牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

2月16日(土) 「会社にお金が残らない本当の理由」 岡本吏郎著 フォレスト出版

2013-02-16 08:04:48 | 日記

 副題は、ビジネス環境を支配する「7つのシステム」、お金を残すための「4つの数字」。著者は経営コンサルタント・税理士である。本書は、”お金が残る”という価値観と会計を密接に関係付けた本である。経営とともに財務と会計も少しずつ学んでいきたいと考えている。

 本からの引用。「ビジネスというゲームの基本的なルールは何でしょうか? それは儲けることです。、、、、同じ1000万円を稼ぐとしても、1000万円の建物で1000万円を稼ぐのと500万円の建物で1000万円を稼ぐのでは全く意味が違います。ただ、儲けるのでは意味がないのです。投資する資産をなるべく少なくして、利益はギリギリまで多く取る。、、、経営とは利回りを最大にすること。、、、、ビジネスというゲームにもコツはたくさんあります。その約束事は仕組み(システム)が分かれば自ずと分かってきます。ですから、ゲームに勝つためには、このシステムを知ることが絶対に必要です。」

 「ビジネスというゲームの基本ルール=とにかく儲ける。ゲームに参加するためには=正しい利回り感覚を身に付けなくてはならない。そしてゲームに勝つには=ビジネス環境を支配するシステムについて自分の頭で考える。」

 「では、これらのシステムを理解した私たちの到達点はどこでしょう? 、、、利回りを上げながら最後に目指すのはものは何でしょうか? それはお金をためることです。また、当たり前のことを言ってしまいました。でも、例のごとく、これが分かっていない人が多いのです。すごく大事なのでもう一度言います。経営の最終到達点は1円でも多くお金を残すことです。当然、良い人材を作ることや社会に貢献することも大事ですが、お金がなければ何もできません。まずは、1円でも多くお金を残す。これがすべてだと断言します。そして、この会社がためたお金を「内部留保」と言います。「留保」という字を使うぐらいですから、実はためるのが目的ではありません。次に使うためにためておくのが目的です。そう、「再投資」のためのお金です。、、、つまり、経営とは「内部留保」「再投資」までで一回りです。、、、私たちは経営を1年単位で考えてしまいますが、それは間違いです。「再投資」までが一回りですから、最低でも3年という期間がかかるのが経営というゲームです。」

 「中小企業は節税のために、目いっぱい役員報酬を取って会社の利益を限りなくゼロにする。そういう経営が基本的な形です。ですから、会社の利益がゼロならば、役員報酬から「内部留保」をしなくてはいけません。、、、サラリーマンは幸せです。この内部留保を勤め先の会社がしてくれます。、、、、したがって、サラリーマンの給料は年収1000万円なら、そのまま額面通り取って良いことになります。でも、中小企業の経営者や自営業者は違います。会社からもらったお金や自分で稼いだお金から内部留保をしなくてはならないのです。、、、だいたい1000万円ぐらいの利益だとすると、300万円ぐらいの内部留保は欲しいところです。役員報酬を1000万円もらっていても、社会保険を含む税金が約200万円、そして内部留保が300万円とすると残りは500万円。そして、残った500万円から今度は家庭の貯金をしなくてはいけません。家庭の貯金は経営の内部留保とは別にしなくてはならないのです。そうすると使えるお金っていくらもありません。これが中小企業経営の本当の姿です。役員報酬1000万円はサラリーマンの年収500万円程度なのです。」

 「経営にも過去、現在、未来があります。過去を代表するものが、借り入れの返済。現在を代表するものが、売上と利益。未来を代表するものが、内部留保と再投資。この3つをバランスよく管理することが経営のコツです。、、、資金繰りが悪い中小企業がなぜ資金繰りが悪くなったかの一番の理由は簡単です。すべき内部留保をしなかったから。」

 著者は以上のように述べ、ビジネス環境を支配する代表的なものとして7つを上げています。
 システム1.収入     お客の数を増やす。お客一人について平均の販売数量を増やす。お客が再来して購入する回数を増やす。
 システム2.支出
 システム3.借り入れ(リスクのある借り入れ、リスクのない借り入れ)
 システム4.税制(”かっぱらい”の帝王。そして、ゾンビを生む日本の税制)  結論:税金は取りやすいところからとる! 本当の「かっぱらい」は社会保険。
 システム5.決算書     決算書の利益は「利益」ではない。これが結論です。あれは「税金を取るための数字」。税金の世界では「所得」と言います。
 システム6.価格
 システム7.リスク


 著者はシステムはシステムを知らない人には冷たい、資本主義とは「かっぱらい」のシステムであるとして、自分で以上の7つについて独自の視点で見て、自分で考えなければどんどん「かっぱらい」のシステムに持っていかれてしまいます、と読者に注意を促している。本書は具体的で分かりやすい。ドラッカーの本は書名通り、経営の基本と原則が書かれているが、この本は経営の具体的なお金の流れが書かれているのでためになる。