kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

エルネスト

2017年10月20日 | 邦画
日時:10月18日
映画館:シネツイン
ウチの職場近くでもロケしていたチェ・ゲバラの映画。
映画は大きく分けて、チェ・ゲバラの広島訪問、日系ボリビア人フレディのキューバ留学、フレディのボリビア戦記の3つのパートに分けられる。

最初の広島パートは身びいきがあるとしても、見事な出来栄え。可能な限り再現された60年前の平和記念公園訪問は涙が出て来るし、新広島ホテルを再現した美術は本当に素晴らしい。(「24時間の情事」を参考にしたらしい。)

広島人ならぜひ観るべきだ。

続いて、キューバ革命間もない頃にボリビアから同国に留学した日系人フレディが主人公となる。医学を学ぶ彼はボリビアの現状を憂い、カストロやゲバラの革命精神に触れていく。

だが、最初のパートとどうもつながりが悪い。フレディの身の上話が長く、ゲバラとの接点も思ったより少ない。ボリビアの現状も語られるが、映像的に弱いので惨状が伝わらずフレディの決心につながらない。革命賛歌のシーンもあるのだが、唐突感が拭えない。

フレディはその後、ゲバラ同様にボリビアでの革命活動に身を投じるが、圧倒的に不利な状況下で追い詰められて・・・

ボリビアでの革命闘争もあまり描かれず、肝心のチェ・ゲバラがキューバの大臣職を辞して、ボリビアでの革命闘争に身を投じたことがほとんどわからない。ボリビアの軍事政権、バリエントス側の悪行が描かれないので、フレディやゲリラの革命精神が見えないし、キューバとボリビアの関係に馴染みの薄い日本人にとっては、かなり話がわかりにくいではないだろうか。

これがもっと「赤い」監督だったりしたら、革命の闘志に燃えていく青年たちとして描いたのではないかと思うし、たぶん、その方が面白かったのではないかと思う。
70年代映画にあった理想主義と熱狂を観てきた者としてはパワー不足だけが目についてしまった。

ちなみにボリビアでフレディやゲバラの反対側にいたのが、ナチ戦犯のクラウス・バルビーであり、その顛末を描いたドキュメンタリー映画「敵こそ、我が友〜戦犯クラウス・バルビーの3つの人生〜」はムチャクチャ面白いので、一見をおすすめします。

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