じょじょりん文庫

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閃光 永瀬隼介

2010-06-21 | 推理小説
閃光 (角川文庫)
永瀬 隼介
角川書店

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今度映画になると言うことで,読んでみました。
面白かったです。

内容は,ラーメン屋の店主が殺され捜査が始まるのですが,定年間近の担当刑事は殺されたラーメン屋店主が,若かりし頃に担当した三億円事件の犯人の一味であった事に気付きます。
担当刑事は,かつて三億円事件の犯人をほぼ特定しながら,上層部の思惑で逮捕できなかったわだかまりを持っています。そこで,ラーメン屋店主事件の捜査をする振りをしながら,わだかまりを解くため,相棒になった刑事をも巻き込み自分の捜査の方向をだんだん変えていってしまい,上層部とぶつかるようになります。
そうした中,三億円事件の犯人一味の他の男が殺されます。
犯人一味と,担当刑事達,警察上層部の意を受けた捜査員達や,ホームレスに身をやつした犯人一味のボスの父親(もと警察官)などが入り交じって,物語は進んでいきます。
犯人一味を殺していった今回の犯人も意外と言えば意外な人物で,面白いのですが,動機の点は少し弱いかなと言う感じはします。

三億円事件の犯人が,警察官の子供であったらしいとか,その犯人は警察官であった親に殺されたとか自殺に追い込まれたとか,お金は燃やしてしまったらしいと言う話は,巷でよく言われていることですが,その話をうまく小説としてまとめたのはスゴイと思います。
実際,当時警察上層部は,事件を隠すことに躍起になっていたらしいとか,当時犯人は複数説が主流だったのに,名刑事平塚八兵衛を投入して単独犯説に曲げていったというような話もよく言われていますよね。

他人のミスを許しにくい日本人の気質からすれば,組織の防衛という方向に行きやすいことはわかりますが,今だったらこんな隠匿はできないであろうと思いたいですね。

映画では,担当刑事の相棒を渡辺謙さんの息子さんが演じられると聞いていますが,本での主役は定年間近の担当刑事の方で,準主役は犯人の父親かなあと思います。映画では,奥田英二さんと夏八木勲さんが演じられるようですね。

蛇足ですが,この方の本で,「19歳」というのは,色々批判もあるようですが,面白いノンフィクションだと思います。機会がありましたらこちらもお読み下さい。

19歳―一家四人惨殺犯の告白 (角川文庫)
永瀬 隼介
角川書店

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