名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366) (光文社新書 366)中野京子光文社このアイテムの詳細を見る |
オーストリア・スペインのハプスブルグ家のうち、著名な12人を、同時期に描かれた名画と共に紹介した本です。
読み物としては、よくあるパターンのものと思いますが、取り上げられている絵画がすごく良いと思います。
デューラー、ティツィアーノ、ベラスケスといった肖像画の大家による王家の肖像画はもちろん、エルグレコなども紹介されています(私はデューラーが大好き)。
特筆すべきは、ライヒシュタット大公の肖像画が取り上げられていることです。これはとても珍しいと思います。
ライヒシュタット大公は、あのナポレオンが自分に箔を付けたいと白羽の矢を立てて、当時のオーストリア皇帝に圧力をかけて強引に自分の妻にしたマリー・ルイーズ皇女との間に1811年に生まれた息子です。
もともといやいや結婚したので、マリー・ルイーズは、ナポレオンがエルバ島に島流しになると、当時3才の息子を連れてウィーンに帰ってきてしまいます。
オーストリアにしてみれば、ナポレオンは国土に攻め込んできた敵なわけで、その息子の処遇に困るわけですが、フランスのナポレオンの残党にこの息子を取られると、新たな旗印を与えることになるのを避けるため、体の良い人質として宮殿で監禁生活を送ることになります。結局、二十歳そこそこで病没してしまうのですが、身長186センチの美青年だったと言うことで、もったいないことです。
ずいぶん昔ですが、オーストリアのシェーンブルン宮殿に行ったとき、ライヒシュタット大公の部屋というのがあって、大公が可愛がっていたという小鳥の剥製が飾られていたのですが、今もその剥製を思い出すたび、若い男性が刑務所の死刑囚のように小鳥を可愛がって過ごしていたのかと、お気の毒に思います。子供には親を選べませんからね。
デスマスクもありましたが、細くてまだ若い子供のような感じの顔でした(まずまず美青年と言えるでしょう)。
肖像画などお好きな方はぜひ。
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