カイゾーのブログ - Kaizo's Blog

くだものナイフを片手に一人悪の組織と戦いつづける少年の日記(嘘)

夢を与える  綿矢りさ

2008-06-09 22:25:24 | 綿矢りさ
夢を与えるとは、他人の夢であり続けることなのだ。だから夢を与える側は夢を見てはいけない。

役者という誰もがあこがれる職業。幸か不幸か幼くしてその職に就いてしまった少女の物語。ある意味における人生の成功者をここまでかというほどに貶める。プラスのベクトルとマイナスのベクトルを同じ人間に同居させ、一次元的な良し悪し、単純な世界観を徹底的に排除する。平家物語の諸行無常か、ニーチェのニヒリズムか。とにかくそういう単純明快な読んで面白い物語ではない、学問に近い形の、文学的なものを目指した作品だと思います。
 でも、そこに綿矢氏の芥川賞最年少受賞というブレイクを被せて見てしまうのは僕だけではないでしょう。確かに幸せは地位とか名誉とか肩書きに完全に比例するものではないでしょうが、果たして彼女は芥川賞最年少受賞についてどう感じているのでしょうか? 彼女自身はもちろん物事を客観視する力を持っています、というか持ちすぎているくらいですから、まさか受賞しないほうがよかったと思っているとは思えませんが、その辺のところの本音トークを聞きたいところです。
 あと製作ペースがゆっくり目なので、次作を激しく期待します。大学も卒業しましたし・・・

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