牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

3月19日(火) 「GMとともに②」 アルフレッド・スローン著

2013-03-19 09:47:39 | 日記

 「GMとともに」を読み終わった。本書は経営書なのだが、自伝の形をとっていてドラッカーのように体系だっていないので、私には読みにくかった。自動車関係の会社を経営している人にはとても興味深いと思うのだが。

 著者は「経営とか何か」という章でこのように書いている。「これまでの経験から私は、事業に責任を負う人々にとっては二つの要素が重要だと考えている。意欲と機会だ。意欲は主に報奨によって引き出され、機会は主に分権化を通してもたらされる。本書を通して繰り返し述べてきたように、権限の分散と集中をうまくバランスさせ、分権化を進めながらも全体の足並みを揃え続けるのが、優れた経営の秘訣である。、、、、分権化を進めると、進取の精神、責任感、個人の能力、事実に基づく判断、適応力、すなわち組織が新しい状況に対応する上で欠かせない資源をすべて引き出せる。」

 また最後の章ではこのようにも書いている。「組織が判断を下すことはあり得ない。組織の働きは、既存の尺度に沿って、秩序立った判断が下せるような枠組みを用意することだ。判断を下し、その判断に責任を持つのは、一人ひとりの人材である。」

 権限の集中によってトップリーダーが責任を持って判断し決断することと、トップリーダーの権限を分権化し他のリーダーたちに責任を分与していくことの大切さを改めて学んだ。分権化を通して機会を与えることによって次世代のリーダーが育っていくのだろう。著者が書いているように、権限の集中と分散のバランスをうまくとって、分権化とトップの決断の両方によって全体の足並みを揃え続けていくことが、優れた経営の秘訣なのだと思う。