空手道へっぽこ稽古日誌 An ordinary person's karate practice diary

いい歳こいて空手を学ぶおっさんの備忘録。
23年7月2日に二段になりました。
まだ続けるのこれ?

稽古でかわるからだ(16)視力が回復する。

2009年07月04日 | 【実感】かわるからだ
(16)視力が回復する。
空手をはじめて、姿勢がよくなり、背筋がつくと視力が少しだけ上がります。
元に戻るといったほうがいいでしょうか?
背筋の働きのひとつに、首と一緒に眼球を支える筋肉を背面方向へひきつけている関係があって、背筋の力の有無で、眼球の形が球に近いか、それとも楕円球なのかが決まるわけです。
この眼球の形が、近視・遠視の原因です。
また焦点を合わせる筋肉にも関係が深いそうです。

年齢的なことも有るので遠視にはなりつつりますが、裸眼で左右0.4だった視力が0.6まで回復しました。
乱視などといった症状は改善しません。
しかし、焦点が合うまでのスピードが上がりました。

姿勢が悪い=背筋の衰え=視力の喪失と、負の連鎖が続くわけで。

空手に限らずエクササイズをすると、取り戻せるものがあるかもしれませんね。

稽古でかわるからだ(15)肩から背中にかけて

2009年06月04日 | 【実感】かわるからだ
(15)肩から背中にかけての筋肉がかわる。
毎日稽古をつづけていると、腕・肩・背中がもりあがるような筋肉のつき方をします。全く筋肉がなかったところに、肉の層が日々積み重なるようについてきます。
しかし、その後、肉が削げ落ちてきます。特に空手や棒術の形をはじめると、変化が顕著です。首から肩に厚かった筋肉が、まるで背中から肩に向かって伸びてへばりつきながら移動するかのようです。これがそのまま胸の厚み・胴の丸みになる訳ですね。この頃になると腰と腿にも同様の変化が起きてきます。

この形に筋肉がつくと、以前と比較すると、急な動きと同じ姿勢を維持すること双方が可能になります。
そして格段に突き蹴りが早く重くなります。

ナイファンチなど4回も打てば汗だくになっていたものが、いまは8回を超えても平気になりました。
基本の突き蹴り、特に蹴りを放っても、ぐらつくことが少なくなっています。
姿勢を保つのは、足腰も勿論ですが、最も体幹が重要と聞きます。
手足の技をこなすと鍛錬の成果は体幹部にも及ぶようです。

稽古でかわるからだ(14)余談>映画・TVを見て

2009年03月11日 | 【実感】かわるからだ
(14)余談>映画・TVを見ていらいらしなくなった。

このところ続けて、リメイク版「ベスト・キッド」についての情報を書き込んでいますが、実は私、「ベスト・キッド」未見なのです。
わりと最近まで「映画の中の日本の文化=とんでも解釈」というのが、どうにも耐えられなかったのです。
お辞儀や挨拶、芸者や日本庭園、盆栽、提灯、着物の扱いも去ることながら、特に武道の扱いや解釈が酷いと。
日本刀を持ってもくそ握りだわ、肩は上がっているわ、あげくに刃筋を無視して片手で振るうわ。
空手はブルース・リーの真似なのか気合・掛け声はうるせぇわ、柔道・柔術は力任せにブン投げるわ…
ハリウッドの作り手側の人たちに、「東洋・日本的なものさえ入れれば受けるだろう?」的な悪意が存在すると思い込んでいた節があります。
いや、国内のドラマでも「抜き身の刀を手に持って走り回るな!」「合戦中、鎧兜の相手に、お互い刀で切りあうか!」と叫ぶこと幾星霜。

「まぁこれはこれでいいじゃないか」「目くじら立てずに楽しもう」という気持ちになったのは、空手をはじめてからでした。

稽古をはじめて1年くらいすると、不思議なもので、つき物が落ちたように「あぁ、きっとこれはリスペクトしていても映像には入れられなかったのだな」と好意的に受け止められるようになりました。
「あのシーンはこういうことを表現したかったのだろうが、情報が足りなかったに違いない」と自分で咀嚼してみたり。
ひょっとすると自分自身、武道や日本的な伝統・文化に対して、尊敬はしていたものの「直に触れる機会」がないのをいらだっていたのかもしれないなといまは思います。
…人間の器が小さいなー。

「ベスト・キッド」、近々借りて見て見ようかと思ってます。

稽古でかわるからだ(13)柔軟性

2009年03月10日 | 【実感】かわるからだ
(13)柔軟性があがる。
「前かがみ屈伸で指が床につく」とか、「背中で両手の手のひらがつく」というからだの柔軟性は、筋肉が柔らかい訳でもまして骨が柔らかい訳でもありません。
腱の稼動範囲が広いこと、これにつきます。
ただ、筋肉がない人や筋力がない人は、たとえば屈伸の際に邪魔な筋肉がないので指が床につくわけですが、やわらかければいいというものでもありません。

空手の稽古をすると腱の弾力性やが伸び、稼動範囲が広がります。
私は、空手しか体に通していないので、他のスポーツと比べることはできませんが、腰を中心にした稼動域が特に広がったように感じています。
当塾では、基本稽古というのは、騎馬立ち・前屈立ちでの左右の正拳空間突きのみ。あとは移動稽古です。
それに昨年から始まった空手形と棒術形のおかげで、自分では気づかないほど全身、特に足と腰をつかっているようですね。
「正面をむいて、腕と上体を後ろに回す」運動などすると1年前、精々60度くらいだったのが、いまは100度近く廻ります。別人のようです。
肘打ち(エンピ)も左右のエンピ水平打ちも、下からの「カチあげエンピ」も、自分で驚くほどのスピードと角度に動くようになりました。

稽古でかわるからだ(12)地味な技 その2:中高一本拳

2009年02月27日 | 【実感】かわるからだ
(12)裏拳などの地味な技 その2:中高一本拳
拳がつくれるようになると、拳のバリエーションもいくつか、習います。
中高一本拳もそのひとつです。正拳をつくりながら、中指だけをやや突き出す。ちょうと感じの凸の字に似た感じに握ります。
中国拳法の通背拳では鎖拳?という握り方に似ています。
最初はぎこちないものの、これも2ヶ月は繰り返して握っているとそれなりに形になってきます。
「習うより慣れろ」とはよく言ったものです。

仕事で旭川と東京を行き来していたころに、和道流の段もちの方と空手談義になったのですが、そのとき「中高一本拳ってすごく握力がないと、突いた自分が怪我をしてしまいそうだ」と話したところ、「正拳とは使い方がことなるんじゃないかな?」といって、手ほどきしてくれたことがあります。飲み屋をはしごする大久保の路上で(笑)
「素人のつもりで、殴ってごらん?」といわれたので、ボクサースタイルで左のジャブをだしたところ、左の手の甲がめちゃくちゃ痛い!なにをしたのかされたのかとおもったら、左のジャブの拳を払い落としたそうです。中高一本拳で。
「要は小さい面積に打撃をあたえる拳だから、点でキクところを殴ればいいわけよ」とのこと。
その御仁いわく「本気で(中高一本拳で)拳をはらったら、手の甲の骨が折れるでしょ。手の骨折はめちゃ痛いから、相手が悶絶してるすきに逃げる」んだそうです。

無駄な技、不要な形なんざ、ひとつもありませんわ。
空手ってよくできてます。

稽古でかわるからだ(11)呑吐

2009年02月27日 | 【実感】かわるからだ
(11)呑吐
呼吸の要諦を、空手では、呑吐(中国拳法では吐納法)といい、突きや蹴りの際は、長呑短吐とよくいいます。
それ以前は、やはり肩を起点に呼吸をしていましたが、師範の指導で腹式呼吸、逆式呼吸ができるようになりました。(これは体格の変わった話に書きました。)
で、空手の技の稽古に入っていきますと、突き蹴りの瞬間に吐く(吹く)呼吸を一致させるわけです。
実際、この呼吸の際につかうのは、下っ腹ですね。へそより下を膨らませる・へこませることでより短く強い呼吸ができます。このとき、「ハッ」と気合をかけるよりも、「フンッ」「コッ」とか「エスッ」のほうが強い呼吸になります。
おかげで多少メタボな腹ですが、上下に別々に動かすことができるようになりました。

そういえば、最近の空手の入門書には、「突き蹴りの瞬間に呼吸を一致させる」とは書いてありますが、長呑短吐といったコツや呼吸の仕方なんかは書かれていないのですね。
道場でしか教えられないことだから省かれているのでしょうか?

ちなみに武道の流派で、それぞれ気合というのはそれぞれ違い特徴があるのですね。
剣術・薩摩示現流は「チェーイ」「チェスト」というのが有名ですね。
馬庭念流では「トォース」というそうです。

稽古でかわるからだ(10)地味な技その1:裏拳

2009年02月25日 | 【実感】かわるからだ
(10)裏拳などの地味な技
裏拳は、正拳の反対側、手首のスナップを利かせて、手のひらの背、指の付け根で打つことを意味します。
当塾でも最初に習う「形の準備形」である『拳手四方当て』でも3番目にはいっています。
この動作、正拳にくらべると威力がないように感じますし、稽古のはいりばなは手首がすっぽぬけるような、どうにもいやな感じになりますので面白みのある動作とはいえないのですが、2ヶ月我慢すると、実は正拳の威力があがります。
稽古前と稽古後で太さにそれほど差は無いものの手首の筋・腱が強くなるんでしょう。
あきらかに正拳を打つときのブレがなくなります。
また稽古しているうちにスナップにばねが利いてきます。
ものの本によると筋だけでなく腱も60歳過ぎまで鍛えればある程度まで伸びるんだそうです。
精進精進。

裏拳は、また打つという動作よりも、いなす・そらすといった守りの手として非常に有効です。
同様に、「鶴頭」「鶏頭」「鷲手」「熊手」といった技も、一見使いでがないように見えますが、ちゃんと高段者が使うとものすごく使える技だったりします。

ちなみに「鶴頭(かくとう)」とは、手で鶴のように構えることを指します。ジャッキー・チェンの蛇拳のようなあれです。あれ。

以前、師範が雑談の中で、「鶴頭なんて実戦ではつかわないと思うよ」とおっしゃるので、どんな手の形で、どういう用法なんですか?と聞き、試しに中段正拳を突いてみたらば、師範、片手で、下から鶴頭で跳ね上げ、そのまま掌底にした手で突かれたものです。

鶴頭の跳ね上げがきつい分、上半身が完全に無防備になり、そこに(掌底ではなく)正拳なんぞ受けたものなら、肋骨陥没だわ。
本気で怖かったです。

「これがわかりやすくした例ね?」とはそのときの師範のお言葉。
と、いうことは、もっと難しい局面でも、師範レベルだと使えるわけですね。

つまり、私いまだに、未熟者だということです。はい。

稽古でかわるからだ(9)試割り

2009年02月17日 | 【実感】かわるからだ
(9)試割り
多分、空手をやるとかならず思う。
”やってみたい””やったことがある”ものではないでしょうか?

私の場合は、31歳の正月に空手をはじめて、その年の9月に、生まれて初めて「試割り」というものを経験しました。

9月に当時の稽古会場であったときわ市民ホールで「ホーム祭」という館全体での活動発表会があり、その中で演武や護身術の披露をすることになりました。

師範から「もう半年以上足位(運足)ができているから、大丈夫」と試割りに挑戦するように言われました。

当塾では、特別拳を鍛える稽古をしません。
「多少は丈夫になり筋肉もついたようだが、本当に板なんか割れるのかいな?」と疑うことしきり。
同時に「師範の言うとおりに稽古してここまで丈夫になったのだから」とも思い直し。

本番前にリハーサルということで、1週間前の稽古でトライしました。
試割りにつかう板は、普通、杉板で厚さ1.5cm程度のものが販売されているそうです。

で、当塾では、市販の板は使いません。

師範が暑さ2・5cmの松板を1年以上自宅の天井近くで乾燥させたという代物です。
先輩に聞いたところ「杉は正目がはっきりしていて割れやすいけど、松は脂で粘りがあるから割れにくい」と。

私「それって失敗したら、普通の板より痛いってことですよね?」
先輩B氏「うん、めちゃくちゃ痛い」

割る(打つ)際の心得としては、
「運足も含めて、板の更に奥、拳ひとつ分、奥にある板にあてると思え」といわれました。

…やってみたら、簡単に割れました。

しかも右正拳、左正拳、猿臂、と試しましたが手ごたえがまったくありません。(というか覚えてません。)

むしろ打った場所、拳や肘よりも、腹や背中に衝撃を覚えたような気がします。
とにかく怪我はしませんでした。

ちなみに師範の話だと、この2・5cmの松板1枚を割れると、

「人の頭蓋骨なら陥没させられるよ」

…だそうです。さらっとおっしゃいますね…

また正しい技(形)で打たないと、手首や肘を痛めるし、
腹や背中に来た反動もうまく抜けないため、下痢などの不調が数日続くそうです。

試割りはそれ以来やっていません。

稽古を再開して丸1年たつので、そろそろ稽古の棚卸の意味でも、トライすべきでしょうか?


稽古でかわるからだ(8)肩が落ちる

2009年02月12日 | 【実感】かわるからだ
(8)肩が落ちる
空手というと、上半身が発達した筋肉美を想像しがちですが、稽古を1年以上続けると、肩が落ちます。やや撫肩ですね。
稽古をはじめた当初は、いかり肩というほどではないにしても、背筋が伸び、胸をはって歩くようになります。

半年以上になると姿勢はそのままですが、歩くときの起点(重心)が胸から腹・腰に落ちますので、腕や肩はそれほど強調されない動きに落ち着きます。

稽古をはじめて間もないころは、突き蹴りの稽古をするとどうしても腕に力を込めて突き、足を踏ん張って蹴ります。
「突こう」「蹴ろう」という意識のせいか、たいして力もないくせに力を込めて動くのです。
その運動の成果で筋肉がつくんでしょう。

しかし運足が身についてくると、拳や足先には力が必要なく、腰と背中の動きで突き、腰と太ももで蹴ることがわかります。
だんだん、動きの緩急というものが初心者ながら身についてきます。
そうすると胸を張った姿勢ながら、肩がそれほど目立たなくなります。でも拳足の威力・速さは格段にあがってます。

師範のご友人のボクシングトレーナーや空手、居合の高段者の飲み会に出たことがありますが、皆さん一見普通の体格だったような気がします。

稽古でかわるからだ(7)手首から肘までが…

2009年02月10日 | 【実感】かわるからだ
(7)手首から肘までがたくましくなる。
空手とか、ボクシングというと 「上腕二頭筋」つまりニの腕が太くなるという印象がありますが、実際に太くたくましくなったのは、手首から肘にかけてでした。
当塾では、拳を出す際に、足腰の回転をそのまま腕に伝えるだけで、「腕で突く」ということは意識してはならないと教わります。突き終わった瞬間も「拳を引く」のは厳禁で、「力を抜いて、肘を落とす>拳がもとの位置に戻る」ことを教わります。
ちなみにこのやり方になれると、かえってボクシング的なアクションがつらくなります。
突いて、すぐ拳を引く動作を行うためには常に緊張していなくてはならないので、ものすごく消耗します。

この方法での「突き」を繰り返すと、万力鎖にたとえるなら拳が分銅で、腕が分銅についた鎖のような扱いになり、突きが威力をもつ=拳が勢いを増す=その勢いを手首と肘が引き止めるという図式になります。
つまり拳を出すと負担が手首と肘にかかるんですね。
これのおかげで、手首から肘までがそれまでにないくらいたくましくなりました。
この筋肉も、一度ついたら「落ちない筋肉」のひとつです。

1ヶ月ほど友人に誘われて、ボクシングジムにチケット会員で1ヶ月半通ったことがあります。
同じ初心者の人たちにまじって初歩からトレーニングしたのですが、それまでまったくボクシングも空手も未経験の人たちは、サンドバックでの練習をした翌週は、必ずといっていいほど手首がどす黒くなっていました。

殴る対象があると燃えるもので、人間思いっきり力を込めてなぐってしまいます。
が、腕に衝撃を耐える力がない、あるいは逃がす打ち方をからだが心得ていないので手首の毛細血管が破れて出血するんですね。

空手の効果か、私は内出血は免れました。
筋肉痛は漏れなくいただきましたが。

稽古でかわるからだ(6)足の裏の変化

2009年02月09日 | 【実感】かわるからだ
(6)足の裏の変化
子供のころから自他共に認める偏平足なのですが、稽古で運足をし始めて、すこし土踏まずができました。
前蹴りの際に、つま先ではなく、指の付け根"虎シ"で蹴るように教わってますが、この付け根を蹴りの瞬間に前へ出すというのが最初はできなくて。暇さえあれば、爪先立って屈伸などしていたものです。
頑張った甲斐あって、前蹴りにすこし格好がついてきたころ。
ある日、風呂場の掃除をしていて自分の足跡を見てみたら、それまでべったりついていた足跡がやや小さく感じられるので、よく見たら浅く土踏まずができていました。

土踏まずができるのはふくらはぎの筋肉の発達と関係があると大学の体育の時間に、先生に教わった記憶があります。
ジョギングもしてましたが、走るという動作ではふくらはぎの筋肉は思ったほどつかないのかもしれません。
いえ、ついているのでしょうが、実感するのはむしろ太ももでしたから、運動によって鍛えられる筋肉は異なるということ。

つまり「足の筋肉を鍛えたかったら走る」というのは素人の思い込みであって、実際にはどう鍛えたいのか?きちんと考えて稽古すべきなんでしょう。

アトピー性皮膚炎のためもあって、少し長い距離を歩くとそれだけで足の裏の皮が剥けるひ弱さだったのですが、道場で裸足で運足をする成果か、皮が剥けるとか足裏がはれるといったこととは無縁になりましたね。

余談ながら一度、水虫にかかったときの話。

病院の薬ももちろん効きましたが、そのころサボっていた運足を自宅でやりはじめたら、表面的には3日で完治しました。(根治には1ヶ月かかるそうですよ)
摩擦熱で乾燥したからでしょうか?

稽古でかわるからだ(5)体格の変化

2009年02月06日 | 【実感】かわるからだ
(5)体格の変化
一番おどろいたのは、体格の変化です。
先にも「腕立てや腹筋をやっても効果がなかった」と書きましたが、まったくその通りで自己流の筋トレではこれといった効果がありませんでした。
空手の稽古をはじめて、胸板が厚くなり、臀部にはっきりとわかる筋肉がつきました。衣服のサイズは、シャツなどS・MサイズであったものがM・Lサイズでないと着れなくなり、パンツもウエストは変わらないのに、臀部、大腿部が太くなったためはけなくなったものがあります。

呼吸法を修めたあたりから、体格が変わりはじめたのではないか?とおもっています。
当塾では『悠々』と言う師範が編んだ稽古があります。
腹式呼吸、逆式呼吸、いわゆる吐納法とストレッチの組み合わせたものです。これを稽古の基礎としてかなり長い時間をかけてやりました。
鼻から静かにゆっくり吸って、口から滑らかに吹き出す。時計など見ずにとにかく少しずつ一呼吸を長く行うというものです。慣れてくると息を吐き出す際に、一気に強く吐き出します。「これがコツかな?」というものが見えてきて、時間にして1分半近くをかけて一呼吸を行いながら、「数息観」・「真向法」・「ストレッチ」をこなします。

現在は、省略形のものを基本稽古の前に20分ほどおこないますが、初期の『悠々』は全部通してやると40分程度かかるものでした。

これが身についた頃から、日常の呼吸が深くなり、よく眠れるようになりました。そして腹筋背筋がつき、背筋が強化されたために臀部・大腿部の筋肉がついたという感じです。
よく眠れるというのは深く眠れるようになり、深く眠る時間が増えたということです。

また、「突き蹴りのインパクトの瞬間に合わせて呼吸を行う」ことを意識するうち、全身で突く・全身で蹴るという感覚が少しづつ見えてきました。

「呼吸が技の基本だよ」とは師範のお言葉ですが、この感覚を意識するようになったころ、一旦増えた体重が減り、いまの体格になりました。

稽古でかわるからだ(4)からだが細かく割れる。

2009年02月05日 | 【実感】かわるからだ
(4)からだが細かく割れる。
なんと表現すればしっくりくるのか、難しいのですが…
「からだの部分部分を別々に動かせるようになる、あるいは全てをそろえて動かせる」という感じでしょうか。

たとえば、「正拳をつくる」のは、小指・薬指から握りはじめ、次に中指、その次に人差し指、最後に親指を添えて硬く握ることでできあがります。
最初のころは、力の加減もわからず手のひらも指も力いっぱい握るだけでしたが、そのうち小指・薬指を握りこむとほかの指はそえる様に意識するだけでするりと拳が握れるようになりました。

同時に形の稽古で、正拳から手刀などほかの手の形に移行するにも、掌全部に力を込めてやっていたものが、最近は手の一点に力をいれることでそれができるようになります。

足も同じです。足刀(横蹴り)は、親指は上を、他の指は下を向かせて、膝をかいこみ、やや踵を突き出すようにしながら、文字通り足の「横」に刃がついているかのように、蹴りこみます。

この「足の親指は上を、他の指は下を向き」というのが最初はできなくて苦労しました。いまでは自然にそれができます。

移動稽古で運足をつかう場合は、上半身と下半身がまったく別物のように動くことを要求されます。最初のころは、どうしても上下同時に動いてしまっていたのですが、最近ようやくさまになってきたようです。

こうした動きができるようになって、疲れにくくなりました。
歩く・走るなどの動作も、机上の作業でも、小さな動きでこなせるようになりましたし、下の話で恐縮ですが便秘や下痢といったものと縁遠くなりました。

稽古でかわるからだ(3)怪我をしにくくなる。

2009年02月04日 | 【実感】かわるからだ
(3)日常の不慮の怪我をしにくくなる。
打撲、ねんざといった日常的におきる故障としにくくなりました。

全くの無縁ではありませんが、空手をはじめる前と後では、随分さがあります。

普通、空手の稽古をするとからだを傷めるのでは?
そう想像してしまいますが、実際には怪我が減ります。

まず転ぶとか、転びそうになって危ないものにつかまるとか、
そういうことがなくなりました。

ある程度不安定な場所でも体勢が崩さず立っていられるのです。
これは運足の稽古でスムースに移動できるようになったころから実感しました。

また刃物を使っていて勢いあまって自分の手を…
というのもなくなりました。

握力があがった性もあります。
でも、それ以上に「あぶない体の使い方」をしなくなったように思います。

不思議なもので、刃物や道具を使うときに、
「より楽に使える姿勢を探す」ようになっているらしいのです。
無理な姿勢で道具を扱うことがなくなりました。

この種の変化は刻々と続いています。

稽古でかわるからだ(2)落ちない筋肉がつく。

2009年02月03日 | 【実感】かわるからだ
(2)落ちない筋肉がつく。

当塾で空手をはじめる前に、自宅で筋トレに励んでいたことがあります。31歳のときです。

週に一度、10km前後のジョギング、毎日の腕立て伏せと腹筋(シットアップ)20回を数セット、ほぼ半年間やっていました。しかし、筋肉らしい筋肉がつきません。

もともと筋肉がつきにくい体のようで、できる回数、走れる距離は伸びるものの、見た目が全然変わらないのです。トレーナーについたわけでもないので適切な運動をしていたかといえば怪しいですが。
とにかくそれとわかる効果が現れない。

しかし、空手をはじめたら、1ヶ月経たないうちに稽古で筋肉がかなりの量つきました。
それもマッチョな感じではなく、いままで筋肉がなかったところに必要な量がつくといった感じです。実際、体重も45kgを前後していたのが、48kgと一気に増えました。が、2ヶ月もすると筋肉はまったく落ちないで体重だけが、44kgに減りました。

体重が減ったのに、胸板は厚くなり、それまでSだったTシャツが全てMかLに。
そのころは毎週2回の稽古がありましたが、その稽古に通っているだけで、家では柔軟体操をするだけだったのにです。
特筆すべきは、体格が変わり、しかも一度つけた筋肉が簡単に落ちないことです。
腕立てや腹筋運動でつけた筋肉は2週間も休めばあっさり元に戻ってしまうのですが、空手の稽古でつけた筋肉は運動量を落としても2ヶ月以上経過しても落ちないのです。

師範曰く、「武道では、日常で使う筋肉とも、スポーツでつかう筋肉とも違う部位に重点をおいて使うから、スポーツでつかう筋肉とは別のつきかた、別の強さをもった筋肉がつく。」
そしてこの「別の筋肉」の存在は、棒や杖といった武器の素振りをするとそのありかがよくわかるというのもこのころ体感しました。