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すがやみつる著「仮面ライダー青春譜」読了。

2011-08-23 19:05:48 | 日記・雑文
今月18日に発売になった書籍です。



タイトルに「仮面ライダー」とついてはいるけど、仮面ライダーの話はそんなに多くないです。このタイトルはデビュー作でもあるし、作者がマンガ家としての青春時代に、最も必死に取り組んだ作品であるからという理由でつけられたとの事。
だから、仮面ライダーについて書かれた割合は多くないけど、中身は濃い。当事のライダーブームがどれだけ加熱していて、石森プロがどれだけ凄い仕事量だったか等、当事の苦労が色々と書かれています。

全体的にはすがや先生の石森プロをやめた辺りまでの自叙伝となっており、また60年代、70年代のマンガを取り巻く環境や時代の雰囲気といったものも感じ取れる、仮面ライダーには興味なくても、マンガ家の生態や苦労話などに興味ある人には充分面白い本になってます。
色々なマンガ家の名前も出てきます。
子供の頃から経済的な事情もあって、「食べるため」にマンガ家となったすがや先生は、生活するためという事が根っこにあるためかマンガ周辺の職業に就いたりしてたのも興味深い。
何せ、編集も出来るマンガ家なんて先生以外に誰がいるのか全くわかりませんし(そもそもいるのか?)
編集なんて仕事してたせいで、『ワイルド7』の原稿トレスした事あるとか、宮谷和彦先生の原稿を受け取りに行った事あるとか、ジョージ秋山先生は編集として原稿受け取りに行ったり後でアシスタントになったりとか、赤塚不二夫先生の原稿取りに行ったらソープ嬢が尋ねてきたとかw、何かわからんが面白いエピソードだらけ。
ジョージ秋山先生の豪快さには感心しますよw


細かい内容は実際読んでもらうのが一番ですけど、マンガ単行本の出来るまでとか、当事の出版状況とかの片鱗も垣間見えて、自叙伝としてとは違った角度からの面白がり方も出来るのが素晴らしいです。
で、割合はそこまで多くないとはいえ、やはり『仮面ライダー』というか石森プロ時代について書かれた章はとにかく読み応えがある。当然、すがや先生はマンガ家だった訳ですから、マンガの『仮面ライダー』についてのエピソードがほとんどなんですが、雑誌にとっても仮面ライダーがどんなにありがたい作品だったかが分かるってなもんですなあ。
ついでにいかにテレビ製作もマンガ製作も切羽詰っていたかも分かりますがw
自分はなんとかギリギリ、テレビマガジンや冒険王などで仮面ライダーのコミカライズを読んだ事がある世代であるけど、子供の頃はあんなに裏側が大変だとは知らないですからねえw

元々はすがや先生がネット上で発表した文章に加筆訂正を加えたものなのですが、書籍で読めるという喜びはやっぱりネットで読むのとは違った感動があるものですねえ。
石森先生や松本零士先生のサインとか結構貴重なモノの図版も載っております。

トキワ荘メンバー以外のマンガ家の話というのはもっと色々あっていいと思うんですが(すがや先生は石森プロにおられたんので、トキワ荘系になるとは思いますけど)

ともかく、マンガ好きなら読んで損はないかと。自分は面白くて一気に読んでしまいました。

出来る事ならコロコロコミックで『ゲームセンターあらし』を描いてた頃のエピソードや(本当にちょっとしか触れてないのです)、同じ雑誌の看板であった藤子不二雄先生についての文章なども読みたかったですが。


エピローグ、そして「あとがきに代えて」はもはや高齢の部類に入ってしまったマンガ好きとして、本当に色々と考えさせられます。


1900円+税という少し高い本だけど、それだけの価値はありました。




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