東京都の高齢化問題(5) ~ 推進すべき介護インフラは施設系か在宅系か

2014-01-27 22:42:38 | 日記
先のブログ記事などからも明らかなように、東京都は日本一の『高齢街』である。当然、介護保険サービス需要も相当に高い。先のブログ記事の資料3〔=特別養護老人ホームへの入所申込状況調べ(都道府県別)〕は、それを端的に示す典型例だ。

東京都における介護給付も更に増加していく見通しだ。日本全体の社会保障サービス費用の合理化が必須である中で、東京都も同様に合理化が肝要である。要するに、東京都の介護給付総費用の抑制を図っていくべきとなる。先のブログ記事でも述べたが、介護サービス利用者一人当たりの費用額を参酌しながら、どのような介護保険サービスを慫慂していくかを考えていく必要がある。

そこで掲げたのと同じものが下の資料1〔=サービス種類別にみた受給者1人当たり費用額及び費用額累計〕であるが、ここから言えることは、介護サービスの費用対効果は「訪問介護 > 通所介護 ≫ 介護老人福祉施設 > 介護老人保健施設」ということだ。これは、国の介護保険財政改革に係る一つの視座に据えていくべきことであると同時に、日本で最大の介護保険サービス需要を抱える東京都の高齢者福祉行政に係る基本思想に据えていくべきことだ。

ところで、介護保険サービスが多種多様化してきている中で、最近伸びてきているものに『小規模多機能型居宅介護』というものがある。これは、「通い」を中心として、要介護者の様態や希望に応じて、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせてサービスを提供することで、中重度となっても在宅での生活が継続できるよう支援するもので、2010年度から始まった比較的新しい制度だ。

東京都知事選では、高齢者対策として特養の建設促進を声高に叫ぶ候補者もいるが、介護保険財政の持続性を慮る観点からは、介護サービスの費用対効果が比較的高いものへと財政投入の比重を移していく必要がある。『小規模多機能型居宅介護』は、通所介護や訪問介護よりも費用対効果は低いが、施設サービスよりも費用対効果は高い。

資料2〔=小規模多機能型居宅介護の動向について(事業所数)〕によると、『小規模多機能型居宅介護』の東京都での進捗は全国的にも最低の位置にあるが、これが新設された経緯を踏まえると、施設サービスよりも優先させていくべきだろう。先のブログ記事の最後にも書いたが、東京都の高齢化問題を都知事選で論うのであれば、このぐらい具体性のある話をしてもらいたい。“東京から国を変える!”的なスローガンだけでは都民生活への裨益はない。



<資料1:サービス種類別にみた受給者1人当たり費用額及び費用額累計>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

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