副島隆彦著「金融市場を操られる絶望国家・日本」をよみました。
2014年4月ですからまあ、そこそこ新しいといってもいいかもしれません。
氏の著作、昔は書店に並んでいるのをみつけると、そのままレジ直行ということもありました。
しかし、冷静に考えると立ち読みですむレベルですよね。
というのも、副島氏の予測は、まず、あたりません。
今回も短期の予測ははずしています。
このブログでも紹介しましたケーシー・リサーチのCRASH2014と同じようなものです。
「これこれだからこうなるはずだ」という仮説をバックテストを行わずに予測します。
なので、相場をやっている人が副島氏の著作を読むのは危険です。大火傷します。
副島氏は過去、似たような状態下で何がおこったか、綿密な検証を一切していません。
不作為を「私は予言する」的な言辞でごまかしています。
そう言えば、オバマ大統領の暗殺あるいは任期途中での辞職をあれほどまで強く主張していました。
ですが、オバマ大統領暗殺、ヒラリー女史の大統領就任の気配はありません。
つまるところ氏の予測は極端すぎるのです。
なにより気に、相場解説が、かなりいい加減だということ。
以下の記述はでたらめもいいところ。
「それでもファンドマネージャーたちはひとり1兆円くらいをうけおっているのでわずかな値幅でもかさがあるので利益をだせる。前場で買って後場で売る。オーバー・ナイトする勇気さえない。この「小さな乱高下を繰り返して生き延びる」という動きが今の株式市場である。」
東証の一部二部マザーズあわせて2014年末で496兆円しかないのですよ。この本の執筆された2014年3月は444兆円です。一人1兆円なんて巨額資金を運用するファンドマネージャーがいるわけないでしょう!
野村證券が昔、一兆円ファンドを立ち上げました。そのときも大勢のチームで運用を行いました。それでも運用資産の総額は7千億円程度だったと記憶しています。1兆円という金額は莫大です。一人の人間が売り買いする金額ではありません。
氏は証券会社の自己売買部門のことか指数先物をあつかうヘッジファンドのことをいっているのでしょうか?であれば、文末の「今の株式市場の動きである」という文章は誤りです。先物市場と書くべきでしょう。これらは経済の知識は必要とされません。ごくごく当たり前の投資の種類の話です。経済の専門家ではないから、という言い訳は通用しません。
おそらく副島氏の取り巻きにはきわめて質の低い業界の人たちがいるのでしょうね。
ローレンス・サマーズ氏のロイターからの引用と副島氏の解説の結びつきもまったく意味不明です。どうやったら副島氏のいう説になるのか、何度よんでも理解できませんでした。
本を書いて食べている以上、短期予測でまわしていかなければならないというのはわかります。
が、もうちょっとロジックにのっとってキチンとした本を書かれてみてはいかがでしょう。
副島本を投資の参考にするのは危険です。まだ長谷川慶太郎のほうが安全です。副島氏のやり方はそれこそ童謡の「まちぼうけ」です。いつかの金大暴騰と株大暴落と預金封鎖に備えてポジションを構え、その日がくるはるか手前でスッテンテンになってしまうでしょう。
文字通りスッテンテンになってしまった松藤氏と同じ匂いを感じます。