訪問医療の事業所で紹介してもらった認知症患者の対応に慣れた施設に空きが出たので、そこにお願いしました。
急なことで、まだ私自身あまり信じられないでいます。
夜中も家の中を動き回るので、私の朝はまず廊下、台所、トイレ掃除で始まります。
台所はお腹が空いて冷蔵庫の中から取り出した料理の残りやジャムがこぼれていますし、トイレの失敗も一か所ではないので結局一階のあちこちに被害が広がってしまいます。
特に、息子が週末名古屋に来ているときには必ず。
出て行こうとするときに体に触れると「触ると倒れる、危ない危ない危ない!」「痛いー、痛い―」「助けて近所の人ー」「ぎゃあー」と叫びます。
その声は外まで聞こえていて、ご近所の人が様子をうかがうほど。
声だけ聞いたら老人虐待ですよね・・・。
かといって外に出るとあちこちにすがりながら進むので1時間経っても家から何メートルも進んでおらず、そこから通りがかる人に声をかけては「助けて」「警察を呼んで」(自分は家に帰りたいのに息子の家から帰らせてもらえないから)と訴えます。
夫や私が、姑に「帰れ」「あっちへいけ」と言われながら何時間もついていき、姑が声をかけた人にひたすら謝り続け、それが姑が空腹になるかトイレに行きたくなるまで続きます(その時は家に残っているほうが車いすを持ってきて、乗せて戻ります)。
お正月は一日の早朝から姑が家を出て行ったので、お節やお雑煮は昼過ぎにようやくいただけました。
大みそかの夜は夫と二人掛かりで姑の入浴を介助し、「気持ちよかった、いい年越しになったわ」と上機嫌で寝たはずの姑は、翌早朝コートを着込んで玄関ドアに手を掛けていました。
そしてお正月からは近所の人も出てきて家に連れて帰るのに協力してくれるようになりました。
週明けに私が施設に顔合わせに行って持って行くものを教えてもらい、買い集め、名前を書いて施設に車で運び、それでも本人が嫌がったらまた次の機会を待つしかないと覚悟しました。
こういう話が進んでいる間も姑の日常はいつもどおり繰り返され、そうじと介助と怒られるのと料理とを繰り返してなんとか自分の体調は薬で持たせる日々が続きました。
訪問診療の精神科医が姑の最近の状態を聞いて「かなりひどいなあ」と言いつつ、「嘘をつくわけにはいかないから、施設に行って刺激を受けたほうがいいよという話をする」と言って姑に会いました。
そして「この前、夜に出かけようとしたんだって?今日は天気がいいから外に出てみない?」と言った時、ふと姑が「そうですね」と立ち上がり、そのままどんどん玄関に行ってコートを着て靴を履き、様子を見に来ていた施設の職員が「私が手を貸しましょう」というのに従って施設の車に乗り込んでしまい、そのまま施設に行ってしまいました。
あとにのこった私とお医者さん、看護師さん、ケアマネさんの4人はぽかーん。
「施設ってことは何も言ってない」
「散歩しながらそういう話をするつもりだったのに」
「でも一度戻ってまた話をして出てもらうなんてすごく難しい」
「そしていくら話しても絶対に納得して行くことはない」
「ここはひとつお嫁さんが病気で料理もできないので、ということでしばらく施設で暮らしてもらうってことにしよう」
なんとなくみんなこれでいいんだろうかという気持ちを抱えつつ、お医者さんと看護師さんは帰り、ケアマネさんは(私が病気という建前上施設に顔を出すわけにいかなくなったので)代わりに直前まで使っていた追加の入所荷物を届けてくれることになり、私は自宅でボーゼンと座り込みました。
・・・姑は施設で素直に車から降りておやつを食べ、夕食もいただいて、部屋で嫁病気の説明を聞き、「帰りたい」と涙ぐむことはあったそうですが、そのまま寝たそうです。
翌日夫が施設に言って様子を見たときも、普通だったそうです。
さらに次の日入居金を持って行ったところ、姑はテレビが不調だとクレームしたそうですが、帰るとは言わなかったそうです。
クエン酸スプレーも紙パンツ用ダストボックスも不要です。
姑が振り回すと危ないと2階に片づけていた工具類も一階に戻しました(窓を金づちでたたき割って出る、と言われていたのです)。
3日ほど脱力して動けなくなっていましたが徐々に回復してきて、昨日はカリグラフィー教室に行き、帰りにデパートのチョコレート売り場をのぞいてきました。
今日はヨガ教室に行きました。
明日は病院で、明後日は運転免許の更新に行って来ます…いつまた行けなくなるかもしれませんから!
そうです、夫は姑が「だまされた!」と爆発して騒ぎ出し、追い出される可能性がかなり大きいと見積もっています!