前日のリサイタル成功の感動が覚めやらぬうち、私は新幹線に乗り込み東京とは逆方向へ。終点の新庄駅から更に乗り換え北上する。目的地は「最上郡鮭川村」という所である。
実はこの地は私の祖母の実家で、実父も戦時中に疎開したとのこと。私も幼少の頃2回ほど訪れたことがある。祖母も父ももう故人であるが、父の従兄弟とその家族、それに父の叔母さんがご健在のはず。しかし、気がついたら、すっかり疎遠になってしまっていた。
突然の訪問。家に入れてくれるだろうか? 不審者と間違われないだろうか(笑)
新庄から2つ目、のどかな無人駅に降り立った私は、うっすらとした記憶と写真を手に足を進める。ここから歩いて数分のはず。となりかそのとなりは確か魚屋だった・・・。
何度か同じ道を行ったり来たり。道ばたの小川に座っているおばあさんが、私とすれ違うたびこちらをうかがっている(やっぱり不審者だ)そうこうしているうち、偶然にも途中で出会った郵便局の人が場所を教えてくれた。ここだ。。。
突然の訪問に最初は訳がわからなかった叔父さんも、写真を手に説明するうちやっとわかってくれた。
(これで不審者にならずに済んだ。ほっ。)
奥からは91才になる父の叔母さんが元気な姿で現れ、「あらまあぁ~、良ぐ来たのぉ~良ぐ来たのぉ~」私を見て目にうっすらと涙を浮かべていた。
ご先祖様にお線香を手向け、ゆっくりと流れる空気の中で、幼少の頃に訪れた時の記憶が次々と思い出される。。。カブトムシ狩りに山まで行ったこと。銛(もり)を持って川に魚を捕りに行き、帰りに腰まで水に浸かり川を歩いてきたこと。勝手に倉に入り込みかくれんぼをして怒られたこと。方言がわからず黙っていたら、「東京のあんちゃんが何もしゃべってくんねぇだぁ」と小さい子を泣かせてしまったこと。水を飲もうと台所に入ったら、「ここは男の来る場所じゃねぇー!」と怒鳴られたこと。。。
当時はまだ茅葺きの家だった。いずれも、今の私の日常では忘れ去られていたことばかりである。
再訪を約束し、「こんだぁゆっぐりごいやぁ」と、別れ際にお土産に手渡されたのは、なんと「かぼちゃ」。「白かぼちゃ」といって、普通のかぼちゃより甘くて美味しいという。
しかし、、これは重い、、しかも2個。。でも、絶対に持って帰らないと。。
(前日に江川さんに荷物を預かってもらって本当に良かった。)
米沢で感じた、人と人との出会い。そして、35年ぶりに訪れたこの地での感慨深い思い。
私にとっては何とも重い、山形のかぼちゃでした。
〔鬼太郎〕
実はこの地は私の祖母の実家で、実父も戦時中に疎開したとのこと。私も幼少の頃2回ほど訪れたことがある。祖母も父ももう故人であるが、父の従兄弟とその家族、それに父の叔母さんがご健在のはず。しかし、気がついたら、すっかり疎遠になってしまっていた。
突然の訪問。家に入れてくれるだろうか? 不審者と間違われないだろうか(笑)
新庄から2つ目、のどかな無人駅に降り立った私は、うっすらとした記憶と写真を手に足を進める。ここから歩いて数分のはず。となりかそのとなりは確か魚屋だった・・・。
何度か同じ道を行ったり来たり。道ばたの小川に座っているおばあさんが、私とすれ違うたびこちらをうかがっている(やっぱり不審者だ)そうこうしているうち、偶然にも途中で出会った郵便局の人が場所を教えてくれた。ここだ。。。
突然の訪問に最初は訳がわからなかった叔父さんも、写真を手に説明するうちやっとわかってくれた。
(これで不審者にならずに済んだ。ほっ。)
奥からは91才になる父の叔母さんが元気な姿で現れ、「あらまあぁ~、良ぐ来たのぉ~良ぐ来たのぉ~」私を見て目にうっすらと涙を浮かべていた。
ご先祖様にお線香を手向け、ゆっくりと流れる空気の中で、幼少の頃に訪れた時の記憶が次々と思い出される。。。カブトムシ狩りに山まで行ったこと。銛(もり)を持って川に魚を捕りに行き、帰りに腰まで水に浸かり川を歩いてきたこと。勝手に倉に入り込みかくれんぼをして怒られたこと。方言がわからず黙っていたら、「東京のあんちゃんが何もしゃべってくんねぇだぁ」と小さい子を泣かせてしまったこと。水を飲もうと台所に入ったら、「ここは男の来る場所じゃねぇー!」と怒鳴られたこと。。。
当時はまだ茅葺きの家だった。いずれも、今の私の日常では忘れ去られていたことばかりである。
再訪を約束し、「こんだぁゆっぐりごいやぁ」と、別れ際にお土産に手渡されたのは、なんと「かぼちゃ」。「白かぼちゃ」といって、普通のかぼちゃより甘くて美味しいという。
しかし、、これは重い、、しかも2個。。でも、絶対に持って帰らないと。。
(前日に江川さんに荷物を預かってもらって本当に良かった。)
米沢で感じた、人と人との出会い。そして、35年ぶりに訪れたこの地での感慨深い思い。
私にとっては何とも重い、山形のかぼちゃでした。
〔鬼太郎〕