1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 河豚も、キノコも、鰻も、嘗て、誰かが食べて、死ぬ思いをした人がいたからこそ、今現在、美味しく食べられている私たち。

2024-09-09 05:46:23 | 法話

【9月10日投稿分】  その扉を開いた先駆者達(パイオニア達)の苦労。


昨年の9月、10月、フランスで行われた世界ラグビーの時、日本に来ていた拙僧家内の妹の子供(22歳男性、英国人に嫁いで授かった)が、日本がアルゼンチンに負けた時、酷く落ち込んで「叔父さん(拙僧の事)、日本はやっぱ、海外に出て、レベルの高いところで切磋琢磨しないと、世界で勝ち上がっていくは、難しいと思うよ」と。因みに、この甥(英国人)は、母親(妻の妹)が日本人なので、日本語がベラベラ。加えて、世界ランクに入る様な大学、大学院に通っていた(昨年卒業)ので、日本の難しい言葉もある程度は。


この甥(英国では、ラグビーの大ファン)に拙僧「今後は、日本もどんどんと、ラグビー選手が海外に出ていくと思うよ。日本ではまだまだラグビーは、野球やサッカーに比べ、まだまだメジャーなスポーツとは言い難いもんな。世界大会になると『にわかファン』が、そこら辺から何処からともなく湧いて出てくるが。今ではファンも安定してきた日本サッカー界も、浸透するまでには、かなりの時間が掛かったんだよね。ドーハの悲劇以降、世界大会に毎回出られる様になって、その都度、そこら辺から溢れ出てくる『にわかファン』が自然と根付き、中田英寿さんが世界に出て戦う様になってからは、日本サッカー界も大きく前進したかな。日本ラグビー界も恐らく、その道を辿る事になると思うよ」と。


すると、この甥が「そうなんだ」と。「ところで、プロ野球界の野茂英雄という人を、君は知ってるかい」「いや、知らない。英国では、野球はそんなに人気のあるスポーツではないもんね」「そうか。今では、野球界も、サッカー界も、日本は当然の様に海外組が出ているが、その門を開いた人が、この野茂英雄という人でね。ググってみな。この野茂さんが、大リーグに挑戦すると言った時、マスコミが色んな書き方をしてね。当時所属していた球団と年棒の事で折り合いがつかなかったからとか、自分勝手に大リーグ挑戦を決めたからとか、その記事を鵜呑みにした人達が、そこら中から湧き出てきて『講釈師、見てきた様な嘘を付き(物を言い)』の如く『自惚れるな。お前なんか、通用するもんか』と、本当の事(真実)は本人にしかわからないのに、言いたい放題に批判や誹謗中傷を。そりゃ、酷いもんだったよ。ところが、渡米1年目で結果を出した途端に、掌を返す様に『野茂、野茂』と、この国の人達は大騒ぎして応援を。今現在もこの流れの風潮は、全く変わってない様な気がするけどね。この事は君(甥)にとっても良い教訓になると思うよ。努力し、力を付け、結果を出せば、人の口(批判など)は自然と止まる、という事を」と。


続けて、この甥に「嘗て、プロ野球の落合博満さんという人が、年棒1億に拘った事が。この時も随分、落合さんは世間から『そんなに欲深いか』と総スカンを。が、落合さんは、自分がこの1億の大台をここで越えておかなければ、と追随するこれからの選手の為に、頑張ったんだよね。1億貰ったって、税金で6割から、7割持っていかれるから、欲深いとか、そういう問題じゃないんだけどね。そこからだよ、2億、3億の年棒が世に出てくるようになったは。世界で言うならば、やっぱ、プロボクシングのモハメド•アリ(カシアス•クレイ)さんかな。この人の事は、知ってるかい」「名前だけは、知ってる」「そうか。この人の口(歯に衣着せぬ口)が、それまで低収入だった世界中のプロスポーツ選手の年棒を、一気に引き上げたんだよ。『ホラ吹きクレイ』と揶揄されようが、それにめげずに。だから、モハメド•アリさんに恩を感じているプロスポーツ選手は、時代が流れた今でも非常に多いそうだよ。誰かが口火を切らなきゃ、誰かが無理矢理に扉をこじ開けなきゃ、事は変わっていかないんだよな。前例のない事をやれば、大叩きを喰らうは、世の常だけどね。先駆者達(パイオニア達)の苦労は、並大抵のものではなかったと思うよ」と。


すると、この甥が「日本の明治維新も、それに似たところがあったんでしょ」と。「明治維新の事まで知ってるのかよ。君には、驚かされるな」「マミー(妻の妹)の影響で、日本の歴史は結構好きだよ」と。「平安時代の平清盛公から700年以上続いてきた武士の社会を、ひっくり返した大事件だもんな。が、その時、活躍したは20代、30代の若者達。人生経験が浅いから、怖いもの知らずだったから、出来たのかもしれないね。反対に年配者は人生経験が豊富だから、人間の怖さ、世の中の怖さを知っているから、恐れてなかなか大胆に動く事が出来ない。明治維新が成功したは、無鉄砲な若者達と、その若者達のはやる心を抑えてくれた勝海舟の様な年配者が、見事にマッチ出来たからかな。常に世の中を動かしてきたは、少数意見側の勇気ある行動だよ」と。


最後になりますが、偶に檀家の若者達には拙僧、こんな話をする事があります。「真面目に一生懸命に取り組んでいたら、ある日突然目の前に、牡丹餅が『ボトン』と落ちてくる事がある。その落ちてきた牡丹餅に気付いて拾う者もあれば、気付かずに通り過ぎる者もある。『縁に出会って、縁に気付かず。縁に気付いても、その縁を活かせず』とはこの事かな。が、基本は、自らが作って棚の上に置いておかなければ、牡丹餅が落ちてくる事は絶対にない。努力をすれば、全て実るなんて事は、まず持ってない。世の中は競争社会だからね。だが、努力をしなければ、実る事はほとんどない。『果報は寝て待て』という言葉も同じ意味だよ。ただ、人との勝負には負けても、努力をした分だけの実り(力)は、自分の身には付いている。努力を嫌ってちゃ、10年経っても、今の自分だよ。いや、今の自分以下かもしれないね。『怠ける』という心が加わっているから」と。


【余談】

読者男性が「自民党総裁選ですが、住職は誰が適任と思われてますか」と。「どの候補者も味があって決め難いですが、自民党を変えたいという声が多い事を鑑みると、自民党内で人気のない石破さんにしてもらう、という手もあるんじゃないかな、と」「えっ、石破さんですか。自民党議員でありながら、後ろから自民党関係者に射撃してくる人ですよ」「だけど、トップになったら、もう、後ろからは狙えないよ。面と向かってお互いが、引き金を引く寸前の議論になるだろうから、自民党内のマンネリ化は多少、違ってくるんじゃないかな」「失敗したらどうするんですか」「流石に国を滅ぼす事はないでしょ。短命内閣は過去には何例も。やってみないとわからない事って、結構にありますよ」と。


続けて拙僧「毎回言いますが、否定から入ったら、得るものは少ないよ。と。すると、この読者男性が「ところで住職、田中真紀子さんが『孤独に耐えられ、日本の顔として明日から諸国を相手に、その激務を務められる総理の器は1人だけ。あとは使い物にならない』と言い切りましたよね」「その1人とは、前に官房長官をされた人でしょ。まあ、田中真紀子さんの意見は意見として、その辺は私達庶民には、わからないところですからね」と。


更に拙僧「ところであなたは『花の慶次』という漫画を知ってますか。その中で、真田幸村公、直江兼続公、伊達政宗公、前田慶次公が温泉に入って『時が時なら、我々が天下を取れていた』と話をしているところに、豊臣秀吉公が入湯してきて『ほれ、わしは今、丸裸じゃ。今ならわしの命を奪って、天下が取れるぞ』と投げ掛けると皆、無言に。その時、秀吉公が『天下人は、天が決める事だ』と。この話は秀吉公の謙虚さを表した漫画の描写とはいえ『世相の流れに逆らう事は出来ん』を考えさせられる話と思いませんか。時に天は遊び心で、それに相応しくない人物に歴史の流れを委ねる事がある。豊臣家を滅ぼす役目として生まれてきた小早川秀秋公(秀吉公正室ねねの甥)もその1人かな。明治時代の教育者、森信三さんが『出会う人には、出会う様になっとる。それも、一瞬早くもなし、一瞬遅くもなし』という言葉を残されてるが、やってくる縁は、全てそうなのかもしれないね。それに気付いて、それを活かせるかどうかは、本人次第だけど」と拙僧、この男性読者に。


【付録】

拙僧はこれまでに、約10年間でSNSに3000話の長短法話、また、法話の本を3冊、世に出させて頂きました。そのご縁がきっかけとなり、テレビ(約半年、週1回)、ラジオ、新聞、雑誌などや、教育委員会、学校、幼稚園、病院、老人ホーム、デイサービス、町内会老人の集い、倫理法人会、他宗寺院、葬儀斎場、社員研修などへの講演(北九州在住の拙僧が、遠方では九州南部、関西、関東、北陸、東北まで。尚、檀家は千葉県にも)にも呼んで頂き、方々で法話交流を。あらゆる話とまでは言えませんが、様々なジャンルである程度(仏教仏事系の他にも、癒し系、漫談系、人生系、目から鱗系、子育て系など)の話が出来ると思いますので、何かのお役に立ちそうでしたら、時間調整の許す限り、集いの大小問わず(参加者数人でも)足を運ばせて頂きますので、お気軽に、facebook、X、Instagram のメール(コメント欄)で、お声を掛けてくださいませ。勿論、この様なお話でいいなら、でございますが。拙僧も今年で62歳です。父親の他界年齢を基準にすれば、あと僅かに10年。これより先の残された時間は、1人でも多くの人のお役に立てれば、との思いです。『今、自分に出来る事を、今やる』ですね。


下記で拙僧の過去の法話を読む事が出来ます。興味がございましたら、是非。


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                   拙僧が持つグループ「出会うは運命、出会ってからは努力、最後は感謝」

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【追伸】尚「法話が長い」と不快感を示されておられる方々には、大変心苦しく申し訳ないので、拙僧の法話が目に入らない様に『ブロック』をさせてもらっております。楽しみにされている方々もおられますので、ご理解頂きまして、それでどうか、ご容赦くださいませ。


次回の投稿法話は、9月15日になります。投稿添付写真は、先駆者を絵で表した物。