昨日の毎日新聞ネット記事や今日の朝日新聞ネット記事で報じられているが、厚生労働省「都市部の高齢化対策に関する検討会」が提言を出した。これは、特別養護老人ホームに係るいわゆる“特養待機問題”への対応について産業競争力会議で指摘されたことを契機としている。
医療分野についてはもっと言えることだが、もともと財政依存型の介護分野について、『介護サービス産業』や『介護産業』といった視点で捉えた施策を打っていくことは今後ますます重要になる。産業競争力会議で取り上げれた事実が、日本の政治・行政が介護も含めた社会保障分野を措置領域ではなく産業領域として振興していく端緒になることを願う。
この厚労省検討会で示された個別政策案については、介護保険財政の許容範囲内で適宜実施されていくだろう。その全部をここで論うことはしないが、特に焦点となっている『地方移住型特養』の是非論に関して考えてみたい。先のブログ記事にも書いたように、都道府県を越境するような『区域外特養』についてはここでも慎重論が唱えられている。「都市部の高齢者本人の意思に反して地方の施設入所を強いる形となる恐れがあること」などがその理由だ。しかし、東京都については特殊事情もあって『圏域外移動』に寛容である。
都市部と地方の役割分担という視点では、電力産業がその最たる例だ。大規模発電所の建設は都市部では無理だが、交付金付きで地方の市町村に立地してもらう。そこで発電された電気は、殆どが都市部での需要となる。都市部の需要による収益の一部が発電所立市町村に回る。これは一例だが、介護サービス産業でもこうした都市部と地方の役割分担論を唱えることは、理論的には可能である。
しかし、介護サービス需要側に実際そのような傾向があるのかどうかは不明だ。それに関連する調査結果を見たことはない。上述のような「都市部の高齢者本人の意思に反して地方の施設入所を強いる形となる恐れがあること」といった精神論・人権論よりも、実ニーズがあるかどうかが不明なのが『区域外特養』や『圏域外特養』の是非を語る際の大きな隘路になる。介護保険財政の許容範囲内であって、かつ、介護サービス需要側の実ニーズが相当数あるのであれば、『区域外特養』も『圏域外特養』も促進されるべきだが、それは淡い期待に過ぎないだろう。自分たちの実生活で考えてみれば明らかだ。
やはり、都市部の問題は都市部の問題として都市部で解決するしかないと思う。高齢化が都市問題であることを示す資料は幾つもあるが、代表的なものとして下に資料1~3を掲示しておく。特養であれ、他の施設であれ、介護保険財政からの支出に依存する新規建設は極力抑制していくべきだ。既設特養の有効活用や、特養以外であって既存施設を活用した介護サービス事業形態を拡充していくことが合理的である。“特養待機問題”とする考え方はやめて、『介護サービス待機問題』として考えていくべきだ。特養は特殊な存在ではない。
<資料1>
<資料2>
<資料3>
医療分野についてはもっと言えることだが、もともと財政依存型の介護分野について、『介護サービス産業』や『介護産業』といった視点で捉えた施策を打っていくことは今後ますます重要になる。産業競争力会議で取り上げれた事実が、日本の政治・行政が介護も含めた社会保障分野を措置領域ではなく産業領域として振興していく端緒になることを願う。
この厚労省検討会で示された個別政策案については、介護保険財政の許容範囲内で適宜実施されていくだろう。その全部をここで論うことはしないが、特に焦点となっている『地方移住型特養』の是非論に関して考えてみたい。先のブログ記事にも書いたように、都道府県を越境するような『区域外特養』についてはここでも慎重論が唱えられている。「都市部の高齢者本人の意思に反して地方の施設入所を強いる形となる恐れがあること」などがその理由だ。しかし、東京都については特殊事情もあって『圏域外移動』に寛容である。
都市部と地方の役割分担という視点では、電力産業がその最たる例だ。大規模発電所の建設は都市部では無理だが、交付金付きで地方の市町村に立地してもらう。そこで発電された電気は、殆どが都市部での需要となる。都市部の需要による収益の一部が発電所立市町村に回る。これは一例だが、介護サービス産業でもこうした都市部と地方の役割分担論を唱えることは、理論的には可能である。
しかし、介護サービス需要側に実際そのような傾向があるのかどうかは不明だ。それに関連する調査結果を見たことはない。上述のような「都市部の高齢者本人の意思に反して地方の施設入所を強いる形となる恐れがあること」といった精神論・人権論よりも、実ニーズがあるかどうかが不明なのが『区域外特養』や『圏域外特養』の是非を語る際の大きな隘路になる。介護保険財政の許容範囲内であって、かつ、介護サービス需要側の実ニーズが相当数あるのであれば、『区域外特養』も『圏域外特養』も促進されるべきだが、それは淡い期待に過ぎないだろう。自分たちの実生活で考えてみれば明らかだ。
やはり、都市部の問題は都市部の問題として都市部で解決するしかないと思う。高齢化が都市問題であることを示す資料は幾つもあるが、代表的なものとして下に資料1~3を掲示しておく。特養であれ、他の施設であれ、介護保険財政からの支出に依存する新規建設は極力抑制していくべきだ。既設特養の有効活用や、特養以外であって既存施設を活用した介護サービス事業形態を拡充していくことが合理的である。“特養待機問題”とする考え方はやめて、『介護サービス待機問題』として考えていくべきだ。特養は特殊な存在ではない。
<資料1>
<資料2>
<資料3>
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます