大阪歴史博物館で開催されていた川瀬巴水の展覧会に行ってきました。作品集を見て、そのうちに版画の実物を見たいと思っていたので、こんなに早く見られるとは思っていませんでした。自家用車で行ったのですが、高速出口を下りて直ぐだったので楽ちんでした。
チケットを買って入り口から入ると、何時もの展覧会となんか違うなーと感じたのは、お客さんの質というか種類というか、より真剣な感じ。男性の3人組が技法について論じ合っていたり、食い入るように見つめている人がいたり(邪魔なので追い越しましたが)、海外の人気画家の展覧会とはちょっと違うように思います。かといってお客さんが少ないかと言えばそうでもなく、混雑こそしていませんでしたが、かなりの盛況でした。
事前に予想していたより展示数も多く、画集の表紙でもあった「馬込の月」や色鮮やかな「柴増上寺」、遺作となった「平泉金色堂」も出展されており、巴水作品のベスト盤と言って良い内容だったのではないでしょうか。実物を見て感じたのは、やはり質感でしょう。かすれや紙の微妙なでこぼこが作品を立体的にしているように思います。印刷された作品集は、悪く言えばイラストや絵はがきのように感じることがありますが、和紙の上の風景は実在感があります。ただし、作品集の方が綺麗だと思ったのは、夜間の風景などでした。照明が控えめ(作品保護のためやむを得ない)なこともあり、何を描いてあるか良く分かんないみたいな作品もちらほら。ま、これはしょうがない。で、個人の好みによるベスト5(順不同)は、
「秋の越路」海を背景に稲わらを壁のようにして干している風景。海の青と稲わらの黄金色の対比が綺麗。
「春のあたご山」神社の裏で満開のサクラの下、子供たちが遊んでいる情景。サクラが綺麗。
「天草より見たる温泉ゲ嶽」雲仙岳の麓の畑地の連なりを描いた作品。畑ごとに微妙に異なる緑のつながりが綺麗。
「上州法師温泉」温泉にゆったり浸かるおじさん(本人らしい)。ゆったりとした気分がこちらまで伝わってくる。
「平泉金色堂」雪の金色堂に向かって修行僧が1人歩む。心までシンとする情景。