司馬遼太郎の「侍はこわい」に収録されている作品「ただいま十六歳」です。主人公は、若き日の近藤勇です。
<内容>
大百姓の子・勝太は、幼なじみのおえいに好意を寄せていた。
というよりも、おえいと結ばれる運命にあると信じていた。
さらに変わっていたのは、自分がおえいの家来だと思い込んでいることだった。
そんな勝太に対し、おえいはどことなく気味悪いものを感じていた。
そんなある日、勝太は天然理心流の近藤周介に見込まれ、養子になることに。
勝太はおえいに好意を寄せながらも、武士になることを決意する。
そして、月日は流れ…。
やがて、鳥羽伏見の戦いが起こり、新撰組は甲州へ。
主婦になったおえいの前を、近藤勇と名を変えた勝太が通り過ぎていった…。
<感想>☆☆★
なんか、いいですね~。
おえいの目線で見る近藤勇が描かれています。
自分に好意を寄せる幼なじみの男。しかし、何を考えているのか分からず、言うこと、やること、すべて得体が知れない。
そんな二人が急接近する出来事が。
まさに青春の1ページ。「北の国から」の初恋編のようなことが起こります。
運命のいたずらで、どしゃぶりの雨の中、空き家で二人きり…。
そして、おえいが思わず口走った言葉…。
それに対してアンビリーバブルな言葉を返した勝太。
ここいいですね。
「青春ラブストーリー」が、勝太のこの発言で「青春ラブストーリー」ではなく「近藤勇の歴史小説」として成立しています。
そして、主婦となったおえいの前を通り過ぎる勝太改め近藤勇。
おえいの最後の素朴な感想もいいですね~。
<次回は…>
やはり、近藤が出てくる短編「盗賊と間者」を紹介します。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます