KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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年末恒例!輝く日本マラソン大賞 第二部

2011年12月31日 | 日本マラソン大賞
さて、いよいよ「メイン」となる賞の発表である。


☆努力賞
今井正人(トヨタ自動車九州) びわ湖6位 福岡4位
竹内健二(トヨタ自動車九州) 延岡優勝 アジア選手権3位
中里麗美(ダイハツ) 横浜2位 世界選手権10位
野尻あずさ(第一生命) ロンドン12位 世界選手権19位

順天堂大時代は、「山の神」と持て囃された今井だが、新たな山登りのスペシャリストが現われるや、「過去の人」にされてしまった。箱根ランナーの卒業後の活躍をきちんとフォローしないメディアにも問題はあるが、いつまでも大学時代の「栄光」にすがっていてはいけないという気持ちも強かったのだろう。びわ湖に福岡、ともに敗れはしたが自己記録は更新している。五輪選考レースへの再チャレンジはありか、海外マラソンで自己ベストを目指すか、次のレースを見たい。
チームメイトの竹内も、次は国際マラソンでの走りを見たい。「Qちゃん2世」と呼ばれた中里だが、瀬古さんには某スポーツ紙で、

「顔が似てるだけじゃねえ。」

とばっさり切り捨てられた。本人のせいでなく、そんなイージーなニックネームをつける方が悪いのだが、走りもQちゃんに近づけて欲しい。なお、僕は来年はダイハツ陸上部にも注目することにしている。かつてのこのサイトのキャッチ・コピーは、

「ナンバーワンよりもオンリーワンのランナーを応援するサイト」

だったのだが、クロカンスキーの冬季ユニバーシアード代表で、富士登山競走に優勝歴がある野尻はまさに、これまでの日本マラソン界にはいなかった、「オンリーワン」の存在だ。この「努力賞」というのは、「次のマラソンを早く見たい」ランナーたちであり、「次回ブレイク候補」のランナーたちなのである。

☆優秀外国人賞
ウイルソン・キプサング(ケニア) びわ湖優勝 フランクフルト優勝
タチアナ・アリャソワ(ロシア) 東京優勝

国内メジャー大会優勝者から選出するこの部門だが、男子はダントツだと思う。びわ湖の優勝タイム2時間6分13秒はコースレコードであり、日本最高記録を3秒上回る。さらに10月のフランクフルトでは世界歴代2位の2時間3分42秒!よくぞこんなランナーを招待してくれたものだと感服する。一方、女子は東京の優勝者ということで選んだのだが、横浜3位のマーラ・ヤマウチを選んでも良かったのではと思えてしまう。本当に、この数年の国内の女子マラソンの海外招待選手のレベルの低さはどうしたものか。日本人が勝たないと視聴率が稼げない、というのであればボクシングの某兄弟と大差ないではないか。今年のロンドンや世界選手権では、そんな世界のトップとの直接対決の経験の薄さが表われてしまった。

☆殊勲賞
森本 友(天満屋) 北海道優勝
木良子(ダイハツ) 大阪5位 横浜(11月)優勝

ウイーン優勝、ベルリン3位と海外マラソンに強いが、代表選考レースでは今ひとつ、北京五輪では補欠に選ばれたものの、野口に代わっての出場は叶わず、と不運なランナーだった森本が国内レース初優勝。やっぱり天満屋は4年に一度、きっちり選手を育ててくるなあと感服。タイムが平凡とは言え、代表選考レースの優勝者である木は代表に選ばれて欲しい、と思う。また、これが代表選考をめぐって恒例のゴタゴタを引き起こすかもしれないが。

☆敢闘賞
中本健太郎(安川電機) びわ湖4位 世界選手権10位
尾崎好美(第一生命) 横浜(2月)優勝 世界選手権18位 横浜(11月)2位

先頭集団との勝負は出来なくとも、どんな条件でも確実に10位以内でゴールする中本。往年のマラソン・ニッポンの強さを知る世代には物足りないが、自分のペースを守って、落ちてくるランナーを拾っていく走りが、今の日本が世界の舞台で戦う道なのである。「男・嶋原清子」と呼んでは失礼かもしれないが、嶋原同様に、団体戦のある世界選手権には欠かせない存在だ。調整が実に巧いのだろう。尾崎は、本当なら「優秀選手賞」以上を取らないといけない立場なのだが、メダリストではあるが、安定感に欠ける、というイメージを抱いてしまった。「女子メダリストに育てられたメダリスト」というスポーツマスコミが好みそうな「物語」を持つランナーなのではあるが。

さて、いよいよ優秀選手賞と最優秀選手賞の発表である。今回はギリギリまで悩んだ。


☆優秀選手賞
堀端宏行(旭化成) びわ湖3位 世界選手権7位

☆最優秀選手賞
川内優輝(埼玉県庁) 東京3位 世界選手権18位 大阪4位 福岡3位 防府2位
赤羽有紀子(ホクレン) 大阪優勝 ロンドン6位 世界選手権5位



昨年はMVPが「該当者無し」だったので今年は2人選んだ、というわけではない。MVPを2人選んだのは2007年、土佐礼子と野口みずきを選んで以来である。

川内が選考委員の満場一致(ワシ一人だけやがな。)でMVPにしようかとも思ったのだが、それでは世界選手権で彼に先着して入賞した堀端を過小評価してしまうことになる、と悩んだ。それでなくても、

「公務員に負ける実業団ランナーは不甲斐無い。」

という言説が定着している昨今だ。堀端の7位入賞はもっと評価されるべきだとも思うし、久しぶりに一般メディアの注目も多く集めた川内も捨て難い。悩みに悩んだ末に、堀端と川内をMVPにと決めかけたが、大阪優勝、ロンドン6位の赤羽と堀端を比べた際に、赤羽の方を上に推すことにした。北京五輪当時に比べて、今はマスコミへの露出も大幅に減らしたが、日本初の「ママさんランナーの世界選手権入賞」なのである。

五輪代表内定者ゼロで、五輪前年を終わることとなったが、来年はやはり五輪で最も活躍したランナーをMVPに選びたい。今年、「なでしこジャパン」が果たした役割をマラソン・ランナーたちが担う事を祈る。



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