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気の向くままに junne

不本意な時代の流れに迎合せず、
都合に合わせて阿らない生き方を善しとし
その様な人生を追及しています

(‘77)5月22日(日) #2 ハイビスカスの歌

2023年07月06日 | 日記・エッセイ・コラム
船上は和やかな雰囲気に包まれていて来た時とは異い、乗船客の数も僅かながら多かった。リーフを抜け出るのに多少手間取っていた様であった。潮の干満の影響だろうか?東へ回り込む船の右手に西表。名残りは何処から来るものか?

気が付くと船上、中央通路の右側のベンチで合唱をしている人達がいた。中年過ぎの太り気味のオジサマが中心に唄を歌っている。まるでみんなに教えているかの様に。或る者は歌詞カードを見ながら…。その優しいメロディーに明美と二人、聴き惚れていた。本当にいい声で歌の上手いオジサマであった。みんなの声の中にあって、一際響き抜けるのだ。私も明美も顔を見合わせ小声で参加してみたが、どうにも堪らず近くにいたオニイサンに一言、
「この歌は何ていう歌なの、教えてくれますか?」
と言ってしまった程であった。
その曲の名は『ハイビスカスの歌』。オジサマは何やら何処かの先生らしかった。歌詞をメモして何度か一緒に歌ってみた。簡単な、しかしきれいな曲だけれど、明美の物覚えのいいのには感心した。私が明美に教えてもらう立場にさえなった程だ。即興合唱団は一人抜け、二人抜け、いつしか自然に解散して私と明美が残った。遠く水平線の彼方では、雨雲が雨を降らしているのが見えて、こちらに向って来るのが判断出来た。波が少しづつうねりだし、やがてこの船も雨の中。スコールだ。

船室で横になっているといつしか転た寝をして、船が盛んに揺れているのを感じないでいられた。目が覚めてみると、小さな丸い窓から晴れた空が目に飛び込んできた。時計を見ると石垣島がはっきりと目で捉えられる位置の筈…と思い窓の外を見ると、やはりそうだった。明美を連れてデッキに出た。
「どう?あれが外から見る石垣島だけど…」
「へえ〜、意外と山が目立つのね。結構大きくて細長い…って事なのね。まだまだ知らない事ばかり…」
もう、感無量といった様子だった。
石垣の波止場に着いたのは夕方五時頃であっただろうか。陽は未だ燦々と眩しい程に、でも優しくそして快く二人を包んでいた。

          ハイビスカスの歌
南の空は青いけれど
乙女心は    一人片想い
燃えて咲いてるハイビスカス
燃えて咲いてるハイビスカス
日がなゆらゆらと
燃えてる紅い花

島は常夏    南の
可愛いあの娘も    髪にかざす花
燃えて咲いてるハイビスカス
燃えて咲いてるハイビスカス
日がなゆらゆらと
燃えてる紅い花

実りは濃いし日は長い
城下首里町    並ぶ石畳
垣に咲いてるハイビスカス
垣に咲いてるハイビスカス
日がなゆらゆらと
燃えてる紅い花

ここは琉球    最果ての
ミヤラビ・カイシャ   島の花もまた
君の情けでアンジュラサ
君の情けでアンジュラサ
日がなゆらゆらと
燃えてる紅い花


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