英語と書評 de 海馬之玄関

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密約と民主主義の正常な関係(上)

2010年04月16日 16時36分01秒 | 日々感じたこととか



些か旧聞に属しますが、所謂「米軍艦船による核持込密約」を俎上に載せた海外報道を紹介します。而して、この記事を批評する私の切口は「密約と民主主義」。蓋し、本編記事タイトルでも想像できると思いますが、私は「すべての密約が民主主義の理念から見て否定されるべきだ」とは考えません。このことを念頭に置きながら当該の海外報道を読んでいきたいと思います。

紹介する報道の出展はNew York Timesの”Japan Says It Allowed U.S. Nuclear Ships to Port”「核兵器を搭載した米軍艦船の入港を容認していたと日本政府が認める」(March 9, 2010)。New York Times東京支局長Martin Fackler氏の署名記事。あの有名な反日支局長のOnishi氏の後任の方。

而して、(イ)Fackler氏が(普天間問題で米国世論が鳩山民主党政権に爆発寸前の現在でも)極めて稀な民主党応援団の一員である経緯、そして、(ロ)国際法の観点からは、「米軍艦船による核持込の密約」なるものは<密約>などではないこと(要は、日米の協定を読めばソ連も支那も、英国もフランスも「核兵器を搭載した米軍艦船の日本領土内の港湾施設に入港すること」は当然のことと考えていたこと)、よって、例えば、所謂「非核三原則」の提唱を主な理由とした佐藤栄作元首相へのノーベル平和賞授与は今回の「密約暴露」によっては、少なくとも、国際的には何の影響も受けない経緯、更に、(ハ)日本の核武装と現行憲法を巡る私の考え、および、(ニ)民主主義に関する私の基本的理解。この四点に関しては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。

畢竟、所謂「公開外交」なるものの限界性の根拠たる「国内政治モデル」と「国際政治モデル」の差異は、実は、国内政治においても認められるのではないか。この点が本稿で皆さんと一緒に考えたいポイントです。


・民主党政権を評価する稀有な海外報道
 ☆鳩山政権は脱官僚支配ですでに成果を上げている?(上)~(下)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/173c8e13dd8de17412d95d663172765e

・「佐藤首相は米国に対支那核攻撃の準備を要請」
 ☆核兵器の物神性から自己を解放して日本は可及的速やかに核武装に着手せよ(上)(下)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/ea1566cafe61a2a162194a06568ee847

・核武装反対と核武装研究の同時推進論
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-104.html


・護憲派による自殺点☆愛敬浩二『改憲問題』(1)~(8)
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-25.html


・民主主義--「民主主義」の顕教的意味
 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/a11036903f28f118f30c24f1b1e9f2bf

・民主主義--「民主主義」の密教的意味 
 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/0364792934f8f8608892e7e75e42bc10





Japan ended decades of denials on Tuesday by confirming the existence of secret cold war-era agreements with Washington that, among other things, had allowed American nuclear-armed warships to sail into Japanese ports in violation of Japan’s non-nuclear policies.

The existence of the pacts, known in Japan as the “secret treaties,” has long been known from declassified documents in the United States and the testimony of former American and Japanese diplomats. But successive prime ministers denied their existence, turning the agreements into a symbol for many Japanese of how Liberal Democratic governments had turned their country into a stunted democracy run without full consent by the public.

After ending the Liberal Democrats’ nearly unbroken 54-year grip on power last summer, the new Democratic Party government opened an investigation into the pacts as part of their promised housecleaning of Japan’s postwar order. Exposing the truth about their nation’s secret dealings with the United States was also part of Prime Minister Yukio Hatoyama’s pledges to put Tokyo on a more equal footing with Washington.


火曜日【2010年3月9日】、日本が何十年間もその存在を否定してきた冷戦期の米国政府との秘密協定の存在を認めた。而して、他の一連の秘密協定の一つであるその問題の協定は、日本の非核三原則を破るものであるにかかわらず、核武装した米軍艦船が日本の港に寄港することを容認する取決めなのである。

この秘密協定の存在は、ちなみに、日本では「密約」と呼ばれているのだけれども、その「密約」の存在は、機密情報扱いから除外された公文書類、そして、日米両国の元外交官達の証言によってアメリカでは長らく周知の事実だった。しかし、日本の歴代の首相はその存在を否定してきたのであり、而して、その秘密協定は多くの日本人にとって、自民党政府がいかに民主主義が未発達な状態にこの国を止まらせてきたか、換言すれば、自民政権下においては、日本における民主主義がいかに一般の国民大衆からの同意、すなわち、十全な情報を与えられた上でなされた同意を欠いた所で運営されてきたかを象徴する事象になっていた。

昨夏、54年もの間ほとんど途切れることなく続いた自民党支配が幕を閉じた後、新しく政権の座についた民主党政権は、第二次世界大戦後の日本の支配秩序を大掃除するという彼等の公約を実現する一環としてこの秘密協定の調査を開始したのだ。他方、アメリカと日本が結んだ秘密協定が如何なる内容のものであったかを暴露することは、ある意味では、鳩山由紀夫首相が公約してきた、日本をアメリカとより対等な立場に立たせるという彼の方針の一部面でもある。
  


This fed concerns among some in Washington, particularly conservatives, that revealing the treaties was part of an effort by Mr. Hatoyama’s administration to push away from the United States.

On Tuesday, the foreign minister, Katsuya Okada, emphasized that exposing agreements made in the 1960s would not affect Japan’s current security alliance with the United States, which has some 50,000 military personnel based here. Rather, he said the investigation was about restoring public trust in the government by ending decades of dishonesty and backroom dealings by Liberal Democratic leaders. ・・・


日本の民主党政権が推し進める日米間の秘密協定の調査と暴露という動きを目にして、米国政府の中には、就中、保守派の中には、それらの協定の開示は、鳩山氏の政権がアメリカから距離を取ろうとする(push away from)試みの一斑ではないかという懸念を一層強くしている関係者も存在する。

しかし、火曜日、岡田克也外務大臣は、それら1960年代に結ばれた協定を開示することが、現在の日米の同盟関係に影響を与えることはあり得ないと強調した。ちなみに、日米間の安全保障協定に基づき、アメリカは5万人規模の将兵を日本に駐留させている。而して、岡田氏は、秘密協定の開示は現在の日米安全保障体制に影響を与えるどころか、秘密協定の調査とその結果の公表によって、この何十年かの間、自民党政権による不名誉な、かつ、密室での取決めが続いてきた事態が終わることで、一般国民の政府に対する信頼が回復しつつあると述べた。(中略)
    


Political experts agreed that exposing the pacts would have no immediate effect on the alliance with Washington, which in the early 1990s removed nuclear weapons from most of its warships.

However, they said Tuesday’s findings could push the Japanese public to face one of the biggest contradictions in Japan’s postwar diplomacy: the reliance of this avowedly non-nuclear nation on the United States’ nuclear deterrent for its security. ・・・


政治に詳しい識者もこれらの秘密協定の公表が直ちに米国と日本との同盟関係に影響を与えることはないと考えている。というのも、米国政府は1990年代の初頭にはその大部分の軍の艦船から核兵器を撤去したのだから。

他方、火曜日に公表された事実によって、日本国民は日本が抱える戦後最大の矛盾の一つに正面から向き合わなければならなくなるのではないかとも識者は見ている。その矛盾とは、すなわち、安全保障に関する限り、この日本という非核政策を名言している国が、実は、アメリカの核抑止力に依存しているという現実である。(中略)
   

<続く>



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