kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

永遠のゼロ

2014年01月09日 | 邦画
日時:1月8日
映画館:八丁座

これが今年の観初めとなりました。年末年始はワタシ好みのクセのある映画がやっていないので、観初めを急ぐあまり、勢いなところもあったかな。

とはいえ、前評判も感想も良い本作、出来のいいバランスの取れた映画になっている。

孫世代が戦争で亡くなった祖父を調べていくという謎解き仕立ての展開が良くできているし、さすがにリサーチも深い。(チラっとVT信管についても触れる。)
特に話の要となる太平洋戦争のシーンが素晴らしい。だいたい、この手の映画では戦時中の資材の保管や映像技術の問題があって、こういったシーンになると一気に白けてしまうことが多かったが、実寸で再現された零戦、そしてCG技術とは恐ろしい。

すでに別映画で前例のあったアリゾナの爆砕をはじめ、加賀(蒼龍?)の被弾、高射砲で撃墜される零戦、そしてP-38、P-51、ヘルキャットなどとの空中戦にいたっては戦争映画好きとしては今まで見たくても見ることが映像だっただけに作り手の意気が感じられる。息を飲むシーンが続くので、映画として中だるみすることがない。(そう思うと「聯合艦隊司令長官 山本五十六」のふがいなさが・・・)

ところが映画、特に戦争映画好き、そして戦記好きのワタシとして、涙が止まらないほど泣けたかと言うと実はそうではなかった。

よく出来た映画でバランスもいい。登場人物は戦争についてのそれぞれの考えや人生観を反映させていて、彼らの気持ちもよく分かる。極端な悪役も登場しない。しかし、その当たり障りの無さが物足りないのかも知れない。

これまで数多くの戦記や戦争映画に接し、もっとひどい話や胸を締め付けられる話に触れてきた。逆にそういった中で人間の本質みたいなものが見えたような気もする。(実体験しない中で単に無神経になっているでは?という批判もあるでしょうが。)

過去の映画で泣け、感情移入できたのはもっと生々しい、ダメな登場人物に対してだったし、人間の本質を垣間見たのは水木しげるの「総員玉砕せよ」で玉砕を命じた指揮官がのうのうと生き残ったというエピソードだった。

この映画、特に主人公が部下を特攻に送り出すことで憔悴していく過程にもっと生々しい部分が見えると泣けたのかも知れない。

なかなか書きようが難しかったのだが、こういった映画を若い世代を観て、自分の親・祖父祖母世代に戦争があったことを実感し、感心を持つというのは良いことだと思うし、ヒットするのはさらに良いことだと思う。4回連続のスペシャルTVドラマになって、もっと多くの人が知って欲しいくらいだ。

そう思うと旧陸軍だった亡義父にもっと話を聞いておくべきだったと悔やまれるのです。






題名:永遠の0
監督:山崎貴
出演:岡田准一、三浦春馬、井上真央、吹石一恵、風吹ジュン、夏八木勲、橋爪功、山本學、田中泯、染谷将太

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