空手道へっぽこ稽古日誌 An ordinary person's karate practice diary

いい歳こいて空手を学ぶおっさんの備忘録。
23年7月2日に二段になりました。
まだ続けるのこれ?

yawara―知られざる日本柔術の世界(BABジャパン)

2008年10月11日 | 【紹介】書籍
yawara―知られざる日本柔術の世界
山田 実 (著)

単行本(ソフトカバー): 343ページ
出版社: BABジャパン (1997/01)
ISBN-10: 4894222434
ISBN-13: 978-4894222434

日本独特の格技といわれる柔術。現在忘れられている複雑多数の古流柔術の世界を丹念に掘り起こしています。
海外に紹介された柔術、名勝負物語、柔道誕生話など、特に明治・昭和期の柔術・柔道の先駆者たちのエピソードが面白いお薦めの作品です。
私が興味深く読んだのは、模索された流派や術系があったくだりでした。
警視流撃剣形と同時期に、警視流柔術形(警視拳法)があったというエピソード。
警視流(けいしりゅう)とは、明治時代に警視庁で制定された形で現在の警視庁では木太刀形のみが伝承されているだけだそうですが、元々は木太刀形(撃剣形)、立居合、柔術形の三つがあったそうです。柔術16本、早捕捕法7種からなるこの柔術がなくなったのは、警視庁で講道館柔道が採用され廃れたのだとか。
また講道館柔道では、創始者の嘉納治五郎氏が、「講道館棒術」なるものを模索していたそうです。柔術と杖術・棒術が併伝されることが多いわけですが現代の柔道になぜないのか?と思っていたら、創始編纂の道半ばだったようですね。

その嘉納治五郎氏のエピソード。
まだ柔術を習っている頃、師匠に技の手順、手足の使いようを事細かに尋ねながら稽古する嘉納氏に対して、ぽんぽんとぶん投げながら「そんなものは数かけていればできるようになる。さあ、おいでなさい。」と諭す師匠…というのが印象的でした。明治の世のにおいですね。