かたなのきれあじ!!!

本年度もひとつよろしくどうぞ★

TheTimeIsRipeforInvestment32「ファンド・LBO-MBO」

2006-11-25 21:38:07 | ご隠居のフォルダ
 温暖化はどこへいったまいどどうもご隠居です。今週は週末にかけ数ヶ月ぶりの円高となりました。調整局面の身の振り方について思案中です。

 
 さて、本日は予告どおりちょっと本筋から外れて「ファンドによるレバレッジのマジック」なるものを紹介したいと思います。ほぼ既出の概念ですが、正直さっぱりわからないかもしれません。野球でいうところのヒットホームラン三振盗塁云々というものを一つ一つ知っていたから選手として有能かどうかは別の問題であるようなものです。が、全く知らないよりは知っているときに本場のプレーを生で目にすることは何らかの意味があるはずです。そのような意味を込め、今回のテーマとしました。
 なお、出典は日経新聞です。


 まず、ある企業の経営者がMBO(経営陣による企業買収)したいと思っていました。そこで取られる手法の一つとして、ファンドがまずSPCという形だけの会社を作り当該SPCがLBOによって企業を買収、その後SPCと企業が合併し、企業が借入金を返済していくというのがあります。今回はその手法を見てみることとします。
 
①経常利益100億円、純利益60億円(税率40%)、PER20倍、時価総額1200億円(60億×PER20倍)の上場企業を、プレミアム25%上乗せの1500億円で買収

②ファンドでは500億円用意し、残り1000億円は金利5%の借入金で調達。非上場化し、借入金1000億円は会社が背負う。

③借入金を背負う新会社の経常利益は利払い(年50億)増加によって50億円に減少。純利益は税率40%で30億円に。

④上場時と同じPER20倍で再上場。時価総額は600億円(30億×PER20倍)に縮小。一方、ファンドの元では500億円なので何もしなくても100億円のもうけ。


 いかがでしょうか。これはPERの、借入金の多さ少なさを必ずしもうまく株価に反映するわけではないという特性を突いた手法です。
 本来ならば、借入金が1000億ある企業は以前よりPERが下落するのが「正しい」流れなのですが、人間の集合で織り成すマーケットは全能ではないため、しばしばこのような失敗を起こします。
 このように、理論値と実際の市場のズレは大きなチャンスとなるのです。その為には、PCスキルや高等数学の応用、マーケットの動向などの膨大な情報、といったありとあらゆる能力が必要であるのは皆さんご承知のとおりです。

TheTimeIsRipeforInvestment31「総合~リスクと粉飾~③」

2006-11-22 02:06:18 | ご隠居のフォルダ
 今月も上々の成果でございますまいどどうも、ご隠居です。

 さて、X氏に関してです。

③プレミアムの放棄…プレミアムというのは以前にやったリスクプレミアムのことです。ではこれを放棄しているとはどういうことでしょうか。
 おさらいになりますが、
・リスク=不確実性
・リスク=リターン リスクを取らねば利益なし
・リスク=ボラティリティ 不確実性のばらつきを表すボラティリティが高いほどリスクが高い
 この基本を使っていきます。
 リスクの構成をおおざっぱにいうとリスクフリーレート+リスクプレミアムとなています。

 とか書いてみたのですが、何もそんなに難しい話ではなく直感的に理解できるものです。
 投資銘柄から①「誕生日プレゼント何欲しい?」と言われて、「ヴィトンの長財布」と答えて実際買ってもらうのと、②何も聞かれずに当日突然ヴィトン長財布をもらうという二つのケースがあったとします。まず、欲しい物が手に入ったので、①②ともにあなたは嬉しい。この嬉しさがリスクフリーレート、にあたります。さて、ではこの二つのうちどちらが嬉しいかというと②の方が嬉しいという意見が多いと思われます。これがプレミアムです。プレミアムの分①より②の嬉しさが勝っているということになります。②のケースでは何をもらえるかわからなかったが(不確実性)、どんぴしゃり大当たりで財布がもらえたことになります。これは自分の欲しくないものをもらうかもしれないリスクの分嬉しいということもできます。
 プレゼントは例に上げましたものの、外れの内容事前に聞くのも勿論いいと思われます。言いたいことは不確実性が嬉しさを増やすということです。

 あの人は何を考えてるのか?
 あの人は私のことどう思ってるのか?
 あの人ってどんな人なんだろう?

等々わからないことが、いわば投資の醍醐味でもあり辛いところでもあるわけです。

 X氏のように何でも相手の要望にこたえ、いい顔をするということは、相手からしたらX氏のやることは「想定の範囲内」になってしまいます。これが第三の要因、プレミアムの放棄です。これは例えていうならば犯人とトリックを事前に解説した上での推理小説。推理するとこねぇじゃねぇか、ということになります。
 「いい人なんだけどねぇ」と言われつつ投資成績が振るわない純朴な男性投資家もプレミアムの欠如が一因と考えられます。
 この点、聡明な女性投資家の一部はこれを心得ておりかわいいわがままを計算してプレミアムを創出するなどといった技法を使用します。



 以上の3要因によってX氏は②男性投資家から支持を得られず様々な機会を逃し、それでも何とか投資希望銘柄を見つけるも①粉飾により自分に対して不要に高いハードルを課してしまい他投資家より高コストを支払うものの、万が一うまくいったとしても③ドキドキというプレミアムを放棄してしまっていることにより「つまんない」「重い」と向こうが保有意味を見出せずに短期で損切り、という最悪のデフレ・スパイラルに陥っており投資のパフォーマンスがしょぼいという結論に至る、ということだと私は思います。

 いかがでしょうか。各要因意外に気を抜いていると誰しもやってしまいそうなことばかりです。特に素直で優しい人は該当しやすい傾向のようです。投資家たるもの常に冷静かつ客観的に。わかっていても難しいんですけどね。



 さて次回は一転して、日経でおもしろい記事を目にしましたのでそれを取り上げてみようかなと思います。

TheTimeIsRipeforInvestment30「総合~リスクと粉飾~②」

2006-11-20 09:15:20 | ご隠居のフォルダ
 寒すぎて毎日早起きまいどどうも、ご隠居です。私は寒国の生まれなので、寒さにはめっぽう強いと自負しておりましたし、事実そうだったのですが最近どうもそれが崩れ去って来ているような気がします。今となってはスーツと大差ないような制服で氷点下をどうやって元気に走り回れていたのか忘れてしまいました。

 さて、前回の続きです。X氏の分析でしたね。分析というのは、何をどのような観点から取り上げるかで結果は全然違ってきますし、これといった単一の正解があうわけでもありません。ということを前置きした上で、私なりの結論を提示したいと思います。

問題:何故にXは投資成績がよろしくないか。

結論:①粉飾決算、②同性投資家からの支持欠如、③プレミアムの放棄の三点による負の連鎖の為。

以下、説明していくとします。
①粉飾決算…以前にやったような「おれはまじすげぇ」系ではなく、財務に関する粉飾決算です。早い段階から投資予定案件に必要以上に出費をする=本来の自分の資金力に見合った出費ではない→粉飾という流れです。
 まず投資の観点からみれば、銘柄取得に対するコストは少ないほうが効率的であるのは当然です。しかし、怖いのはそこではありません。即日取引で利益を狙うデイトレに対してのこの手の粉飾はまだいいのですが、彼のように長期投資を臨む案件に対しては、(うまく取得できた場合)その粉飾をずっと続ける必要があるということです。自分で自分の基準をきつめに設定してしまっているのです。ここで仮に粉飾を辞めた場合を考えてみれば、基準以下となりますから「は?こいつ何手抜いてんの」と思うことになります。
 具体的には貧乏と分かっている男Aと割り勘のケースと、いつも必ずおごってくれる男Bが「今日半分頼むわ」といったときのケースの受ける印象の違いです。

 仮に彼がポジションを取れた(保有できた)としても、その保有には一般の投資家よりも高いコストが必要なのです。しかもそれを自分で設定しています。これが第一要因です。

②同性投資家からの支持欠如…これは文字通りです。投資予定案件を人生最優先にするために、周囲をぞんざいにするということです。いわゆる「だめんずうぉーかー」女性投資家に見られやすい傾向ですが、まれに彼のように男性でも存在します。
 投資家仲間というのは投資の世界では最も大切なもののひとつです。自分のみでは知りえない有力な情報を頂いたり、流したりと自分の投資の視野を広げるのには欠かせないものです。そのような貴重な投資家仲間より、成功するかどうかも短期で決済しなければならなくなるかもしれないいち投資銘柄を優先するということがどれだけ逆に非効率であることか。
 たとえば。一般に女性の投資家は聡明ですから客観的に銘柄を把握するためにヒアリングをするということがよくあります。自分にはいい顔をしているのかもしれないために第三者にお伺いを立てることでそれを判断する、いわゆる「粉飾破り」です。このとき、もしXに失礼な扱いを受けていた人間がいたとして「うーん、あいつは女には優しいけど、男友達からみるとちょっとねー」などと言われた日には悲惨ですね。①の粉飾は高いコストを支払っているにも関わらず、もはや効果は減少の一途です。
 あるいはあなたの耳に出資して欲しい会社すなわち彼氏欲しいわという人がいるという情報が入ったときなどはどうでしょう。いい銘柄だと思えば自分で投資するというのもよいでしょうが、今はポートフォリオに組み込む余裕がないときは誰かに紹介しますね。私ならば、同性投資家を低く置くような人間はまっさきにこの紹介リストから外します。
 完全合理なようにみられがちな投資の世界ですが、このように一見そうではないように見えるつながりが大事であったりします。

 参考までに、私見ですが同性投資家についての男女の違いについて。
 男性から支持されない男性投資家は大概小物ですが、女性の場合は男性よりは投資を優先させることにたいして寛容な土壌があるように思います。女性から全く嫌われてるのに男性から注文は多い、という状況も起こりえます。


 ③プレミアムの放棄、に関しては若干長くなりそうなので今日はここまでにさせていただきます。

TheTimeIsRipeforInvestment29「総合~リスクと粉飾~」

2006-11-19 20:01:55 | ご隠居のフォルダ
 またまた忙殺されて放置してしまいましたまいどどうも、ご隠居です。

 さて、今日はケーススタディです。ご存知の通りケーススタディというのは実際に起こった事例を題材に学ぶ方法のことです。それではみてみましょう。

 今回の登場人物はXという成年です。問題は「投資成績が全く振るわない」。その原因を探してみましょう。
以下箇条書きでXの属性を列挙していきます。
スペック:外見は普通。ただし財務諸表上(内面)は割と優良企業
・気になる女性ができると猛アプローチ
・しかしはっきり取引の意志を伝えるわけではない。具体的には電話をひたすらかけまくる等
・投資(予定)対象が最優先事項。従って周囲の投資家仲間などの扱いはぞんざいに。
・上に関連して投資(予定)対象には金を惜しみなく出す。普段は極けち。特にいうことも可能な限りを少し上回るくらいいうことをきく。
   ・
   ・ 
以下大量に割愛。

 さていかがでしょうか。おそらくここまで学習してきたみなさんでなく一般の人から見ても絶望的に成功から逆走しているのがわかるかと思います。非常に好例なケースですので、どこを取り上げてもダメなところだらけです。すなわち、ここで我々がすべきは、「~がダメ。こうしたらいいんじゃない。」など具体的なケースを上げるのではなく、具体→検証→一般というプロセスをたどることにあります。
 「こんなアホなことぼくはしませんよ」と思っていても、形はちょっと違うが本質的には同じ失敗をしてしまうことがあります。このようなことを、本質的な部分まで分析・把握してみようとすることで防げますねということです。


 本日はあらすじを示して一旦区切ることとします。

 彼の失敗を一言で表すとすれば致命的マーケティングミスです。
・そのミスとはどういったミスか?
・なんでそのミスに陥るか?
 具体的にダメなところをピックアップしていって、それらどれにも当てはまるこの問いふたつの答えを考えてみて下さい。正解はもちろんありません。
 それでは。