「新撰組血風録」最後の作品です。主人公は沖田総司です。
前に誰も死なないと書きましたが、間違いでした。
<内容>
沖田は懇意の刀屋のもとに行き、刀の修理を頼んだ。
刀屋は沖田のことが好きで、刀が直るまで名刀・菊一文字を貸すことに。
刀屋にしてみれば、沖田に使ってもらいたくて上げたつもりでいた。
ところが、沖田は別のことを考えていた。
それが思わぬ大事件に発展する。
沖田の前に陸援隊に身を寄せる戸沢鷲郎が現れる。
普段なら軽く切り捨てる沖田だが、借り物の菊一文字が刃こぼれでもしたらいけないと遁走してしまう。
ところが、戸沢はそうは考えなかった。新撰組屈指の剣の使い手・沖田は「自分を見て逃げ出した」と思った。そして、新撰組は大したことないなと。
戸沢は沖田のことを言いふらし、一方で新撰組隊士を連日闇討ちしていく。
怒ったのは土方だった。
沖田を呼び出し、責任を取れと迫る。
病状が悪化し、さらに菊一文字を使いたくない沖田だったが、単身戸沢のもとへ向かう…。
<感想>☆☆☆
ちょっと記憶違いしていました。
オレは沖田の最後の死ぬ場面が印象に残ってましたが、今見返してみると、わずか1ページしか書かれていませんでした。
人間の記憶ってあやふやですね。
この作品も史実かどうか分かりませんが、深い話ですね。
借り物の刀を傷つけたくないばかりに逃亡した沖田のせいで大事件に発展。
一方、状況証拠からいうと「自分を恐れて逃げた」と言って差し支えない戸沢。
しかし、現実的に考えると「そんなはずはない」と分かれば良かった戸沢ですね。
<感想2>
この本は3回ぐらい読んでますが、いつも思うことがあります。それは乱世に身をおく新撰組の壮絶な生き方に一喜一憂するオレが、最後の「菊一文字」を読んでいつも悲しくなることです。
「沖田は戦いの中ではなく、あの若さで寂しく病死したんだよな」と。
沖田、近藤、土方の死は三者三様ですが、多くの人間を殺してきた彼らだからこそ、非業ともいえる死が待っているのかも知れないですね。
※次回は「新撰組血風録」として総評(レビュー)する予定です。えらそ~。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます