kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

キック・アス

2011年02月16日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:2月15日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:A4版700円。この内容で700円はちょっと割高感。

【以下、ネタばれあり。さらに一部の人を揶揄しているのかのように取れる表現もありますが、そういった人たちを否定するものではありません。】

広島に来る前から前評判の高いアメコミ映画。ウチの奥さん情無用のジュンコも見たがっていた。

ベッドより図体の方がでかく、下半身にエネルギーが集中しまくっている成長盛りの高校生が、スーパーヒーローに憧れ、何のパワーもないのに覆面ヒーロー「キックアス」を名乗り、世の悪を正そうとする。
一方、犯罪組織に陥れられた元警官は小学生の娘に「子連れ狼」ばりの殺しの英才教育を施し、「ビッグダディ」と「ヒットガール」として組織への復讐を果たそうとする。
さらに、「レッドミスト」なるヒーローも登場し・・・。

さて、この映画を心底、楽しめて面白がれる観客なんてどれぐらいいるんだろう。

もちろん、映画としては面白い。話の緩急のつけ具合はいいし、悪いヤツはバタバタ殺される。(ヒットガールの人気急上昇も当然だ。)さらにほろ苦く味わいのある青春映画でもある。

ところが、より笑える部分というのが、オタクな青年やちょっと頭のネジがはずれたオヤジがヒーローの仕込みをする場面であって、その辺はまるで高校生の頃、ヒーローに憧れて似たファッションをしていたり、そのまま大きくなってマカロニ大会で「当時の扮装を再現する」ことに専念している自分を見ているかのようで、楽しくもあり気恥ずかしいものもあるのだ。

逆に主人公たちの行動を単純に笑える人はオタクの楽しさと哀愁を知らない人たちだろう。オタクもしくはそれに近い人種を頭ごなしに否定する人(←周囲に少なからずいる。)はオタクが恋愛を知り、人生に新しい価値観を見出す場面に感動できるのだろうか。

そうなるとこの映画を何の抵抗もなく、心の底から楽しめるのは、本当にヒーローの扮装をして、本当に悪いヤツをブチ殺して、仮に逮捕されたり殺されたとしても親や親戚縁者、友人が悲しむ姿を見ることに何の呵責も感じない人だろう。

つまり、とても複雑な心境になる映画なんだな。(そこが最大の魅力でもある訳だが。)

とはいえ、映画的なくすぐりは満載で、例えば、「バットマン・リターンズ」でバットマンがキャットウーマンに正体をあかした時、何のメイクもない顔だったので、「おいおい、目の周りは隈取りしているはずだろう!」と劇場で突っ込んだ身には、ビッグダディの念入りなメイクは変なリアリティがあったし、拷問道具に万力を使うのは「カジノ」みたいだし、意味もなくジョン・ウーの劇場映画第1作を質問したりと、ず~っと笑える。ビッグダディが「28日後」をBGMに1シーン1カットでギャングを皆殺しにする場面も大好きだ。

特に「夕陽のガンマン」のテーマでヒットガールが殴り込みをかける場面は全身総毛立つのだが、マカロニ野郎にはあの曲は国歌として脳内の刻み込まれているので、かえってあのシーンがあとあと印象に残らないんだな。(この辺、タランティーノは微妙にツボを外す選曲センスなので、逆に彼の映画としての印象が強烈に残る。)

ただ、キックアスが最後に、成り行きとはいえギャングを殺してしまうのは、後味が悪い。彼には「イタいけど、現実」の人間であって欲しかった。

ところで、サロンシネマでは上映の待ち時間に上映作品のサントラを流すんだが、今回は「荒野の用心棒」と「夕陽のガンマン」。興奮しなくてもいいところで、無駄に興奮してしまったよ。(笑)






題名:キック・アス
原題:KICK ASS
監督:マシュー・ヴォーン
出演:アーロン・ジョンソン、クリストファー・ミンツ=ブラッセ、マーク・ストロング、クロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ


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