ンデンデキ外伝

僕の話をしよう。

それはフォークシンガーの歌のように

2006年12月16日 19時25分07秒 | 糞ぼやき関係
僕の家の近所には電車の駅があります。
歩いて5分くらいのところにある最寄り駅というやつです。

しかし、僕はその駅を使うことはほとんどありません。
二番目に近い繁華街にある地下鉄の駅を使うのです。

何故そんなことをしているのか。
それは、僕がその駅までの道のりを嫌っているからです。

僕の家は繁華街から少し歩いたところにある住宅街にあるのですが、除雪はあまり行き届いておらず、老年人口が多く、近所に新しくできた店はその多くが数年も経たずに撤退していく、ちょっと薄ら寂しい場所なのです。

気が滅入るような説明のしかたをしましたが、この街の本当に栄えている中心部に住んでいるわずかな人を除いて、どちらさんも家の近所はこんな感じなのかもしれません。
ひょっとしたら家の近所なんてまだ全然ましなほうなのかもしれません。

その最寄り駅に行くには、その僕の嫌いな薄ら寂しい町の奥に進んでいかなくてはいけないのです。

近所の小母さんの社交場となっている美容室、小学校の同級生の子の家がやっているラーメン屋、古ぼけた歯医者、バタ臭いブティック、それに闇がかかりきる前の薄い青に染まった雪道、どれも僕の嫌いな光景なのです。

僕は基本的にこの街が好きなのですが、とにかく物寂しい光景というものはなんだか怖くて、落ち着かなくなり、無性にイライラしてしまうのです。

僕が好きな光景は、大きな看板が立ち並び(それも最新のもの)、電車の高架が入り混じり、空なんてほとんど見る価値がないようなそんな場所であり、僕はビルの放射熱で汚らしく雪解けした道を歩くのです。


寂れた町からは僕を縛り付ける引力のようなものを感じるのです。
町そのものが僕の夢やら向上心やら欲望だとかいったものを全て否定しているように感じることがあるのです。


うらざみしさを恐れる人
うらざみしさから逃げる人
うらざみしさに懐柔される人

全て僕のことです。

吹雪の中でもなお一人立ち尽くし、一点を見つめ続ける強さは未だない。