壁のポートレート

道端の壁が気になって写真を撮り続けています。
でもオーロラやら植物・風景などが最近多いですね。

ゴッホ展とリヒテンシュタイン展と京都散歩

2013年04月14日 | 美術館

 久しぶりに京都まで美術展を見に行ってきました。両方とも京都市美術館で開催中です。まずはゴッホ展。パリ時代のゴッホに焦点を当てた…ということで、晩年のいわゆるゴッホらしい作品は少なめですが、それでも、自画像数点は、空間が渦巻くおなじみのゴッホです。でも、気がついたのですが、自画像のゴッホはいつも同じ目をしていますね。おだやかな、というよりも、悲しそうな目。昔、NYのMoMAで「星月夜」に初めて出会い「ゴッホには星空がこんな風に見えていたんだろうか」と驚いたことを思い出しました。あの目には、きっと別の世界が見えているんだ。
 リヒテンシュタイン展では、気に入った絵画が幾つもありました。いかにもクラナッハ(父)らしい「聖エウスタキウス」。ヤン・ブリューゲルの「若きトピアスのいる風景」は近景から遠景への色彩の対比がドラマチック。ルーベンスの描く肖像画は表情が個性的でいつまでも見とれてしまう。肖像画といえばヴァン・ダイクの「マリア・デ・タシスの肖像」が素敵でした。当時の人気肖像画家と言われるのも頷けます。知らない画家で、気に入った絵もありました。フリードリヒ・ガウアーマンという人の「干し草車」です。家路を急いで干し草を積んだ荷馬車、馬が蹴立てるホコリ、空に向かって枝を広げる樹木、間もなく追いつくであろう暗雲、…幾つものパーツがドラマチックに画面に納められていて、見ているこっちまで、わー急がなきゃ、って気になります。
 天気も良いので帰りは美術館から京都駅まで歩くことにしました。どうせなら水辺を歩こう、ということで、三条通りまで白川をたどり、そこから鴨川沿いを歩いて、最後は森鴎外で有名な高瀬川沿いを歩いてみました。汗をかくほどではありませんが、空気は既に初夏の香りです。街中でこれほど自然を感じられる京都は良いですね。
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ミヒャエル・ゾーヴァと婆々娘々

2009年06月27日 | 美術館

 またまた美術展のはしごです。美術館「えき」KYOTOで開催している「ミヒャエル・ゾーヴァ展」と、大阪国立国際美術館の「婆々娘々(ぽーぽー・にゃんにゃんと読む)」に行ってきました。あっ、国際美術館の方は、3展覧会を同時開催していたから、全部で4つだ。
 ○ミヒャエル・ゾーヴァ展
 絵本の挿絵などで有名な方ですけれど、2001年のフランス映画「アメリ」で、主人公の部屋に飾られていた絵なども手がけたようで、映画を見た人なら「ああ、あの絵か」と気づく人も多いと思います。
 なんといっても動物の絵が、可笑しくて、可愛くて、ぶっ飛んでて、最高。牛がスケートしているし、豚が電線に留まっているし、サメは町の通りを泳いでいます。と言うと単なる漫画のように聞こえますが、絵の描写はしっかりしていて、主人公が人間じゃなくて動物であることにさえ目をつぶれば(無理ですが…)、いつの間にか美術品として鑑賞している自分に気が付くことになります。僕のお気に入りは2枚。ウィンスロー・ホーマーばりの荒海にシェパード犬が4匹ボートで漂う「船乗りがいない」と、前述のアメリに出てきた、エリザベスカラーを着けた「治療中の犬」がかわいい!
 ほかにも楽しい絵がいっぱいでしたが、完成してポスターや挿絵などに使用された後、彼は手直しを頻繁にするので、元の絵が残っていないこともあるそうです。会場で本人のインタビュービデオを再生していましたが、曰く、「完成した後も、少し気に入らないところがあると、少し上書きして直すのですが、少しだけのつもりが、どんどん増えていって、ついには全部上書きしちゃうこともありました。元の絵もそんなに悪くなかったので、後悔しています。」と、本当に後悔した様子で答えているのには、笑っちゃいました。芸術家ってのは、何時までも自分の仕事に満足できない人種なんですね。
 ○婆々娘々展
 「ぽーぽー・にゃんにゃん」という可愛い名前に騙されて、入場受付をくぐると、ノックアウトされますよ。作者のやなぎ みわさんは世界的に活躍する写真家ですけれど、今回の展覧会に出展された作品の多くは、老人の女性が主人公で、それも映画の1シーンのように魔女か山姥のように醜悪でグロテスクです。特殊メイクで形作られた容姿は老いを殊更に強調したもので、その表情も、積年の悪意を凝縮したように、ものすごく意地悪です。
 でも、不思議と嫌悪感は感じませんでした。逆に「老い」と正反するような「力強さ」を感じます。絵の題名はそれぞれローマ字で「MINEKO」とか「MIKA」とか書いてあるだけですが、その下に長々と原稿用紙1枚分ぐらいの、その女性のモノローグが綴られていますが、その「今まで生きてきた状況」が力を与えているのかもしれません。
 会場の入り口で、メイキングビデオを上映していましたが、これが面白い。メイクさんが2・3人がかりで、照明さんやら、大道具さんやら、エキストラがいっぱいで、なに、これ、映画の撮影? 最初写真を見たときに感じた、映画の一シーンのよう、という印象は正解だったわけだ…。
 ○ルーブル美術館展
 サブタイトルが「美の宮殿の子供たち」ということで、ルーブル所蔵品の中から子供に関係した美術品を選び出したようです。ちなみに、この展覧会が、今回の大阪国立国際美術館のメインです。ルーブルっていうと考古学的な出品物が多そう、僕の趣味とは違うな、と思ってあまり期待していなかったのですが、少女のミイラなんかがあったりして、大体想像通りでした。
 でも、お気に入りの展示も見つけました。一点はレノルズの「マスター・ヘア」。肖像画家として名高い彼の代表作だそうです。もう一点は、15世紀ブルゴーニュで作られた石灰岩による「聖母子像」。作者不詳で、取り立てて重要な作品でもないようですが、うつむき加減で、愁いを帯びたやさしい女性の顔立ちを見ていると、心が温まるように感じます。
 さて、もう一つの展覧会も見たのですが、さすがに、4つ目は疲れてしまって、流すだけになってしまいました。下は、京都に早く着きすぎたので、時間つぶしに大階段付近の写真を撮ったものです。壁写真家としては、一寸ごちゃごちゃしすぎなので、もう少しシンプルなほうが良いなあと思います。お前の好みなんか知らんわ、と建築家に言われそうですが。Dscf1531 Dscf1535
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美術館に行きたい

2009年02月08日 | 美術館

 このところ美術館に行ってない。たいてい1ヶ月に一回ぐらいは、何かの絵を見に行ってるのに、年末は旅行の準備で忙しかったし、最近は雪の写真を撮りに護摩壇山へ通っていたものだから、随分ご無沙汰している。
「あー、なんでもいい。ゆっくり絵が見たい!」
ちょっとした禁断症状に陥ったものだから、Webで今やっている展覧会を探してみました。
 そういうわけで、兵庫県立美術館の「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」に行って来ました。静物画っていうと、ブリューゲルの花の絵なんかを思い浮かべるのだけれども、やっぱりありました。ヤン・ブリューゲル(父)はやっぱり華やかで綺麗ですね。そのほかにもバスパレ・ロベスっていう人の絵が綺麗でした。精密画といって良いようなリアルな花が、細かく大量に描きこまれていて、画面に花をぶちまけたようです。通称ロペス・ディ・フローレ、花のロペス、と呼ばれているというのも納得できます。
 で、この展覧会の目玉は、ベラスケスの「薔薇色の衣装のマルガリータ王女」でしょう。順路の一番最後に、1枚だけ、絨毯つきの部屋に展示されていましたから。ウィーン美術史美術館といえばベラスケスのマルガリータ王女というぐらい、美術館を代表する絵ですから、よく貸してもらえましたね。制作年代により数枚あるようですから、そのうちの1枚ということかな。下に画像を載せておきますが、とても可愛いですね。
 さて、話は変わって、兵庫県立美術館は、安藤忠雄の設計であることが良く知られていますが、いかにも彼らしいコンクリート打ち放しの壁面があらゆる所に現れています。壁好きの僕にとっては、お気に入りの建物なので、ここへ来ると必ず写真を撮ることにしています。特にファサード(正面入り口)は、季節や時間帯によって光の当たり具合が微妙に異なるので、来るごとに違う写真が取れて面白いですね。美術館以外にも、神戸らしく綺麗な高層ビルや建物が多いので、写真を撮りながら帰ってきました。

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シャガール展+佐伯雄三展

2008年10月05日 | 美術館

 展覧会のはしごが定着してしまった。もともと2回に分けたら電車賃がもったいない、というのもあったけど、今回は無料招待券を貰ったので行かなきゃ損みたいな気がして…。僕って貧乏性。
 そんな事情はあれ、兵庫県立美術館のシャガール展は綺麗でした。「二つの顔を持つ花嫁 The Bride with the Double Face」や「ヴァヴァの肖像 Portrait of Vava」のように、シャガールは青と赤がとても印象的。僕の好きな画家を無理やり分類するなら、絵の好きな画家と色の好きな画家にわけられます。シャガールは、ミロやクレーと並んで後者の筆頭かな。
 そういう意味では、佐伯も色の好きな画家に分類して良いかもしれません。彼は暗い色調の絵が多いのに何故、と思われるかもしれないけど、その「黒」がとても綺麗。彼の黒には緑が混じっていて、黒というよりも、思いっきり濃度の高い緑色ですね。黒と見誤うばかりのグリーン。そして、もう一色、朱が少し混じったような明るいレンガ色。この2色が彼のパリの絵にとてもよく馴染んでいます。
 佐伯は、別の意味でも僕の好きな画家です。パリの下町等の建物の「壁」を多く描いていることがその理由。今回も出展されていた、その名も「壁 Wall」は、大阪市立近代美術館建設準備室の所蔵なので以前から何度か見ていますが、薄汚れた建物の壁(おそらくは漆喰)の上に佐伯おなじみの文字がかすれたように描かれているだけの絵に見えますが、動かしようの無い強い存在感を感じます。壁好きとしては、やっぱり惹かれます。
 佐伯はパリの壁を描きましたが、そういえば、僕も海外旅行したら建物の壁の写真を撮ったことがあるな、と思って探してみたらなんのなんの、ウワ-いっぱい出てきました。その一部ですが、上段はスウェーデンのキルナ、中段はアイスランドのレイキャビク、下段はロシアのサンクトペテルブルクで撮ったものです。
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ユージン・スミス写真展に行ってきました

2008年09月07日 | 美術館

 京都国立近代美術館で開催されていたW・ユージン・スミスの写真展に行ってきました。日本では水俣病の写真でも有名な方ですが、第2次世界大戦の記録写真は迫力がありました。もちろん、彼が言うところの、「私はカメラの向こう側にいたかもしれない」作り物ではない現実の世界である重みもありますが、どうやったら、こんな完璧な構図で写真を取れるんだ!と、自分の撮影技術のつたなさと比べて圧倒されてしまいました。比べるほうがおかしいですけどね。
 まあ、彼のような写真は無理ですが、美術館とその周辺で撮ったスナップを載せます。最後の写真は、スーパーで買ったモロヘイヤに花が咲いていたのを撮ってみました。どんな味がするか験そうと思ったのですが、炒めたらぐちゃぐちゃになって葉っぱと区別がつかずに、結局味は分かりません。
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モディリアーニ+モディリアーニ

2008年07月06日 | 美術館

モディリアーニ展が、大阪と姫路の2つの美術館で同時に開催されています。
青い目の首をかしげた女性像。神秘的で少し哀しさをたたえた姿は概ね素敵です。
これはやっぱり掛け持ちで行くっきゃない!
というわけで、8時発のサザンで出発。大阪環状線、JR神戸線を経由して、姫路駅に着いたのは10時半でした。
駅から歩いて20分、美術館は姫路城の中にあります。
姫路展で気に入ったのは2枚の絵、「手を組んで座る裸婦/Seated Nude with Folded Arms」と「おさげ髪の少女/Girl with Pigtails」。
先ほど「概ね」素敵と言ったのは、今まではやはり、絵が感じさせる哀しみが気になっていたのですが、前者の裸婦像で、モディリアーニの印象が変わりました。
幸せなモディリアーニ。
ルノアールのように天真爛漫な幸福ではないけれども、そこには確かに幸せが表現されています。ささやかだけれど、確固とした、生きることを肯定するような幸せ。
後者の少女の絵は、気に入って、図録のほかにポストカードを追加して買ったほど。(後で気がつくと入場券の半券も彼女でした。)
まっすぐにこちらを見つめる素直な眼差しは、純真で、どぎまぎさせられます。そういえばこんな目をした友人が居るなあ。愛想がなくて付き合い悪いけど。
壁の写真もちゃんと撮りましたよ。愛機が入院中なので、コンパクトデジカメで、お城の壁(石垣とも言う)とか、美術館の壁とか、街中のビルとか。ビルは新しすぎて面白くないけど…。
大阪の国立国際美術館のほうは、いかにもモディリアーニって絵がいっぱいあって楽しめました。同時開催の塩田千春展も面白いですね。作成する労力を想像するだけで圧倒されそうですが。
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