再会の街で
監督:マイク・バインダー
【チャーリー・ファインマン】アダム・サンドラー
【アラン・ジョンソン】ドン・チードル
あらすじ
アランは、ニューヨークで暮らす歯科医師。ある時、ニューヨークの街角で、大学時代ルームメイトだったチャーリーを見かけ声をかけるのだが、彼はアランのことなど覚えていないという。ボサボサ頭で昔の面影はないけれど、間違いなく彼はチャーリー。チャーリーは、9.11の飛行機事故で妻と3人の娘を一度に失い、心に深い傷を負っていたのだ。ぎこちない再会ではあったものの、アランとチャーリーは再会を機に会う機会が増え楽しい時間を過ごすのだか、会話が家族のことになるとチャーリーは手もつけられないほど暴れる有様。これではいけないと思ったアランは精神科医のセラピーを受けるようチャーリーに勧めるのだが・・・。
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なつかしい親友に再会した時、彼は深く傷ついていた。
過去の話などする人間を特に嫌い、一人っきりで生活をする親友。
誰にも捕まらないように、外にでる時はスクーターに乗り、
誰の声も聞こえないように、ヘッドフォンの音楽で外界を遮断し、
家にいるときは、現実逃避のようにテレビゲームに没頭している。
あの9.11の事件で、いや、あの事件ではなくとも
家族を一度に失った悲しみに打ちひしがれている友達に出会ったとき
自分には何をしてあげられるのだろうか。
チャーリーは悲しみのあまり、過去を思い出さないことで
何とか生活をしていたのだ。
それほどまでに傷ついている親友を助けてあげたいと思った時
自分には何ができるのだろうか。
とっても深く、重く、考えさせられるテーマだ。
家族を一度に失うなんて、「悲しい」なんて言葉では
きっと言い尽くせないほどだろう。
自分の過去を根掘り葉掘り聞く人間を敵と見なし
家族なんていなかったんだ―と、そう思いこもうとさえしている
そんなチャーリーをみていると、胸がえぐられる様に辛かった。
もし自分がアランの立場だったら、チャーリーに何がしてあげられるだろう。
そう自分に聞いたとき、何も答えが出てこなかったのが情けなかった。
何を言っても、何の慰めにもならないような気がして
結局答えなど出なかった。
そんな自分が、すごく情けなかった。
物語の後半、やがてポツリポツリとチャーリーはアランに話しだす。
あの日。あの9月11日に何があったのかを。
それはあまりにも残酷すぎる、突然の家族全員との別れの日の話だった。
このシーンで、泣いていた人もかなりいたように思う。
現実に、突然家族との別れを経験した人はいっぱいいるんだろうなと思ったら
切ない気持ちでいっぱいになった。
けれど、チャーリーはアランという親友と再会できて
きっと、少しは救われたのだと思いたい。
「やぁ、チャーリー。」
そう呼びかけてくれる人がいるだけで、自分は一人ではないと思えるはずだ。
どうか、同じような悲しい別れを経験した人に、
せめてアランのような親友がそばでよりそってくれていますように・・・。
そう願いたくなるような作品だった。