気の向くままに junne

不本意な時代の流れに迎合せず、
都合に合わせて阿らない生き方を善しとし
その様な人生を追及しています

(‘77) 5月23日 (月) #2 明美が去って、泉屋

2023年07月08日 | 日記・エッセイ・コラム
明美を見送った後、もはや誰も居なくなった桟橋を背に、私もその場を離れ泉屋へ戻った。道すがら、「やっぱり一緒に帰るべきだったかなぁ…」と、ぽつりひとり言。そしてまた、「まあ、いいサ、まだ時間はたっぷりと残ってる。帰り道は一つサ。ちょっとばかり遠回りをするだけサ…」と、ぽつり。さて泉屋に戻ると、北海道から来ていた女の娘二人に島を案内せよ、と言うオヤジさんの言葉が私を待ち構え . . . 本文を読む

(‘77) 5月23日(月) #1 「これ…ネ!」

2023年07月07日 | 日記・エッセイ・コラム
とうとう明美にとって八重山最後の朝はその眩しき太陽のもとに巡り来てしまった。今夜の船で明美は那覇に、そして九州・日田へ…。この明美の旅の終りが、明美に、そして私にもたらすものは何であろうか?午前九時三十分の竹富丸で泉屋へ荷物を取りに戻った。泉屋は静かなもので、客の数が少ないのだと云う事が時間からしてもすぐに判った。オバチャンに言って、明美は荷物を取りまとめた。用意が終ると竹富島最後の . . . 本文を読む

(‘77)5月22日(日) #2 ハイビスカスの歌

2023年07月06日 | 日記・エッセイ・コラム
船上は和やかな雰囲気に包まれていて来た時とは異い、乗船客の数も僅かながら多かった。リーフを抜け出るのに多少手間取っていた様であった。潮の干満の影響だろうか?東へ回り込む船の右手に西表。名残りは何処から来るものか?気が付くと船上、中央通路の右側のベンチで合唱をしている人達がいた。中年過ぎの太り気味のオジサマが中心に唄を歌っている。まるでみんなに教えているかの様に。或る者は歌詞カードを見ながら&hel . . . 本文を読む

(‘77) 5月22日(日) #1 船浦港から出航

2023年07月05日 | 日記・エッセイ・コラム
西表三泊四日の旅行も今日の船待ち時間迄。明美のみならず、この私にも生まれて初めての事が多々訪れた。二人が何を見詰めていたのかなどと云う疑問は、それこそ愚問にも似たものだ。朝食後、二人は互いにカメラを持って、民宿から一番近いのに未だ足を踏み入れていない宇那利崎の浜に降りてみた。この西表での最後の想い出となる日、これ迄の一週間のうちで最も明るい笑顔を見せていた。瞬く間に時は過ぎてしまった様だ。民宿に戻 . . . 本文を読む

(‘77) 5月21日 (土) #2「潮風の悪戯」

2023年07月04日 | 日記・エッセイ・コラム
民宿に戻ると隣りの部屋の新婚さんは既に立ち去った後だった。私達が昼食をとっている間にオバチャンはお出掛け。竹富町婦人会の集まり(バレーボール大会)らしい。何たる事か!私達二人を置いて誰も居なくなってしまった。こんな事は沖縄の離島だからこその事。他所では絶対に起こり得ない筈だと思う。最も大切な、原初的な人間関係が、この時代にここには存在している。日常の事として。なんて素晴らしいのだろう!食べ終った食 . . . 本文を読む

(‘77) 5月21日 (土) #1 月ヶ浜・お腹が痛いの

2023年07月03日 | 日記・エッセイ・コラム
朝食後のひととき、先ずはムーンビーチ(月ヶ浜)に行ってみる事にした。一度バスの通る道に出て坂を下り、小さな石の橋を渡ってすぐに右の林の中へ続く道を歩いていると、天然記念物の山鳩(?)を見た。この西表という島はさすが山が多く、「ジャングル」という言葉に代表される様な、言わば「男の島」と呼ばれるだけに、海岸線から逆に林を抜けると、それは山に来たという感じのする島である。もう見なれてきたこの熱帯雨林の林 . . . 本文を読む

(‘77) 5月20日 (金) #3 星砂の浜

2023年07月02日 | 日記・エッセイ・コラム
案内された部屋は玄関正面の廊下の右側で二部屋あるうちの奥の方だった。台所のテーブルで一服しながらオバチャンの話しを聞いて、星の砂が拾えると云う星砂の浜へ早速行ってみることにした。左右にパイン畑が広がるのを見ながら、長閑な光景の中に爽やかな汗を拭いつつ歩いた。初めはそんな気持ちでいられた。ところが途中、左に曲がるべく道を見失い、『うなりの塔』の方迄ずっと歩いてしまった。「どうも様子がおかしいね」「行 . . . 本文を読む

(‘77) 5月20日 (金) #2 ジャングルの雨 ?!

2023年07月01日 | 日記・エッセイ・コラム
バスが停車したのは浦内川に架かる浦内橋の袂。その橋の袂を左に、この先何が有るのかと思わせる様な道を僅かに下って行くと、間に合せに造った様な茅葺きの小屋が一軒建っていた。台風でも来たならば真っ先に吹っ飛びそうなお粗末なもので(でも、一見お粗末そうに見える事が、この自然に同化していると云う…大切な事なのだ)、そこが船の待合所であった。中にはオジイさんとオバアさんが数人居て料金係りの様な事 . . . 本文を読む