今年の日本マラソン大賞、特別賞をもう一つ追加したい。本当の意味で、これは今年だからこその特別賞である。
☆審査員特別賞
ランナーけい(小野寺恵)
けいさんは、岩手県在住のランナーで、フルマラソンで2時間39分台の自己記録を持っていた方である。結婚して子供を持ち、仕事も趣味も家庭も充実していたに違いない彼を、7年前に病魔が襲った。医師の診断は化学物質過敏症。原因は職場での受動喫煙が原因だったという。
走るどころか、日常生活にも支障が出るほどの苦しみを味わったけいさん。病気の原因が分かるまでにいくつも病院を変わり、職場も変わった。原因と病名が判明するまでどんな気持ちだったかは想像を絶する。追い討ちを掛けるようにお子さんが小学校の校舎に使用された化学物質が原因でシックハウス症候群を発症。
子供の治療だけでなく、病気に無理解な学校関係者との戦いの日々も始まった。
ようやく、体調も回復に向かい、子供の症状も安定していた矢先に、3月11日、東日本大震災に見舞われた。
ご自身は家族も無事で津波の被害にも遭わなかったが、沿岸部に住むランニング仲間には命を落としたり、一切合財津波で失った人も多数いた。
アレルギーが原因で支援のために供給された食品が食べられない人たちが多数する事を知ったけいさんは、そんな人たちのために独自の支援活動を始めた。
僕がけいさんの事を知ったのは、星野芳美さんのサイトを通じてである。16年前、自分も家も激しい揺れで目を醒まさせられた阪神淡路大震災の際に、何も直接的な支援を行なわなかった事を後ろめたく思っていた僕は、自分に何かできないだろうかと思っていた。
とりあえず、16年前には無く、今はあるものの一つである自分のサイトやブログに、赤十字などの支援に関する情報を掲載させたリンクを貼り付けることから始めた。焦って、デマまがいの情報を垂れ流すことだけはするまいと思った。
先の阪神や新潟の震災では支援物資が本当に必要な人の所に届かなかったり、ウエスにするしか使い道が無いような古着を大量に送りつけるような者もいたという話を聞き、確実に支援物資が被災者の所へ届くルートを探していた。
僕の家には、20年近いランニング生活の間に貯めこんだ参加賞Tシャツやタオルが未使用のものもかなり残っていた。海外の難民キャンプ等にそういった物資を送るという使い道もあると以前から聞いてはいたが、なかなか実行に移せないままでいた。まさか、同じ日本国内でお役に立てるようになるとは夢にも思わなかった。
星野さんよりけいさんの連絡先を紹介していただいた。ランニングを通じて知り合った全国各地の知人から寄せられた支援物資を自ら区分けして、陸前高田や釜石に被災者たちに手渡しで送り続けているという。僕の持っているシャツとタオルだけでは足りないと思い、幼馴染の友人にも協力をお願いした。自らスタッフの一員として関わった、「坊ちゃん一緒にらんランRUN」の実行委員長である、松山大学の金村教授(土佐礼子の学生時代の体育指導教官)や、「八幡浜トレイルランニング大会」の実行委員長のKさんにも相談し、余っている参加賞Tシャツを寄贈していただき、四国から岩手への宅配便配達が再開するや、ダンボールケース6箱分のシャツやタオルをけいさんの所へ届けた。
けいさんは自身のブログで、それらがどこにどれだけ送ったかをきちんと報告していた。決して、万全とはいえない体調で、車に多くの支援物資を詰め込んで、瓦礫だらけの町を走り回り続けた。
体調も本人の想像以上に回復していった。この病気を治すには、有酸素運動で汗をかくことで、体内に溜まった毒物を排出することが効果的なのだという。
そして、今年の大田原マラソンで、2時間57分台でゴール。発症後初のサブスリーだった。
東北のいろんな町に、けいさんのような人がいるのであろう。もっと苛酷な状況で闘っている人もいるかもしれない。そういった、マスメディアに採り上げられることのない、名の無い人たちの代表として、僕と同じランナーである(面映い言い方であるが)けいさんに、今回、マラソン大賞審査員特別賞を進呈したい。
なお、けいさんの本名は、ご本人の了解を得た上で、公開させていただいたものである。
けいさんのホームページ
http://www5f.biglobe.ne.jp/~keirun/
ブログ
http://ameblo.jp/keirun/
けいさんたちの闘いは今も続いている。本当の春が1日も早く訪れるように、祈るだけではなく、僕も何かの形で協力できればいいと思っている。まずは、けいさんの事を多くの人に伝えることだと思い、2011年の最後に、彼の事を紹介させていただいた。
皆さん、よい新年を!
23:15 コメント(0) 編集 ページのトップへ
☆審査員特別賞
ランナーけい(小野寺恵)
けいさんは、岩手県在住のランナーで、フルマラソンで2時間39分台の自己記録を持っていた方である。結婚して子供を持ち、仕事も趣味も家庭も充実していたに違いない彼を、7年前に病魔が襲った。医師の診断は化学物質過敏症。原因は職場での受動喫煙が原因だったという。
走るどころか、日常生活にも支障が出るほどの苦しみを味わったけいさん。病気の原因が分かるまでにいくつも病院を変わり、職場も変わった。原因と病名が判明するまでどんな気持ちだったかは想像を絶する。追い討ちを掛けるようにお子さんが小学校の校舎に使用された化学物質が原因でシックハウス症候群を発症。
子供の治療だけでなく、病気に無理解な学校関係者との戦いの日々も始まった。
ようやく、体調も回復に向かい、子供の症状も安定していた矢先に、3月11日、東日本大震災に見舞われた。
ご自身は家族も無事で津波の被害にも遭わなかったが、沿岸部に住むランニング仲間には命を落としたり、一切合財津波で失った人も多数いた。
アレルギーが原因で支援のために供給された食品が食べられない人たちが多数する事を知ったけいさんは、そんな人たちのために独自の支援活動を始めた。
僕がけいさんの事を知ったのは、星野芳美さんのサイトを通じてである。16年前、自分も家も激しい揺れで目を醒まさせられた阪神淡路大震災の際に、何も直接的な支援を行なわなかった事を後ろめたく思っていた僕は、自分に何かできないだろうかと思っていた。
とりあえず、16年前には無く、今はあるものの一つである自分のサイトやブログに、赤十字などの支援に関する情報を掲載させたリンクを貼り付けることから始めた。焦って、デマまがいの情報を垂れ流すことだけはするまいと思った。
先の阪神や新潟の震災では支援物資が本当に必要な人の所に届かなかったり、ウエスにするしか使い道が無いような古着を大量に送りつけるような者もいたという話を聞き、確実に支援物資が被災者の所へ届くルートを探していた。
僕の家には、20年近いランニング生活の間に貯めこんだ参加賞Tシャツやタオルが未使用のものもかなり残っていた。海外の難民キャンプ等にそういった物資を送るという使い道もあると以前から聞いてはいたが、なかなか実行に移せないままでいた。まさか、同じ日本国内でお役に立てるようになるとは夢にも思わなかった。
星野さんよりけいさんの連絡先を紹介していただいた。ランニングを通じて知り合った全国各地の知人から寄せられた支援物資を自ら区分けして、陸前高田や釜石に被災者たちに手渡しで送り続けているという。僕の持っているシャツとタオルだけでは足りないと思い、幼馴染の友人にも協力をお願いした。自らスタッフの一員として関わった、「坊ちゃん一緒にらんランRUN」の実行委員長である、松山大学の金村教授(土佐礼子の学生時代の体育指導教官)や、「八幡浜トレイルランニング大会」の実行委員長のKさんにも相談し、余っている参加賞Tシャツを寄贈していただき、四国から岩手への宅配便配達が再開するや、ダンボールケース6箱分のシャツやタオルをけいさんの所へ届けた。
けいさんは自身のブログで、それらがどこにどれだけ送ったかをきちんと報告していた。決して、万全とはいえない体調で、車に多くの支援物資を詰め込んで、瓦礫だらけの町を走り回り続けた。
体調も本人の想像以上に回復していった。この病気を治すには、有酸素運動で汗をかくことで、体内に溜まった毒物を排出することが効果的なのだという。
そして、今年の大田原マラソンで、2時間57分台でゴール。発症後初のサブスリーだった。
東北のいろんな町に、けいさんのような人がいるのであろう。もっと苛酷な状況で闘っている人もいるかもしれない。そういった、マスメディアに採り上げられることのない、名の無い人たちの代表として、僕と同じランナーである(面映い言い方であるが)けいさんに、今回、マラソン大賞審査員特別賞を進呈したい。
なお、けいさんの本名は、ご本人の了解を得た上で、公開させていただいたものである。
けいさんのホームページ
http://www5f.biglobe.ne.jp/~keirun/
ブログ
http://ameblo.jp/keirun/
けいさんたちの闘いは今も続いている。本当の春が1日も早く訪れるように、祈るだけではなく、僕も何かの形で協力できればいいと思っている。まずは、けいさんの事を多くの人に伝えることだと思い、2011年の最後に、彼の事を紹介させていただいた。
皆さん、よい新年を!
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