ひさしぶりにお茶事

豊かで澄んだ川の流れが印象的な小さな町、旧家の土塀が続く狭い道を通り抜けるとそのお宅はありました。
レンゲが咲き鳥がさえずるのどかな田園から門を潜るとそこは静かな別世界、瑞々しい青楓と飛び石の周りの苔、緑に埋め尽くされるようなたたずまいです。

素敵なものに囲まれて暮らす陶芸家Ｉさんのお茶事に招かれました。
ずっと以前、あるお宅におじゃました時に眼にとまったおおらかな花入れ、それを作った方が今日のご亭主。
力強い作品からは意外な程、華奢でチャーミングな女性です。

お懐石は四つ椀ではなく、揖保川の鮎の焼物や、ジューシーな揖保川トマトの預け鉢など、この土地ならではの自然の恵みを盛り込んだ献立。イギリス風のアンティークのテーブルでいただくと、まるで一日一組限定のレストランに来たみたい。



薄茶は詫びた茅葺きの別棟の炉でくつろいだ気分でいただきました。

普段はお客さまを断って静かに暮らしていらっしゃるそうですが、一年に一度だけこのすてきなお宅で展示会をされるのだとか。