やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

↓投票ボタン押してね

blogram投票ボタン

呪いアプリー96話

2012-08-02 07:14:16 | 小説
「つまり・・・妖術を持っていると?」

「わしのことを、皆が力があると言う。しかしそれは本来『ひと』が持っている力を最大限に出しているからじゃ。それを出すための修行も積んでおる。そのお方も同じ。修行なんじゃよ」

「私にも出来ることですか?」

「もちろん。業を重ねればな」

「そのたいらのただひとと言う方はどこに居られるのでしょう?」

「わしにもわからん。風や野に隠れて住んでおる。移住も常にしとるらしい」

そう言うと住職は紙と筆を取り出した。

さらさらと文字を書く。

『平忠人』と書かれた紙を差し出された。

「この人物じゃ。たぶん・・・・移住地はない。。。所謂、浮浪者と同じ類かの」

そう言うと少し笑った顔を見せた。

直ぐに引き締まった眼光で、住田に言う。

「わし亡き後は、この人物を頼る以外ない。早く、早く探すのじゃ」

住田は深々と頭を下げた。

畳みに額を押し付けるように。


住職よりも徳を積んでいると聞いたので、年齢は遥か高いと思ったが、意外にも若いと住職は言う。

それでも40そこそこだ。

住職やその弟子達は、もはや寺から出ることは死を意味する。

この捜索は住田や頭前しかできない。

警察には幾ら言っても、動かないだろう。

住田は頭前に電話を入れようとしたが、携帯を見つめたまましばらく考えた。

そのままポケットに仕舞う。

頭前には伝えずに自分で探そう。

そう決めた。

頭前にはアプリを調べてもらった方が良いと、考えたからだ。

それにこれ以上頭前に、『自分が居た為に』という言葉を重ねさせたくなかった。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする