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主夫の徒然なるままに

毎日の夕食作りに奮闘する主夫の独り言

「Fラン大学でも東大に勝てる 逆転の就活」

2024年10月20日 | 日本の教育
Fラン大学でも東大に勝てる 逆転の就活=吉井 伯榮 (著) 2020

 あるネットで、「Fラン大学」に行くのは、まったくの無駄と言い切る記事を見た。けっこう有名人の発言である。Fラン大学に行くぐらいなら高卒で働く方が有意義だと主張している。個人的に同感する部分も多い。
 
 Fラン大学とは、偏差値ランキングに掲載されない大学のことで、偏差値が35以下の場合が多い。偏差値フリー、偏差値BF・ボーダーフリー大学、つまり、試験の点数によって入学ができないということがない大学、ある意味、誰でも入学できる大学のことを表している。(名前さえかければ合格できるとは、言えないので注意が必要である。)

 この本では、そういう大学に入学した学生を100%一流企業を含め、多くの企業に合格させた実績・方法を詳しく述べてある。


 指導の初期に、「日本の白地図に知っている県名を書け」というテストを出した。15名中、最高の成績が13県、最低では3県しか書けない学生がいた。小学生以下の知識量である。いわんや、日本で働く若者が、自分の近県しか知らないでは、働かせようにも働かせない。福岡県の公立高校入試では、九州人にとって最も疎い地方である関東の県名や県庁所在地が頻繁に出題された。中学生にも劣るこの学生たちを一流企業に送りこもうというゼミでの学習。夢のような話が実現するのだろうか。

このゼミでの主な戦略としては、以下のようなものが示される。

▼まずは、自分の価値を認め、自信を持つことから始める。自己肯定感が高まると、面接などでも堂々と自分の意見を伝えることができるようになる。

▼4コマ漫画を使ったエントリーシートを作成する。自分の経験やスキルを、わかりやすく4コマ漫画に仕立てて、企業にアピールする。視覚的に訴えることで、自分の印象を強く残す。

▼志望企業の絞り込み。自分の興味関心や強みに合った企業を12社に絞り込み、効率的に就職活動を行う。

▼面接対策。面接で求められているものを理解し、模擬面接などを通して、実際の面接に備える。

▼企業とのコミュニケーションを円滑に行うために、コミュニケーション能力の向上を目指す。

▼逆質問の活用: 面接の最後に、企業に対して質問をすることで、自分の熱意を伝えるとともに、企業への理解を深める。

以上のような訓練を大学3年生の初めから開始し、3年生の終わりからの就職活動に間に合わせる。

この本を読むことで、就職すること、自己実現すること、合格することなどに自信をもって進むことができるようになる。つまり、就職活動に対する不安を解消できるようになり、具体的な行動計画を立て、自信を持って就職活動に臨むことができる自信を獲得できるようになる。

 塾講師として、高校への推薦入試の合格術を指導してきた。個人的には、ほぼ100%に近い合格者をだした。自分の指導には、自信を持っていたが、当時、この本を読んでいたら、違った指導を行うことができたのではないかと思ってしまった。わくわくさせる方法論がいっぱいである。

< 自己分析の方法 企業研究のポイント 面接での立ち振る舞い 内定獲得後の対応 >など高校入試や大学入試にも活用できるポイントが多くある。

 Fラン大学生だけでなく、すべての大学生、そして、中学生や高校生にも是非読ませたい一冊である。私も大学生の時に読みたかったなぁ。


 








「学校に行きたくない」と子供が言ったとき

2024年09月09日 | 日本の教育
「学校に行きたくない」と子供が行ったとき親ができること」石井志昴(いしいしこう)著をよんだ。

 ずいぶん昔のことだが、我が娘が中1の時、「今日は学校に行きたくない」と言った。塾講師である私は、昼過ぎまで家にいるので、「わかった。そのかわり、今日予定していた庭木の剪定を手伝ってくれ」と言って、二人で昼まで汗をかいて働いた。次の日から何も言わずに娘は学校に通った。家の仕事の手伝いをさせられるくらいなら、学校に行ったほうがましと思ったに違いない、とその時は感じていた。

 この本を読んでみると、その時、「何で学校に行きたくないのか?」「とにかく学校に行け」と親から言われなかったのが良かったのかもしれないと思った。

<悪霊退散、あくりょうたいさん>

 塾講師を続けていると、いろいろな子供に出会う。塾は嫌だけど行かないと怒らるからくる子、何とかサボれないかあの手この手を使って通塾する子。しかし、ほとんどの子供は、塾が楽しくて楽しくて仕方がない子が多かった。母親が、「塾が楽しいといつも言うので、心配だ」とも言われたことがある。それでも、何人かは、退塾していく。
 
 たった一日で「塾に行きたくない」という子も数人いた。みんなについていけない、勉強が出来なくて恥をかきそう、先生と合わない、などである。たった一日で何がわかるというのか、親も先生も説得しようとするが駄目であった。塾なので、他のたくさんある塾から探せばいいので本人に悪気はないと思うが、親はやはり落胆する。


 これが、学校であれば、どれほど親が、落胆し、失望し、怒りの声を上げることになるのは想像に難くない。普通の親ならなんとか普通の生徒として通学してほしいと願うだろう。だが、その対応を間違うと、より傷が深くなり、取り返しがつかなくなるかもしれない。

 そんな時、この本を読んでみたらどうだろうかと思った。
子どもを信じ、とにかく、心身ともに休ませる。急がない、勉強や進路など心配しない、ジックリ見守る、など多くのケアの方法が書いてある。

 子どもが再び歩き始めたら、いろいろな方法を示してあげればいい。個人的にも知らなかったが、「不登校新聞」を読む、フリースクールに行く。N高校に行く、など、幾つもの復活の呪文が待っている。いつでも、いくらでも、間に合うと書いてある。

 ところで、この本で初めて「不登校新聞」というのを知った。残念なことに紙の新聞はもう発行されていないそうである。ただし、ネットでの発行は続けているようである。


 もう一つ、この本でN高校についてその成り立ちを知った。
 N高校創設者の川上量生(かわかみのぶお)氏との対談が掲載されている。N高校の進学実績などは、いろいろと目にしていたが、どうのような高校なのか全く知らなかった。この対談で、N高校の目指すところを知り衝撃を受けた。
「不登校の話を聞いときに思ったのは、落ちこぼれというふうに判断されているのは、今の学校教育のルールでのはなしでしょう。」
「授業はおもしろいものにしよう。だけど単位や卒業といったこととは関係ないものにしよう。」
「N高の生徒は偏差値で輪切りにされていません。多様性のある生徒たちにN高で学んでもらいたい。社会の多様性を知った彼ら彼女らに各業界で活躍してもらう。そえが、僕がやりたい脱偏差値教育です。」

 週刊誌などで毎年春に大学進学実績などが掲載されるが、N高校の実績はかなりすばらしい。東大や早稲田などの大学進学者数も多い。ただそこの合格を目指すのが目的ではない。生徒が自発的にやりたいことをやるために一流の大学に入学するのである。個人的に、この本で、N高校について初めて知って、本当に驚いている。ネットとITを使った個別教育のすばらしさを知った。


 さて、最後まで読んで満足感にひたることになるのだけれども、やはり、現実は、多くの暗く悲しい出来事の山積みなのではないだろうか思ってしまった。いじめや不登校になる一番多い学年は、小学2年生だという。あまりに悲しい「今」だと思ってしまう。










「子どもの将来は『寝室』で決まる」ってどういうこと?

2024年08月19日 | 日本の教育
 「子どもの将来は『寝室』で決まる」篠田有子著 を読んでみた。
 著者は1984年から20年余り、日本の家族がどう寝ているか、5000件以上のデータを分析したそうである。要するに幼児と川の字で寝ているか、一人部屋で寝かせているのか、などを調べているわけである。そんなことを20年以上調べている意味は何なのか、ちょっとバカバカしいと思ったけれども、孫がどんなふうに寝ているのか、今からどう寝かされるのかを考えると面白いかもと読み始めてみた。



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本書の目次
【基本編】知能・感性を伸ばす「寝かた」の法則
第1章 誰が誰とどのような位置関係で?
第2章 あなたはどれ? 4つの就寝パターン
第3章 しつけの課題も、寝かた次第

【分析編】成長に合わせた"理想の寝室"
第4章 親離れ、子離れのタイミング
第5章 きょうだいの愛憎・ひとりっ子の苦悩
第6章 夫婦の寝かた、伴侶型から破局型まで

【提言編】世界の寝かた・日本の寝かた
第7章 世界の寝かたに学ぼう
第8章 畳にふすまの日本家屋を見直そう
おわりに----添い寝は日本の無形文化遺産

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 目次を見ていると子育て中の若い夫婦にとっては、興味をそそる内容に見える。乳幼児たちとの寝かたを分類し、特徴付ける家族の在り方を分類する方法は、おもしろいし、参考にもなる。しかし、家族がそのような分類に見えるのを強調しすぎると退屈な推論になってしまう。実際、家族は千差万別であり、時間軸とともに進化変化していくものでもある。でも、今の乳幼児や子供との関係を立ち止まってみるには楽しめる視点かもしれない。


特徴は?


本文のなかでも、寝かた(寝かせ方)と幼児の特徴を詳しく述べているが、多少強引な感じが否めない。「だから、こういう風に寝かせるといい子が育つよ」と言っていいのかどうか疑問である、楽しくは読めるけれども。



 興味深かったのは、第7章の世界の寝かたに関する論述である。
アメリカでは、添い寝はしてはいけないというのが一般的で、年配の方なら読まれた人も多いのではないかと思う書籍「スポック博士の育児書」には、きっぱいりと「添い寝は好ましくない」「親たちに幼児のひとり寝を推奨」している。添い寝の悪癖をしっかり展開している。例えば、「添い寝は、子供の独立心を妨害する」など6つ挙げている。私も1990年代の子育て時期に購入して読んだ本であるが、ほとんど内容が記憶に残っていない。子育ては、本を読んでどうにかなるものでもなかったというのが本音かもしれない。

 アメリカでは、生後3カ月からひとり寝が一般的だそうだが、フランスやイギリス、ドイツなどんでもひとり寝が常識である。面白いのは、19世紀前半、プロイセンでは、「添い寝禁止令」が、たびたび出されたそうである。その背景としてヨーロッパの近代国家成立の中で「個」の確立を目指す、「個人主義の推進」により父性原理である「ひとり寝」を推奨したという歴史の事実があるらしい。
 しかし、その他の国々、中国、韓国、インド、南米など、添い寝が一般的であり、ヨーロッパでも、近世以前までは添い寝が常識であったことも記憶しておきたい。


 この本では、最初から最後まで「添い寝」を推奨している。日本人として、「添い寝」に自信と誇りをもって子育てしてほしいというメッセージに満ちている。

 あなたの家族はどうでしょうか。どうでしたか。













<主夫の作る夕食>
豚肉と青梗菜のオイスターソース炒め、私の好物です。

※表画:初めての海と波)



「無料塾」って何?

2024年07月25日 | 日本の教育
 「無料塾」と聞いてどのようなイメージを持っているだろうか。お金がない家庭で(有料)塾に行けない子供たちのために、大学生ボランティアなどが勉強を教えている風景を想像する人が多いに違いない。


 私自身もこの本、『ルポ無料塾』(おおたとしまさ著)を読む前はそのようなイメージであった。副題は「『教育格差』議論の死角」である。

 現在、日本の高校進学率は100%に近い数値であるが、高校を受験する中3生の70%が塾に通っている。では、残り30%の生徒はどうやって受験を乗り切るのであろうか。自分の力だけでがんばる、学校の先生の指導に頼る、誰でも合格する公立底辺高校へ進学する、塾費が払えないので無料塾をさがす。

 この本の第一部第二部では、実話編と実例編で、無料塾で学んだ子供たちや無料塾を実践してる個人やNPO、自治体の実際を紹介している。無料塾では、お金の問題以外にもいろいろな困難をかかえている子供たちとの生き生きとした交流が描き出される。やはり、美しい物語かと思い、これ以上読むのを止めようかと思ったが、第三部の考察編では、考えさせられる問題に引き込まれた。


 塾講師を長い間やってきて、塾が必要とされる社会的背景に深く考えなかったことを多少後悔する。私たちの塾に来て学び、満面の笑顔で高校に進学していく姿に疑問は少なかった。「学校の先生は、勉強を紹介するのであって、成績をあげるのが仕事ではない」「点数を上げるテクニックを教えるのではなく、最も大事な基礎力という土台を築かせる」などと胸をはって塾生に語っていた。「勉強することが幸せにつながる。」「日本は、教育によって日本の国を作ってきた。」


 時代は過ぎ、ここ30年で欧米の賃金は2倍になり、韓国は3倍になった。日本は、賃金が上がることなく、物価上昇で下がってしまった。九人に1人の子供が相対的貧困におちいっている。TVで、日本では時給が1000円になったがどう思うかとイギリス人の女性旅行者に聞いていた。「安すぎる」が答えであった。給与が2倍で超円安であれば、時給1000円は、おそらく、時給350円程度に映ったのではないだろうか。貧しい日本の家庭、そして、九人に1人の貧乏学生。スマホは持っているが、映画にも遊園地にも行けない隠れ貧乏人。塾などに行けるはずもない。

 では、なぜ有料塾に中3生の7割がいくのか。この本によると、高校進学率が100%近くになるとよりよい高校、よりよい大学へ行くための有料オプションが幅を利かすことになるとのこと。塾は、学歴社会を前提にした受験競争を有利に戦うための強力な「飛び道具」となっている。

 しかし、誰かが勝つということは、誰かが負けるということである。無料であれ有料であれ塾に通い、「勝つ」のならば、「負ける」のは誰か。親の学歴か、親の収入か、「生まれ」による教育格差が決定する。無料塾がさらに戦いを強める。全員が塾に行く、ならば、さらなる飛び道具は何か。中高一貫校に通わせる中学受験になのか。父親の財布(ふところ)と母親の狂気が打ち勝つ飛び道具だろうか。

 「教育格差」「教育選択格差」「教育機会格差」そして「教育差別」、受験競争に打ち勝てば問題が解決するわけではないが、スタート時点での格差をできるだけ少なくするためにある「無料塾」、しかしそこにも考えさせられる問題が山積する。「塾」の問題か、「教育」の問題か、「社会」の問題か。

 教育にたずさわる人々、特に有料塾に働く人々には、ぜひ一読を勧めたい本である。













医学部、めざすの!!

2024年07月20日 | 日本の教育
「医学部」鳥集 徹(とりだまり とおる)著_2018/03

 いい本を見つけた。

 年を重ねるにつれて、医者に診てもらう機会が格段に増えてきた。
 かかりつけ医のように確実に会える医者は、小さな内科小児科の先生、眼科の先生、大学病院の先生の3人ほどだ。大きなビルの病院では、曜日や午前午後によって先生が変わるので、何度も通う必要のある場合を除いて、つまり、行ける時に総合病院へ行くといつも違う先生が待っている。体のあちこちにガタが来て病院に行く機会も増えたので、最近、かなり多くの医者に会っている。尊敬できる医者ばかりではあるが.........


「医学部」というこの本は、
<はじめに>において<「職業訓練校」が偏差値トップの異様さ>について語っている。つまり、医学部を目指す受験生に、医学部の、中身と医者になることの姿を具体的に説明している。
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目次
第一章 東京大学医学部の凋落
第二章 「医局」の弱体化
第三章 医学部ヒエラルキーの崩壊
第四章 医学部とはどんなところか?
第五章 ゆがんだ医学部受験ブーム
第六章 医者に向く人、むかない人

おわりに
それでも医学部を目指す人たちへ
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 東大理Ⅲは、受験会の頂点に立つ最難関の大学学部である。理Ⅲ、つまり、東大医学部の合格であれば、最高の頭脳の持ち主と評価される。ただし、最近の傾向として、受験会では、東大の入学よりも、医学部合格が、すぐれた頭脳の持ち主と評価されるようになってきた。

 底辺私立高校から瞬く間に、進学校につくり上げたある校長は、国立大入学者をさらに伸ばす方向よりも、次は医学部合格者を増やす路線変更の可能性を力強く語った。

 

 週刊誌なども全国の高校の進学者数を公表し、東大合格者上位高校の特集などが一般的であったが、最近では、全国の高校医学部合格者数一覧なども記事になっている。できる高校は、医学部合格者が多い、というわけである。いつの間にか「優秀な生徒は医学部を目指す」となってしまっている。頭脳優秀で、医者を目指す受験生には、一読をお勧めする本である。(受験産業にたずさわる人も読むべき本のひとつであると思う。)


 医者にむく人むかない人がいるのは確かなので、自分の頭脳をどう活用するか考えてもらいたいものである。 最近のTVドラマでは、感動の医者物語が多く、影響を受けている受験生も多いのではないかと思ってしまうが、ロシアでは、医者の6割が女性であり、女性に向く職業のひとつではないかとも思う。

 ここ30年、失われた日本と言われるが、優秀な人材が医者になってばかりいるのが、そのことが、日本の発展を阻害してるのではないかと疑ったりする。優秀な人に医者になってもらいたいのは当然だが、優秀であればこそ、日本を発展させるために能力を発揮する人材になってほしいと強く願う。