今夜はやけにカラスが鳴いている。カラスは嫌いじゃないけれど、やっぱ何か、普段は鳴かないカラスたちがギャーギャー(カーカーか)騒いでると、変な胸騒ぎみたいな感じがして、、地震来るなよー。みたいな。
そういえば、、東日本大震災の時、こんな事があった。あの日の午前中はとても天気が良くて、いつも通りみんなして和気あいあい、楽しく職場のみんなと仕事をしていたのだが、同僚の一人が「壁の方から、何か小さな音がする」と何回か真剣な表情で誰に言うともなく言っていたのだけれど、不思議と周りの人間は聞き流していて「え、どんな音よ?」と、尋ねるものもいなかった。いや、一人くらいは冗談ぽく「え?音って?どのあたりから?」と軽く聞いていたかも知れない。でも、とにかく、その普段聞こえない壁からの小さな音、とやらを気に留める人間もなく、普通に笑い普通にお昼時間になりやがてその壁からの音、の事は忘れてしまった。
そして、その瞬間が訪れた。経験したことのないような激しい揺れ。しかもなかなか収まらない。長かった。薬棚からバラバラと薬が落ちてきた。机の下に潜ったが、高校と中学の子供二人がどうしているか、そればかり気になりかなり動転していたと思う。
で、、話を戻すと震災後、しばらくはその壁からの音、について考える余裕などもなく忘れていたが、何年か後に、部屋で本を読んでいた時、急に思い出したのだ。壁からの音を地味に、でも真剣な表情で訴えていた同僚、、あの人は、すごい。聞こえたのだ。きっと。ネズミが、いや、もしかしたらモグラかもしれない。とにかく、それ系の小動物たちが地震が来るのを察知して移動なり何なりしていたに違いない。その微かな音を拾った同僚はすごい。私には、全く聞こえなかったし、気配すら感じなかった。
動物たちは、人間なんかが逆立ちしても及ばない危機管理能力を備えているんだな。そうなんだ。
で、カラスの不気味な鳴き声は、今はぱったりやんだ。移動し終えたのか、会議だったのか、あるいは、、。とにかく今は静寂に包まれてる。いつもどおりの夜なのさ。
