KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

輝く!日本マラソン大賞2021 vol.3

2022年03月29日 | 日本マラソン大賞
vol.2を発表してから2ヶ月余り過ぎたがその間にマラソン界の状況が大きく変化した。以下の講評は2021年12月31日時点の視点で書かれたものであることをご了解いただきたい。


ベストカップル賞
鈴木健吾&一山奈緒

東京五輪の女子マラソン中継の中で「細か過ぎる」解説者氏が、
「一山に恋人がいる。」
と明かして物議を醸したが、僕は
「そりゃ、おるやら。」
と思った。我が地元出身のマラソンヒロインが、学生時代から陸上部の2学年先輩の主将と付き合っていた(後に結婚)事は地元の陸上関係者の間では有名な話だたからだ。しかし、年末に結婚を発表した際、相手が鈴木健吾とは驚いた。「ビッグカップル誕生!」と騒がれ、夫婦のマラソン合計タイムのギネスブック入りも期待されたが、まずは夫婦揃って愛媛マラソンに来てもらいたいと思った。

優秀外国人賞
マイケル・ギザエ(スズキAC)
ドミニク・ニャイロ(NTT西日本)

国内大会の優勝者に授与する賞であるが、2021年の主要大会は海外からランナーを招待出来ず、日本で競技を続ける外国人ランナーだけが参戦となった。「ラスト・フクオカ」を制したギザエは福岡第一高校出身で、2位の細谷、3位の大塚と共に地元福岡勢が上位を独占する結果となった。地元のファンや関係者は溜飲が下がったであろうが、「International Championship」である大会のラストと思うと、一抹の寂しさを感じた。防府読売マラソンの優勝者であるニャイロ。山梨学院大学では駅伝のエースであり、北京五輪マラソン代表だった大崎悟史コーチが所属していたNTT西日本陸上部入りしたが、意外にも、山梨学院大学のケニア人留学生では初めてのサブテン・ランナーである。

カムバック賞
神野大地(セルソース)
北島寿典(安川電機)

箱根駅伝の「山の神」、神野。陸上競技やマラソンのファン以外ではリオ五輪や東京五輪のマラソン代表よりも知名度は高かったと思う。卒業後コニカミノルタ入りするも退部して「プロランナー」となるもマラソンでなかなか結果を出せずにいた。某スポーツ誌が、彼が東京五輪のマラソンでのメダル獲得までの密着ドキュメントを連載していたが、なんとかギリギリでMGCの参加資格を取るのが精一杯。そんな中、心機一転してトレーニング体制を変えて臨んだ防府読売マラソンでは優勝したニャイロと同タイムの2時間9分34秒でゴールし初サブテン。終盤の競り合いは実に見応えあり、記録以上に「一皮剥けた」と思わせた。ちなみに、現在彼を指導しているのは、ロンドン五輪マラソン代表の藤原新。福岡優勝のギザエが所属するスズキACのコーチを務めている。空前の好記録ラッシュとなった今年のびわ湖毎日マラソンの42人のサブテンランナーの中で42番目にゴールしたのが、5年前のこの大会に2位でゴールしリオ五輪代表の座を掴んだ北島だった。リオ本番は94位に終わったが、その原因となった足の故障がようやく回復したようで、是非とももう一花咲かせて欲しい。

ベスト市民ランナー賞 
中村高洋(京セラ鹿児島)

かつては世界陸上代表の入船敏を輩出した京セラ陸上部。その後休部と発表されたが同好会として活動を続けていた。そのエースが名古屋大学大学院出身の37歳の理科系ランナーの中村。名大時代にも全日本大学駅伝や出雲駅伝を走っていたが、30歳過ぎて記録を更新。今年のびわ湖では2時間9分40秒でゴール。10000mでも28分3秒73まで記録を伸ばしてきた。2023年のニューイヤー駅伝では、京セラのオールブラックのランシャツを上州路に復活させて欲しい。

功労賞
中本健太郎(安川電機)
大迫 傑(Nike)

現役引退を表明した元日本代表ランナーに授与する賞であるが、2010年代の日本男子マラソンの「エース」と言えばやはり中本だろう。ロンドン五輪で6位入賞、3度出場した世界陸上ではモスクワ大会の5位入賞をはじめ全て10位以内でゴール。自己ワースト記録の2時間15分13秒の北海道でも順位は2位。安定感は抜群だった。敗れたとはいえ、2013年の別大毎日での川内優輝との対決は正に「名勝負」だった。「静かなるランナー」だったが、引退発表もニューイヤー駅伝後にひっそりと行われ、引退レースもセレモニーも無かったのは寂し過ぎた。東京五輪6位入賞で優秀選手賞の大迫に功労賞も同時授与とは何とも寂しいことだが、自身をギリギリのラインまで追い詰めるための、スタート直前の「ラストラン宣言」だったのだろう。今回の五輪で初めて大迫の名前と顔を知った人の中には「この人、めっちゃイケメンやん!ファンになったわ!え?五輪で引退?そんなあ!」とガッカリされた人もいるかもしれない。大迫はある面「不運」と言えるところもある。自身の持つ日本最高記録を更新した2020年の東京マラソンに、東京五輪。自身の実力を最大限に発揮したレースがどちらも「沿道の応援は自粛」という異例の状況での開催だったからだ。沿道からの多数の歓声を力に変えられるようなレースでの活躍を見たかったものである。

付記
今年(2022年)の東京マラソンで鈴木と一山は共に日本人トップでゴールした。同一レースでの夫婦でのゴールタイムの合計の世界最高記録らしいが、黒ビール屋さんの宣伝本が出してるランキングには興味無い。それよりも、1月開催予定ながら中止になった愛媛マラソンにて、「お披露目ラン」の予定があったのかどうかが気になっている。

中止になった都道府県対抗男子駅伝の中継を担当するRCCラジオが代替番組として、中継の解説を予定していた青山学院大学の原晋監督のトーク番組を放送していた。中村高洋も電話でゲスト出演していたが、それによると名古屋大学陸上部の監督は原監督の出身校である駅伝の強豪、世羅高校での先輩だという。中京大学出身の原監督は学生時代、東海地区の大会で顔を合わせると挨拶していたという思い出を語っていた。そう言えば、東京五輪女子マラソン代表の鈴木亜由子も名古屋大出身である。

東京五輪後、ランニング教室やマラソン、駅伝中継の仕事をこなしていた大迫、今年2月の別大毎日の直後に現役の復帰を宣言したのには驚かされた。いろいろな意見もあるだろうが、僕は彼のこの決断を支持する。








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