることすら自分たちでは気づけず、周囲からは「側近政治」だと揶揄される。

そのような状況に万が一にも草加市役所が陥ることがあっては一大事です。しかし今回の草加市役所の人事異動を見て、今回の人事への市長の関わり方を客観的に見ていて、私はアンデルセン童話「はだかの王様」の教訓を思い浮かべてしまいました。取り越し苦労ならば、何の問題もありません。しかし何かこの教訓に学ぶべきことがあるのなら、そうしていくべきだと、私は感じています。

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor

ブログテーマ:人事異動、じんざい、人材、人財、人罪、自己啓発、組織、草加市役所、機構

■追 記:

おでんマンさん、パペポさん、またこの記事を読んでくださった皆さん、読んで下さって、ありがとうございます。自分で書いていても、とても難しいテーマなので、本当は公開するの止めようかとも悩んだのですが、自分がその時々に感じたことを綴っていくことが「ブログ」(日記)のそもそもですから、思い切って、アップしちゃいました。重苦しくって、ごめんなさい。


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2 コメント

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Unknown (パペポ)
2006-03-25 13:01:26
いつもちゃんと見てますよ~



でも、むずかしくて、何とも言えないかも・・・

市役所の仕事自体が分かりづらいですよ。
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Unknown (おでんマン)
2006-03-25 12:22:18
あれだけ宣伝されていても、何の書き込みもないんですね…
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